秘剣はぐれ侍  斬る!斬る!斬る! 

ちょっとHなものから
シリアスなものまでをすこーし世の中からはぐれた
侍が書いているのでみてやってもいいよと言う人は
お付き合いください

腐った世の中に秘剣を振るう


はぐれの剣客日記




ここで、発表された書き物に関しての無断転載は禁じます。


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最近の面白かった事・・・。

「ねえわ!」

 

(7)

 少し時間が止まった後で、動きだした男が口を開く。

「はっ、なんだそんなもん・・・」

 今の魔法に気がいっているうちに男達のズボンを焼き尽くす。こんな輩にはこの手の悪戯が一番効く。まあ難点としては見たくもない汚い物を見なくてはならないので酒がまずくなることだろうか。

「ちょっ、なんだこれ」

心が狭いのかもしれないが、ちょっとだけ気分よく酒が飲める。魔法使いとしては一番やってはいけない行動なのかもしれないが・・・。

「あの、ありがとうございます」

「いや、ごめんよ。あんな汚いものを見せちまって」

 辛気臭いブスと思ってしまった自分を反省しつつ、彼女たちの奢りでラム酒を煽る。

「ワイズさん、ありがとうございます店を代表してお礼申し上げます」

「いやいや、これ以上飲まされたら俺があいつらみたいになっちまうよ。タミールにご馳走様と伝えてくれ」

 ワイズが店を出て路地を歩いていると、先程のやつらが周りを取り囲んだ。

「テメエ殺してやる!」

「おい、ラム酒で気分がいいんだからやめてくれよ」

「今度はヘマしねえ」

 言うなり剣を抜いて襲い掛かってきた。これは結構まずい、こいつの剣は一端のもので中級モンスターぐらいなら討伐できるぐらいの腕だ。

「お前を切り刻んで、あの店の前に並べてやるよ」

 趣味の悪い発想だ。だがこのままではそうなりかねない。逃げながら詠唱をしようにも周りの取り巻き達がそれを許さない。

「分かった。じゃあこうしよう。お前が剣の腕を披露するっていうのだから俺もそれに付き合おう」

「どういうことだ?」

「剣を貸してくれって言ってるんだ」

 魔法使いは魔法しか使えないと思っている人が居るかもしれないが、歴代の魔法使いもパーリングの名手と言われる人も結構いた。いつでも魔法を万全の状態で使えることは少ない、むしろ困難な状況で使うほうが多いだろう。

「何を言ってる、そんなもの貸すわけがないだろう」

「ほう、剣の自信がある割には臆病なんだな」

 実の所、剣を貰ったところでこいつには勝てない。時間稼ぎをすれば何かあるだろうと藻掻いているに過ぎない。

「いいだろう。おい剣を貸してやれ」

 目の前に出された剣は錆びついて、使えるようなシロモノでない。無いよりはマシかもしれないが、2、3合交えたなら折れてしまいそうだ。

「これで負けたら末代までの恥だな」

「大丈夫、負けはしないからな!」

 この状況はまずい、剣を拾ったら最後本当に切り刻まれるだろう。しかし何もしないのも結果は同じ。ゆっくりと剣を持とうとかがむと黒い影が頭の上を通り過ぎた。

 

ご意見をお待ちしております。

 

 

                                    はぐれ

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最近ちょっと酒断ちしているけど

一向に健康感はないですww

 

(6)

「別段酒を飲むなとは言わないが、俺が酒を飲んでいるのを邪魔するな」

「なんだとテメエ、殴られたいのか!」

「いや俺は酒が飲みたいだけだ。別段揉めるつもりはない」

 こういった手合は山ほど見てきたが、大概の男は見掛け倒しの場合が多い。だが装備を見る限りは元冒険者だったようだ。まあ、そこいらのゴロツキよりいくばくかはましなようだ。

