リアリズムの宿 | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

リアリズムの宿

2004年(日) 山下敦弘監督作品

 

僕の大好きなつげ義春の原作。

原作の持つ旅モノの魅力をうまく引き出していると思う。

 

駆け出し脚本家の坪井と、映画監督木下。

彼等は共通の知人である船木とともに、

日本海の鄙びた温泉地を旅行しようとしていたが、

肝心の船木が待ち合わせの駅に現れない。

仕方なく二人で貧乏旅行をすることに。

 

二人で海岸線に座って海を見ていると、

上半身裸のあっちゃんが走ってくる。

東京から来た21歳だそうだ。

 

そのまま成り行きで3人で旅を続けることとなり・・・

 

事件らしい事件はおこらず、

劇的なクライマックスがあるわけでもないのに、

観終わった後に充実感が残る。

 

金がないため安宿に泊まることになるのだが、

その安宿がひどい宿でもう笑うしかない状況がよくわかる。

 

釣りに出かけるが全く釣れず、

宿の主人が釣った魚を5,000円で買わされたり、

民家に泊めてもらうが、

家族が多すぎて居心地が悪かったり、

名ばかりの露天風呂に入る羽目になったり、

大笑いはできないがクスリとできるシーンが連続する。

 

冬の鳥取でのロケの効果も抜群で、

荒々しい日本海の表情もいいが、

雪の砂丘の上をあっちゃんが戯れるシーンが、

めちゃくちゃ美しい。

 

山下監督、

同じくつげ義春原作の、

『海辺の叙景』を映画化してくれないかな・・・

 

 

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