大バッハの作品を編曲したものとなると、まず先にストコフスキーの名前が挙げられる。しかし、その名前になかなか挙がらないのがシェーンベルクである。シェーンベルクは無調から十二音技法を創始し、独自の音楽世界を創出した20世紀を代表する作曲家である。そんな彼だが、バッハやモン、ヘンデル、ブラームスの作品をオーケストラ版に編曲をしてもいる。シェーンベルクの編曲の特徴は、その作品が持つ特性を充分に活かした音楽的な拡がりが特徴といえ、特に、管楽器と打楽器の効果的に使い、原曲のイメージを大事にしつつも、斬新な響きを産み出しており、一風変わった毛色を見ることもできる。

今日紹介するバッハの『聖アン』もそれが顕著にみられる。少し大味な雰囲気が感じられるエッシェンバッハの演奏ではあるが、原曲の持つ壮麗でかつ、厳粛な雰囲気を存分にオーケストラで表現しているといえる。



【推奨盤】

乾日出雄の揺蕩うクラシック音楽の臥床


クリストフ・エッシェンバッハ/ヒューストン交響楽団[1995年録音]

【RCA:09026-68658-2(輸)】
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