「まずはテメエを排除して、気分良く飲ませてもらうぜ」

 やれやれだ。こういう連中は血を見ないと収まらないようだ。タダ酒を飲ませてもらえて気分がいいのに、いきなり最悪の気分になった。

「なあ、こうしないか。お互いに干渉せずに飲む。な、平和的だろう?」

「断る」

 もうこうなっては後戻りは出来ないだろう、やる気満々にこちらを睨んで立っている。突っかかってきた眼の前の男が一番のやり手のようだ。装備や体躯から見てもそこそこにやりそうだ。

「OK。ここじゃ店に迷惑がかかるから表に行こう」

「よし、ついてきな」

 普通に考えたらこんなヤサ男に負けるなんて夢にも思わない、だけどこっちだって死線を何度も超えてきている。正直こんな男と正面から100回やりあっても1回だって遅れをとることはないと思う。

 馬鹿正直に正面に向かって腕組みして立っている。

「ん?お前どっかで見たことあるな。・・・・・・・ひょっとしてワイズじゃねえか?」

「だとしたら?」

「ひゃはっ、おいお前たち英雄一行のお荷物ワイズだぜ」

 世間での評判は聞いているつもりだったが、ここまで酷いとは・・・。まあ違いないから言い返すことも出来ないのだが。

「じゃあ、もう行っていいか?もう一杯ラム酒が飲みたいんでな」

「待てよ、誰が行っていいって言ったよ。テメエを殴れば俺も英雄の仲間入りってことだよな?こんなチャンスを逃してたまるか!」

 魔法使いにこれほどまでに時間を与えてくれるとは素人以下の野郎だ。焼き尽くすっても考えたが、それをやっても酒がまずくなるだけだ。しょうが無いので、二度と歯向かえないようにしておくのがいいだろうと考えた。

「我が言霊に応えよ、イグニスの化身。ファイア・ランス」

 目の前の男に一直線に向かって炎の槍を放つ。勿論殺す気はないので、顔のすぐ横で打ち消し少しの火傷を負わす程度にしておく。

「ダメ魔法使いの技はどうだい?」

 

ご意見ご感想をどうぞ

 

 

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健康診断行ってますか?

私はちゃんと医者に脅されてきましたよ

 

(5)

「それは合っている」

「フフッ、まあ立ち話も何だから中に入ってよ」

「ありがとう」

 そう言えば目的はタダ酒を飲ませてもらうことだった、それを思い出すと喉が鳴り始めるのを感じた。まあこれだけの店を構えるオーナーともなればタダで飲ませてくれるものかと思っていたらタミールは奥へと引っ込んでしまった。何の確約も貰っていないので酒を注文するわけにもいかず、ただ席に座って店内の様子を覗っていた。

 しばらく黙って座っているとこの店の流行り具合はかなりのものと分かった。次から次へと多分踊り子タミール目当てに人が集まってくるのを感じた。しかも男性だけならまだ分かるのだが、何故か女性の客の姿も少なくない。踊り子が同姓を惹き付けるなどというのはよっぽどのことだと思うが、奥からゆらりと出てきた彼女の踊りを見たら納得だと言わざるを得なかった。踊りは言わずもがな息遣いや表情どれをとっても一級品以上で、旅に出ていた間は感じなかった物を多く感じた。

