12日に放送されたNHK大河ドラマ「平清盛」(第6回)の視聴率が、関東地区、関西地区とも前回より大幅ダウンしたことが13日、ビデオリサーチの調べで分かった。関東で前回より2・7ポイント減の13・3%。関西地区は同3・5ポイント減の12・6%だった。
NHKは主演の松山ケンイチの演技に自信をみせていたが、数字は振るわなかった。 裏番組にフジ系で「四大陸フィギュアスケート選手権2012」が放送されたことが影響したのかもしれない。
しかし、この番組の視聴率をグラフにしてみると面白いことが見えてくる。

放送開始から4回目までは、視聴率が低空飛行であっても安定していた。しかし、5回目以降は一気に不満が爆発したと見える。
『はじめ視聴者は様子見を決め込んでいたが・・ここへきて見放した。』とも受け取れる。
このグラフを見ると、単にトレンドが急降下したように見えるが、実は視聴者のゆれ動く心理状態が推測できる。
毎週日曜の夜には「大河ドラマ」との視聴パターンがうまれやすく、視聴率は他の番組よりは安定した数値を取りやすいだろう。
つまり、視聴率の確率分布が安定しやすい特徴を持つ。しかし、“平清盛”ではこの確率の安定性が第五回目から断層を起こしている。視聴率の取れる確率が急激にバラついてきたので、数値が乱れているのだ。
バラツキを数値化する「変動係数」も最初の4回目までは安定していた。しかし、5回目以降は急上昇している。
この番組の視聴率という「潮の流れ」が変わってしまったのであれば、つまり安定した視聴者層を失ったという仮設が成り立つのであれば・・・今後は浮遊者層を取り込むことが課題になってきているといえるのではないか。
こんな状況では、ちょっとした雑誌記事の反応や裏番組に有名人がテレビ出演すると影響をあたえるようになる。
今後の視聴率を予測するには、当初の4回目までの視聴率予測とは異なる工夫が必要だということがわかります。
これまでの予測に対する考え方は、過去の時系列データに含まれる撹乱要因と未来における未知の部分が存在することを理由に確率論や統計上はこんな感じという受け身的な考えが大勢を占めてきました。
こうした受身的な予測観は、ともすると科学性、客観性を見失い「予測は当たらない」とか「予測はムダである」などと言う評判に結びついたり“賭け”や“占い”と同一視されるケースも見受けられます。
その意味で予測には、受動的予測と能動的予測の2通りがあります。
受動的予測は、過去から現在までの推移から未来を確率的・統計的に推し計るものです
能動的予測とは、受動的予測を基礎としつつ、未来における期待値をあらかじめ意思決定し、それに向かうように販売活動や生産活動をコントロールしようとするものです
この能動的予測という立ち位置は『認識して反応する』『予実差異を見える化してから動く』から『予測して行動する』に焦点が変化してゆくのです。
冒頭の大河ドラマの例でいえば、視聴率を予測して【一喜一憂】するのではなく、ねらった視聴率をとるためにはアクティブな番組広告や、主演の松山ケンイチの露出をふやすといったマーケティング施策をうつということです。
つまり活動の未来を予測と実績の差異を『神の見えざる手の結果』とあきらめずに、アクティブに予実差異を最小限度におさえるアクションを明確にすることが大切です。
しかしながら、この能動的予測の場合でも、現在進行形の現象を客観的データで正しく把握することが前提になります。
そのため、受動的予測の側面をも、いいかげんにすることは許されません。
結果的に「予測」は過去から現在までの事実データの推移を、ERPや基礎データを積み上げるなどして、どれだけ正確にとらえきれるかということにいきつくわけです。
もちろん予測には限界がつきまといます。
未来に起こる現象は神のみぞ知るのであり、撹乱要因は無数に発生し、その全てを私たちがあらかじめ知ることは不可能です。
その意味で、予測の基本としては、何よりも先ず“過去の潮目の変化を正確に捉えていることが大前提になります。
この「潮目の変化」とはいったん何なのでしょうか?
たとえば、トレンドの断層、周期性のひずみなどの発生です。
毎年夏場に売れていた商品が不振に陥る「周期性の崩れ」の原因には、最近の異常気象で夏場にビールが足りなくなって売上が息切れしてしまったり、地震や台風など災害による農産物の収穫期、量の変動など自然的要因や義援金の配付など社会的制度・慣習の変化による要因がひずみの一因です。
こんな「ひずみ」を捉えておかないと「潮目の変化」を見ないで『予測が当たらない』と感情的になるわけです。
こんな状況で発生する潮目の変化を【トレンド・トラップ】と呼んでいます。

