『マン・オン・ワイヤー』(2008年) | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

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「史上、最も危険で美しい犯罪」(09.8/13劇場&DVD観賞)
 ジャンル:ドキュメンタリー
原題:MAN ON WIRE
製作年/国:2008年/英国
配給:エスパース・サロウ
公式サイト:http://www.espace-sarou.co.jp/manonwire/
上映時間:95分
公開日:2009年6月13日(土)
監督:ジェームズ・マーシュ
出演:フィリップ・プティ

マン・オン・ワイヤー:映画チラシ1表 

マン・オン・ワイヤー:映画チラシ1裏 

マン・オン・ワイヤー:映画チラシ2表 

マン・オン・ワイヤー:映画チラシ2裏 

2009年6月の日本公開当時に、京都の単館系ミニシアターの京都みなみ会館にて少し遅れて京都での公開の際に劇場鑑賞した作品ですが、この度、2016年の今年『ザ・ウォーク』の公開に伴い、本作品のDVDを苦労の末に購入し、今回、再鑑賞致しました。


マン・オン・ワイヤー:OPタイトル 

ニクソン大統領がウォーターゲート事件で辞任に追い込まれる、丁度その前日の、1974年8月7日の早朝。
あの忌まわしい9.11の世界同時多発テロの標的となり、今はなき、その当時世界一高いビルであった、NYの<ワールド・トレード・センター・ビル(世界貿易センタービル)>。

マン・オン・ワイヤー:WTCビル外観 
 
その南北のツインタワーを綱渡りで渡ろうとするフランス人の大道芸人。
彼の名はフィリップ・プティ。

マン・オン・ワイヤー:フィリップ・綱渡り開始前

 この作品は、高さ411メートル。地上110階という巨大なる2つの建物の間をワイヤーを渡してその上を命綱無しで歩くという快挙という名の<最も危険で美しい犯罪>を成し遂げた経緯を振り返るドキュメンタリー映画であり、現在公開中の映画『ザ・ウォーク』の元ネタの実話をまとめあげたドキュメンタリー作品です。

マン・オン・ワイヤー:綱渡り3

この作品のタイトルの『マン・オン・ワイヤー(綱渡りの男)』とは、裁判所からのプティへの訴状から採られたタイトルだそうです。

マン・オン・ワイヤー:最も危険で美しい犯罪 

この犯罪に気付いた警官が止めさせようと駆けつけたのですが、プティはそのまま45分もの間、ワイヤーの上で優雅に踊ったり、寝そべったりしてみせた。
その後、自ら逮捕され刑務所に入れられたが、最終的に釈放された。
許可なく綱渡りをするという違法行為でありながら、プティのまるで夢の様な綱渡りを見た当時の人々は、この事件を<史上、最も美しい犯罪>と呼んだのでした。

マン・オン・ワイヤー:フィリップ本人 

プティは誰からも聞かれる質問がある。
「なぜ、あんなことをしたのか?」
それに対してのプティの答えはいつもこうだった。
「理由なんてない。」と。
登山家に対して、「なぜ山に登るのか?」と聞けば「そこに山があるからだ!」との答えにも似た答えのようにも感じられます。
幼い頃より周囲に馴染めなかった彼にとっては、あくまでも独学で得た大道芸は自らの生きる術であったし、しかも見た者を幸せな気持ちにすることもできるのでした。
よって、リスクを省みず、より高い目標への挑戦を始めることとなります。
パリのノートルダム大聖堂に始まり、オーストラリア・シドニーのハーバーブリッジなど。

マン・オン・ワイヤー:シドニー 
▲オーストラリア・シドニーのハーバーブリッジにて。

しかしながら、彼は決して孤独だった訳ではなかった。彼の周りには、いつも同じ目標に向かって助け合える仲間達、この違法行為を手助けしてくれる共犯者達がいたのでした。

 このドキュメンタリー作品の中では、そんなプティを当時に支えていた仲間達。また心ならずも裏切ってしまった仲間達が、30年以上の時を経て登場し、映画の前半部分では、かなりの時間を割いて、当時の心境を回想をしながら吐露をしインタビューに終始する形式でした。また、プティ本人による回想も多く記録されていました。

マン・オン・ワイヤー:偽造ID 

そして、また特にあくまでも違法行為たる犯罪の実行であるからこそ、その当時の映像と再現映像を巧く織り交ぜた、緊張感あるモノクロ映像は<銀行強盗をするか!>の台詞の様に、実にハラハラさせられ放しでした。

マン・オン・ワイヤー:逮捕直後 
  
特に、実際に、綱渡りをする以前の計画段階から実行段階に至るまでの<犯罪>という名の駆け引きのモノクロの再現映像などについては、ジェームズ・マージュ監督は、カラー映像のインタビューとの対比からも、巧みに構成していましたね。

マン・オン・ワイヤー:綱渡り1 

マン・オン・ワイヤー:ビル下の聴衆 

マン・オン・ワイヤー:綱渡り2 

いま振り返ってDVD観賞しても、流石に、2009年度・米国アカデミー賞・最優秀長編ドキュメンタリー部門賞を受賞するなど世界各国で数々の名誉な賞を受賞するだけの事はある作品だと実感しましたね。

 マン・オン・ワイヤー:DVD 

また、何よりもBGMが素晴らしかったですね。
プティ本人の希望による起用らしいのですが、
マイケル・ナイマン氏のオリジナルスコアの楽曲の数々の魅力がとても素晴らしかったですね。
雄大で、且つ、繊細で爽快で、そして優しい調べの数々にはついつい魅了なされていまいましたね。

ですので、無論、私は日本公開時の劇場鑑賞後に、このマイケル・ナイマン氏のオリジナル・サントラ盤を購入したほどでした♪

マン・オン・ワイヤー:マイケル・ナイマンOST盤

私的な評価と致しましては、日本での劇場公開当時は、あまりにもインタビュー映像部分が多い過ぎる感もあった為に、ついつい眠たくなってしまった点を差し引いて、★★★★(80点)の評価としていた作品でしたが、今回DVD観賞した際には、たしかにインタビュー映像も多いのですが、あの『ザ・ウォーク』に比べて、あの偉業を成し遂げるに至るまでの心象風景も細部に亘って解説してくれていたので、『ザ・ウォーク』を観た後に、このDVDを観ると面白さは倍増しましたね。
ですので、DVDを再見しての評価は、ほぼ満点の★★★★☆(90点)にも相応しい作品だと再認識致しました次第です。

<追伸>
オススメ作品なのですが、あいにくと、現在では、DVDレンタルの取り扱いがほぼない作品で、且つ、Amazonなど大手ネット通販各社のサイトでも、DVDの販売在庫数も僅少で、購入することも、なかなか叶わない状態みたいですので、より多くの映画ファンにも、観賞の機会を得られるように、早期に、販売元の紀伊國屋書店DVD販売促進部にて再販手続きを採って頂きたい作品ですね。

●映画『マン・オン・ワイヤー』予告編


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