「これはすごいな・・・」

 タミールを知っているワイズがこの反応なのだ、初見の観客などは息をするのも忘れて余韻に浸っていた。

「今夜はありがとう。皆この後も楽しんでいってね」

 彼女が踊れば、金が落ちる。先程誰かが言っていたことだがあながち誇張されたものでもなく真実なのかもしれないと思った。

「あれワイズ、飲んでないの?」

「ああ、すまん・・・。金持ってきてなく・・・」

「アハハハハハハハ、取るわけないでしょー。ていうか払うって言っても貰わないわ」

 なんだかほっとしたのと情けないのと混ざり合って複雑な気持ちになった。とはいえタダ酒を断れるわけもなくカラカラに乾いた喉にラム酒をぶちこむ。

「くはぁー生き返るぅ」

「アハハ、そうそれその顔よ。じゃ、楽しんで行ってね」

 2杯目を注文してカウンターにいると女が2人何やら話しているのが聞こえる。

「タミールさんの踊り凄かったね。私もああいう風になりたいわ」

「場末の踊り子が何言ってんのよ」

 お世辞にも性的魅力が彼女の10分の1も無い女達の会話を鼻で笑っていると、見るからにという男達がカウンターに並んだ。

「おい人数分のラム酒をもってこい!」

 夜の店ではこういう輩が必ず居る。しかも群れを成しているからたちが悪い。

「おい、辛気くせえ野郎とブスはあっちへ行け俺達の席だ」

 まあ辛気臭いとブスは認めるが、酒を飲むのを制限される謂れはない。

 

ご意見をお待ちしております。

 

                              はぐれ

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夏になるのか?

とはいっても朝晩は寒い。

こういう季節はあまり好きではない。

 

(4)

「おいおい嘘だろ」

「本当に何も知らないんだねえ。タミールは王様に頼んであの建物をもらい受けたって話だよ」

 そんなことは考えもつかなかった。確かにあの建物なら沢山収容できるであろう。それをまるごと夜の店にしようとは発想そのものに驚いた。

「すげえこと考えついたな」

「あんたが何も考えてなさすぎなんじゃないの?」

 そう言われてもしょうがないとこの時心底思った。

「じゃ、行ってくるわ」

「頼んだよ」

 久しぶりに見えてくる塔に冒険者だった頃の自分を思い出し歩いていると、それを浸るのには似つかわしくない音楽だったり男が見えてきた。

「まじか・・・」

 外観だけはどことなく見え覚えがあるが、それは自分の知る建物とはまったく違っていた。仕方がないのでタミールを探そうと荷車を引いていると知らない女から声を掛けられた。

「あんた、それ酒だろ?早くしな、ちょうど在庫が切れたとこよ」

「ここに下ろせばいいのか?」

「おばちゃんもまた使え無さそうな奴をよこしたんもんだね」

 まあ言い返すだけの材料も無いので黙って作業をこなすことにする。

「これで最後だな」

「あいよ、おばちゃんによろしく言っておいてくれな」

「ところでタミールは居るかい?」

「あ?」

 ものすごく不審そうな目で見られる。まあその気持は痛いほどよく分かるが、こちらもそれを目当てに来たので引き下がるわけにもいかない。

「まあ、その目は分からないではないけど昔の馴染みのワイズが来たって言ってくれれば分かってくれると思うから」

「ワイズ?」

「ああ」

「まあ、おばちゃんの使いだからね。それだけは信用するとしようか」

 もしかしたらこの展開をおばちゃんは読んでいたのかもしれない。だとするとよっぽど俺より戦術眼に長けているかもしれない。

 はるか向こうに先程の女とタミールらしき人物が見える。まあいいように伝わって無かったにちがいない。首を横に振って大丈夫みたいなジェスチャーをしているのが確認できる。

「まあ、ご無沙汰だったじゃない。他の皆はすぐに来たけど一番来そうなあんたが最後に訪ねてくるなんて意外だったねぇ」

「さっきまで知らなかったんだよ、この店の存在をな」

「隠遁したって聞いていたけど、大陸一と名高いこの店を知らないなんてホントのもぐりなんだねぇ」

 この流行りようからして大陸一というのはあながち嘘でもないようだ。

「昔から知っているだろう?根暗だってこと」

「そうだったかね、アタシが知っているワイズはちょっとエロい酒好きだったと思っていたがねぇ」

 

ご意見を待っています。

 

                           はぐれ

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黄砂っていらねえ

 

(3)

