五聯隊の大晦日と元旦

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(明治35年1月12日 東奥日報より抜粋)

 

 各兵営の大掃除は舊臓28日より30日迄の間に執り行い、営門前には松飾りを設け国旗を交叉し……

 迎新の用意整える中に兵士は外出服の手入れ襯衣靴下等の洗濯をなし……

 晦日蕎麦を給するもあれば其夜は酒保の繁盛一方ならず、自費を投じて年越の祝盃を挙げ明日の晴天を祈りつつ一夜楽しく明かすなり……

 

 午前五時より六時の間に悉く床を離れ、若水に面を洗いて互いにお目出度うの祝辞を述べ、上長官に対しては常にも増して恭しく敬礼すれば是も日頃の怖い顔はなく……答礼しておめでとうと上官から口を開くに兵士の身では有難く心ますます勇むなるべし……

 

 元旦の朝飯は……雑煮或は紅白の餅を配り海老蒲鉾キントンの口取美しき料理の折詰一陶の酒も添えて渡さるる……

 

 千鳥足に酒保へ赴き飲み続ける上戸もあれば……入浴を済まして外出するもあり……

 

 

 五聯隊の将兵らは、大晦日に一年を無事終えたことに感謝し、新しき年(明治35年)を希望に満ちて迎えたに違いない。

 

 

歩兵第五聯隊兵営の一部

(青森市史別冊歩兵第五聯隊八甲田山雪中行軍遭難六十周年誌昭和38年)

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