季節性・周期性の変動(サイクルトラップ)
トレンドの変化(Vトラップ)
過去データに断裂が生じるレベルの変化(エアーポケットトラップ)
この三種類にわけてトレンド・トラップを捉えています。
よく需要予測ソフトで
予測と実績の誤差が閾値を超えるモノを絞り込む「予実差異のアラーム」
商品やエリアで予測誤差がどういった傾向にあるのか把握する「マトリクス」
を見える化するという、うたい文句を見かけるのですが、こんな程度ではビジネスには役にたちません。
直前に発生しているトレンド・トラップが周期性の「ひずみ」なのか、トレンドに断裂が生じているのかを捉えて、それを予測モデルの微修正にいかさねばなりません。
つまり、未来をアクティブに予測するには、まず直近でおきているトレンド・トラップをつかまえる工夫が必要だということです。
では、たとえば【周期性の「ひずみ」】をどうやって捉えるのでしょうか?
これはフーリエ変換という統計的手法があるのです。
フーリエ変換はトレンドデータを周波数に変換する技・テクニックです。
下のグラフは某自動車メーカーがカーナビ・メーカーに示しているクルマの生産予定(内示)と実際の「かんばん」で引取った実績を比較したグラフです。

ここでは、毎月の生産予定と引取り「かんばん」の数値を17カ月の時系列データ(左から右に時間軸に照らしてグラフ化)にしています。
通常は自動車メーカーはカーナビメーカーなどの部品メーカーに三カ月先までの内示情報を提示し、事前に提示した内示を毎月見直すわけです。
部品メーカー側からみると、先々の情報をもらえるので未来の生産台数を予測してジャストインにそなえるわけです。自動車メーカーの内示が正確であれば予測など必要がないのですが、実際には部品メーカーは内示に基づいて予測を行います。
ここでも、潮目の変化を見てみましょう。最初の12ヶ月は変動係数が安定しています。一番上のグラフではいっけんすると毎月バラついていて安定なぞありえないように見えます。しかし、変動係数という統計を使うと13ヶ月目に潮目の変化を迎えていることが分かります。
さらにフーリエ変換してみてトレンドに周期性があるか調べてみます。
するとスペクトルというグラフをみれば5という数字と13という数字に2山うまれていることが分かります。
つまり5周期の波形と13周期の波形がまざっていることが伺えます。
グラフからは5周期が目視できますが、13周期の波形が混ざっているようです。
もう少し詳しくみてみないと判定はできませんが、周期性に歪がうまれているようです。
こんな状態ではボックス・ジェンキンス法という予測アルゴリズムに周期性を消し込むように工夫しつつ予測することになります。
いかがでしょうか?
ここまでおつきあいいただき、ありがとうございます。
最後にまとめます
実は、トレンド・トラップが生まれる前と後では予測ロジックを微修正しなければならないというアイデアは時系列分析ではかなり昔から研究されてきたのですが、サプライチェーンのブームにのって欧米からやってきたSCMソフトの大半はコレをおろそかにしていました。
DBM(ダイナミックバッファーマネジメント)も「かんばん方式」も共通しているのは、【売れたものを売れただけ補充する】という考え方だ。 運用のカギをにぎっているのがDBMは“バッファー”であり、かんばん方式は、もじどおり「かんばん」だ。どちらも、需要は常に変動し不確実なものだから、需要を予測しても当たらないという前提に立つ。だから、そもそも需要を予測しない。しかし、「売れた分だけ補充する」ということは未来在庫を【同じ数だけ売れる】と予測しているジレンマを抱えている。
目に見えない潮目の変化≒トレンド・トラップを統計の力で引き出し、注意深く予測アルゴリズムをチューニングすると予測精度はカイゼンする。
次回は、予測をつかって自動車サプライチェーンをカイゼンするコツをご紹介します