 翌朝と言っても太陽も高く昇った昼過ぎに目が覚め、人々は働いている最中にやっとの思いでベッドから体を起こす。いい身分だと思うかもしれないが、本人にとってはまた最悪の1日が始まったという気持ちで一杯なのである。

「さてと・・・」

 ベッドの脇にあるサイドテーブルの瓶に目をやるとお気に入りのラム酒が空になっている。これでは現実逃避ができないと買いに行こうと財布を開いてみると空である。まともに仕事をしていないのだから当たり前なのだろうが、空の財布を見るのは結構ショックなものだ。

「どうしようかな」

 ふと一緒に冒険をしていた頃に妙に気があって朝まで飲み明かした仲間の顔を思い浮かべる。

「タミールは何しているかな」

 パーティーの中では唯一の女性で、踊り子を生業としていた。明るい性格で彼女のお陰で男所帯のむさ苦しい感じがどれだけ中和されたか、しかも踊りだけでなく武器を持たせてもかなりの腕で身軽な体から放たれる連撃には誰も敵わなかった。

 パーティーを解散して以来会ってなかったが、彼女もまた商売を始めたと聞いていた。多分飲み屋かなんかだろうから、ちょうど酒が切れた今持ってこいだろうと思い着替えて街へ出てみた。

「おばちゃん、久しぶりだな」

「あら落ちぶれワイズじゃない、まだ生きていたのかい?」

 口の悪さと噂話では王国一の名を欲しいままにするこの女性は、冒険に出る前からの知り合いでガキの頃から頭が上がらない。

「今日はタミールのことについて聞きに来たんだ」

「あらタミールに用なの?ちょうど良かったこの酒を持っていっておくれ」

 荷車に乗った酒が見える。大人1人で押せる量だが大変苦労しそうな感じが見て取れる。

「マジで・・・?」

「ほら、たまには額に汗して働くんだよ!」

 この人に言われたら、もう断るという選択肢は無い。しかしこれをどこまで届ければいいのだろうか、それを考えただけでもう気が滅入ってきた。

「おばちゃん、ところタミールの店はどこなんだい?」

「あらあんた知らないのかい。王国で踊り子タミールの店って言ったら知らない男は居ないよ」

 最近はあまり外を出歩くことも無く、いつもの店と自宅を行き来するだけだったので世間のことには疎くなっていた。

「で、どこなんだ?」

「あの塔が見えるだろ、昔はあんたもお世話になっていたんじゃないかい?」

 知っているも何もあれは魔物が湧く塔で、魔王の力を根源にして長らく冒険者達を悩ませた建物だ。

 

ご意見をください。

 

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この話し思いついた時はノリノリだったけど

書いている内にどうしようか・・・という感じになりつつある

ヤヴァイ

 

(2)

 魔導士ワイズ。その道を極めしものとして魔法を志すものからしたら一目を置かれる存在であった。だが魔法というのは強大な敵がいてこそのもので、平和が訪れたこの社会においては無用なものとなっている。

 勇者カインは王国の姫を娶り次期国王が約束されている。では他の面子はどうだろうか、そう考えたワイズは二日酔いの体を押して街に出てみることにした。まずは戦士のライアル、ガチムチの頭まで筋肉で出来ているようなやつだ。きっと彼も自分みたいにくるしんでいるに違いない・・・。

 その予想は簡単に覆される。そう言えば忘れていた、彼はすごく真面目で裏表のない性格でカインに並ぶ人たらしだったことを・・・。

「おうワイズ。どうしたんだ?お前も俺の会社に依頼か?」

 彼は今やブルーガーディアンズという護衛の会社を開いて、盗賊や魔物の残党などから依頼者を守るという仕事をしていた。彼の力だけではそうはならなかったのだろうが、生来の人たらしが幸いして彼を支える人達とでその形となった。

「いや、あれからどうかと思って訪ねてきたんだ」

「そうか、毎日忙しくやっているよ今日も俺自ら護衛の仕事をしてきた所だ。そういえばお前仕事しているのか?」

「いや・・・」

「じゃ、俺達を手伝わないか?」

 願ってもない申し出である。自分の価値を認めてくれる者がいたのだから。しかしそれは彼に媚びることになるのではないか?そう考えると下手なプライドが邪魔をして首を立てに振ることができなかった。

「いや、俺にもやることがあるから・・・」

「そうか、じゃあ暇になったら声かけてくれよな。あ、もし仕事の依頼があったら格安で引き受けるからよろしくな」

 ちゃっかり宣伝までされ、俺は護衛無しでは外も満足に歩けないとでも言いたいのかと思い、心の中で思いつく限りの悪態をついた。

「じゃあまたな・・・」

 この言葉を出すだけで精一杯だった。この場から一刻も早く離れなければ私は正真正銘の悪者となってしまう。それだけは確信を持って言えた。こんなみじめなことがあるだろうか仲間と思っていた男は成功を目に見える形で成していた。ブルーガーディアンズは王国でも誰でも知っている会社になっていた。もはやライアルが仕事をしなくても十分な稼ぎがあるだろう。そんな眩しい男をこれ以上みていたら自分の闇が増々濃く深くなっていく、すごすごと家に帰るとまたベッドでラム酒を煽った。

 

 

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GWは風邪を引いて死んでいました。

とはいえ、新作のネタの土台だけは作っていたので

とりあえずの1話目。続くかは・・・不明・・・・。

 

(1)

 時ははるか昔。まだ魔物という生物が表を闊歩していた時代。この国に現れた一人の勇者によってその時代が終焉を迎えた・・・。

 魔物が人を襲う時代はもう昔の事。人々は街の外でも護衛なしで歩ける。魔物の王は勇者一行によって討ち滅ぼされその手下どもは残らず消えた。そのパーティーは6人、勇者は勿論、戦士、僧侶、商人、踊り子、魔法使いの面々。

 

「畜生、どうして俺だけ・・・」

 冒険者が集まっていたという酒場で一人の男が昼間から酒を飲んでいる。酒場のマスターはこの男の愚痴をいつから聞いているだろうか、もう飽き飽きしているところに泥酔男の友人が入ってきた。

「いいところにきた。ワイズを連れて帰ってくれよ」

「マスターそれは俺には出来ないよ、こいつ酔うと面倒くさいんだ。マスターだって知っているだろう?」

「そう言うなよ、お前ここにいくらツケがあると思っているんだよ?連れて帰ってくれたら今月分は待ってやるからさ」

「ちっ、しゃーねえな」

 ここで酔いつぶれている男の名はワイズ。実は勇者一行に居た魔法使いで国から英雄扱いされた者の1人である。しかし、その栄光は今の姿にはどこにも残っていない。

「おいワイズ、いい加減にしとけよ。勇者様は今やこの国の王子様だぞ、恥ずかしくないのか!」

 その言葉は今のこの男にとっては禁句中の禁句。勇者カインは元々裕福ではない家の子で同年代の男子はカインのことなど誰も気にも留めないほどの存在だった。それがいつの頃からかホラ吹きのような事を言い出し、ついには魔王を倒すほどの存在になる。私が一番イヤなのはそれを吹聴もせずに、たまたまだよとか運が良かったとか言ったりして最後には俺じゃなく仲間が頑張ったおかげとか言っちゃう所だ。

「俺はどうせ役に立たない存在だよ、くそったれ」

 意外にみんなには知られていないのだが、魔法使いというのはバンバン呪文を唱えて魔法を出したりはできない。炎を操る魔術にしても心の中に祭壇を描いて、呪文を詠唱して手の中に炎の精霊を宿しそれを使役する。その一連の流れをするまでに大抵は敵の猛攻を受ける。だから逃げキャラのように思われる節がある、実際詠唱を終えるまでに戦闘が終わっていたなんていうことも一度や二度ではない。

「また言っているよ。ほら立って歩けよ」

「うるせえ、もっと呑ませろ」

 正体が無くなるまで飲んで、最悪の朝を迎える。それが最近の彼で、その姿を見てまた人が避けていくようになっていっている。

 

ご意見を待っています。

 

                                       はぐれ

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https://youtu.be/nbeGeXgjh9Q

再生してからお読みください。

 

 

作詞&作曲 中田ヤスタカ

歌 Perfume

「ねえねえ・・・」

 それが彼女の口癖。俺は決して甲斐性があるほうではないけどいつも思っているよ、君を必ず幸せにしてやるってね。

 君と付き合いだして何度目の夏が来ようとしているのか。季節も長袖からそろそろ半袖が欲しい感じになってきた。暑くもないし寒くもない。一年で一番過ごしやすく最も好きな時節でもあるので朝の目覚めは悪くない。陽の光が昇る少し前夜から朝に変わる時間に目が覚める。少し早いと思うが彼女は起きているだろうかと考えると何だか嬉しくなる。付き合いたてのカップルじゃあるまいしと思われるかもしれないが、この気持がなくならないのが不思議なくらいだ。

 携帯が着信を知らせるランプを点滅させて僕に訴えかけてくる。この時間なら間違いなく彼女だろうと画面を見るとやはりそうだ。

― 今日はどこに行こうかな?

 いつも予定を立てるのは君。いつの頃からか僕の意見は無くなり彼女に従うようになっていた。だがそれが心地よく幸せな気分になる。そうそこがどこであれ、何をしていようとも特別な場所になるからだ。

 この交差点を曲がれば海が見える。信号が青に変わり右折した先に水平線が見えた。海沿いの道に入ると必ず聞く音楽がある。それは何度聞いても飽きずに定番となった今でも出会った頃の新鮮さを彷彿とさせるから不思議だ。

 あといくつ君との思い出を作れるだろうか、そして君はどう思っているのかな。僕と一緒の気持ちだったらいいのにな・・・。そう思いつつまた休日の早い朝を迎える。

「今日はどこに誘ってくれるのかな?」

 

                                      終わり

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これで今回の作品は終わりになります。

しばらく時代物を書いていましたが、次回はそれをやめます。

次週はちょっと案を練るのでおやすみにしようと思います。

 

(33)

 普通なら死にゆく男に慈悲をかけて介錯などしてやるのだろうが、とてもそんなことをしてやる気にもならない男だ。

「山崎殿、ありがとうございます。恨みがやっと晴らせまする」

 そう言ったかと思うと、抜いた刀でとどめを刺した。そう当初の目的は仇討ち、しかもこの目の前にいる父を手に掛けた男の願いで沢木 仙次郎を討つことであった。それが果たされた今、自分には決めなければならないことがあった。実質無抵抗の父を手に掛けた男、彼の処遇を・・・。

「念願は果たされたな。じゃあ・・・」

 そこまで言うと配下の男は何かを察したのか、正綱を庇うように立った。

「そうですね。山崎殿にとって拙者は父の仇。念願叶った際の事は貴方に任せるとお約束致しました。いかようにもしてくだされ」

 父の最後を見ている立場として仇敵を討ち果たすことは、至極真っ当なことかもしれない。だが武家の暮らしを離れた期間が私の何かを変えたのかもしれない。

「一つだけ・・・結論から言うと私はお主を討つ気はない。だが、沢木の家が再興するのも許すことは出来ぬ」

「はい・・・」

「だから、お主にも野に下って生きていく道を探って欲しいのだ」

「出来ますでしょうか?」

「いずれにしろ、それはお主次第だろう」

「はい」

 ここで彼を殺してしまうのは簡単なことだ。だが、それをしてはいけないと理由ははっきりとは分からなかったがそう思った。

 仇討ちは大成功に終わった。この話は表沙汰に出来ない事情からおおっぴらにされることは無かった。しかし江戸の庶民はこういった話が好きで人伝いに話は広まり、父の仇を許した山崎 源太郎の名前は美化されて広まった。本人にそんな気はなかったとしても話は尾ひれが付くものである。

「山崎 源太郎殿、恨みを・・・」

 そんな声の掛けられ方を何度したことだろうか。別に仇討ちを専門にやっていきたいわけではない。むしろ自分としては鍔を作って密やかに暮らしていきたい、だがそれを周りが許さない。無理だと思われた仇討ちを果たした腕を見込んで色々な依頼が舞い込んだ、山崎 源太郎の生涯は決して表に出ることは無かったが、その功績をしる人は数知れない・・・。

                               (終わり)

 

次回の作品を期待してね

 

 

                                       はぐれ

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先週は風邪を引いて寝込んでいました。

歳を取ると治りが悪い・・・。まだ体調が万全ではありません。

 

(32)

「どう勘ぐろうとも、貴様の命を狙うものがここに立っている。それ以外に大事なことはないだろう?」

「返り討ちじゃ」

 驚いたことに正綱配下の男が斬りかかった。その隙をつけないようでは剣士とは言えない。前に居た三人のうち二人を斬った、一人は逃したがここは彼に任せて仙次郎を討ち取ることに専念する。

 仙次郎が戦っている姿を見たことは無かったが、抜いた刀には不気味な気配が漂っていた。

「お前のような奴に討たれてやるほど、わしは甘くはないぞ」

「お前の首を獲るためにどれだけ待ったことか!」

 風切音を残しながら迫る刀身をぎりぎりで避けて反撃、それに呼応して相手も横に避けながらこちらの胴を払ってくる。着物の表面の布が裂け体の少し上を通っていく、予想以上に鋭い攻撃に驚きながらも己のすべてを賭けるに相応しいとも考えはじめていた。

 この剣は実戦の場で鍛え上げた剣だ、とても道場などで習えるような太刀筋ではない。確実に急所を狙う太刀は少しでも隙があれば得物を捉えることであろう。そうはさせじと対抗して刃を出すが、まるでこちらの動きを察知しているかのような体の運びで最小限の動きで反撃をしてくる。

「まずいな」

 口から出た言葉が状況を示唆している。無意識なのだが、本当にどうやって仙次郎の攻撃をかいくぐって一撃を入れればいいのか見当もつかない。己の腕が未熟だと言えばそれまでなのだが、それ以上に奴の剣筋が常人離れしていると言っていいと思う。

「死ね」

 それまであった斬撃の中で唯一隙らしい隙のある一刀が来た。勿論それを見逃さずに躱しながら全力でがら空きの肩口へ打ち込もうとする。そこでなぜだがほんの一瞬だが師匠と言うべき人の顔が浮かんだ。

『最大の好機は最大の窮地でもある』

 後から冷静になってみると、あれだけ冷淡に急所を的確に付いて来る相手があんな隙を見せること事態がおかしい。だがそれを戦いの中で客観的に見られる人はそうは居ない。これまでは自分自身もそうであった。

 強張った体が一瞬だけ刀を止め、相手の刀の出所をはっきりと見分けさせる。明らかに焦りの顔が見えた仙次郎の目が自分の振るった刀を追いかけている。

―ざんっ

 鋭く体を斬り裂いた斬撃に庭土が真っ赤に染まる。

「うぎゃぁぁ」

 必殺の一刀に仙次郎が転げまわる。一瞬反応しただけに絶命とまではいかなかったが、致命傷になったことは言うまでもない。

「やりましたな、拙者殿を呼んできまする」

 いつの間にか正綱配下の男は一人を倒していた。

「くそっ・・・、痛いな。終わりか・・・」

「介錯はせぬ、死ぬまでここで見ていてやるから安心しろ」

 

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