秘剣はぐれ侍  斬る!斬る!斬る! 

ちょっとHなものから
シリアスなものまでをすこーし世の中からはぐれた
侍が書いているのでみてやってもいいよと言う人は
お付き合いください

腐った世の中に秘剣を振るう


はぐれの剣客日記




ここで、発表された書き物に関しての無断転載は禁じます。


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先週更新しようとしたのですが

体調不良だった為できませんでした。

今週は遅くなりましたがなんとか更新です。

 

(31)

 供養は後でいくらでもできる。今あやつの命に応えられる事は本懐を果たすことだろう。

「もう駄目じゃ、目の前の敵に集中しろ」

「ですが」

「くどい、お前も死にたいのか」

「は、はい・・・」

 まずいことになった。今さっき黙らせた男達の士気も上がっている。ここで此奴に時間を掛けていては、この人数全員を相手にせねばならなくなる。

「かかってまいれ」

 大喝で自分を鼓舞するとともに周りの敵を牽制する。槍の穂先が生き物のように喉に胸にと次々急所に迫ってくる。この男の腕は相当なもので修羅場をくぐったのも一度や二度では無さそうだ。だからここでは、こちらもそれ相応を掛けて挑まねば勝機は見いだせない。

 その行動には敵も味方も驚いた。槍と戦うなら少しでも間合いの取れる大刀を構えているのがいいに決っている。しかし源太郎は何を思ったのか小太刀を抜いて構えている。

「ははは、どうした拙者の槍さばきに錯乱したのか」

「源太郎殿、勝負を投げては・・・」

「黙っていろ」

 その本気は相手にも通じたようで猛然と突きかかってきた。それはとある意思を持って手から放たれた。

「そうくると・・・」

 多分誰もがそれを投げて使用すると思ったらしい、いや投げて使用するという点に於いては間違っていない。地面に小太刀が刺さっている、それは敵に向かって投げたのではなく地面に指すために投げたのだ。

「あ・・・」

「えいっ」

 想定外の跳躍で源太郎は宙に舞い、頭上から斬りつけた刀は誰もが驚愕したままの状態で槍使いを絶命せしめた。

「お見事」

 そして士気の上がりかけていた敵は皆黙った。ゆっくりと小太刀を地面から引き抜きじろりと睨みつける。歩いてその脇を通りぬけ一言静かに言葉を置いていく。

「死にたくなくば去れ」

 浪人たちは蜘蛛の子を散らすように居なくなった。火事とこの騒ぎで屋敷は沈黙した。

「行くぞ。まだ本懐は果たしていない」

「はい」

 数人の侍の後ろに仙次郎の姿が見える。やっと仇敵の姿を捉えた。小走りで駆け寄ると当たり前だろうがそれを守るように侍が立ちはだかった。

「言っておく。私は山崎 源介が一子源太郎。罠に嵌められて殺された父の無念を晴らすべく来た。関係ない者の命を奪う気はない」

「親子揃って邪魔を、お前のような奴がまさかこんな用意周到に事を運んでこようとは・・・。この様子だと忍でも雇ったか」

 当たってはいないが、忍の者が活躍したことには違いはない。彼が居なかったらここまでは出来なかったかもしれない。

 

ご意見・ご感想をお待ちしております。

 

 

                                      はぐれ

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最近ちょっとだけ寒さが和らいだ気がします。

早く暖かくなって欲しいけど

花粉症がね・・・。

 

(30)

 騒然としている屋敷に押し入ると刃向かうものも少なく、割りとすんなりと入っていけた。

「源太郎殿の仕業ですか?」

「いや私ではない・・・」

 とすると誰がこんな事をしたのだろうか、自然に起きたにしては火の回りが良すぎる。と目の前に現れた男に見覚えがあった。

「これはお主であったか」

「ふふふ、これはあくまで興味よ、ここらで私は退散する」

「ああ、まあ見ていろ」

 なんにせよ新田が助けてくれたのでこちらとしては大いに助かった。これで討ち漏らしたとなればこれは末代までの恥とせねばならない。多分それはもう侍としては生きてはいけないことを意味する。

「源太郎殿、仙次郎はいずこでしょうか」

「普通なら一番奥だろうな、だがそこには炎に近いとなると一番安全で周囲を確認できるのは・・・」

 庭に浪人が集まって来ている。間違いなくあそこに依頼人がいる。それは金づるが居なくなっては自分たちの食い扶持が無くなるのだ、相手も必死だろう。

「あそこだ」

「結構居ますね」

「ああ、だが烏合の衆を黙らせるのにはこれが一番だ」

 そう言って体を傾けた源太郎は、弾丸のように黒山に突進して行った。手前に居た男は刀を抜く間も与えずに首筋を一太刀、次いで横に居た男の腹を一突きしてからようやく気づいた左に居た男の右手首を一刀のもとに跳ね飛ばす。ここまで流れるような一連の動きに誰もが正気を失った。なおも最初の男が差していた刀を引き抜いてこれだと感じた男へ投げつけた。刀は唸りを上げて空中を進み、見事に胸板を貫いた。

「ご当主、沢木 仙次郎に用がある。関係のない者の命を獲るつもりは無い、早々に立ち去るがいい!」

 怯んだ者達はその場を動けないでいる。これでいい、歯向かってこないというのが重要だ。

「どけい。拙者が行こう」

 どこに隠れていたのか、浪人達の中にあってはかなり雰囲気がある。刀を差してはいるが持っている短槍が本命の得物だろう。

「ほう、逃げなくて良いのか」

「いい食い扶持なんでね。しかもお前を殺せば追加で二十五両ときたものだ。是が非でもといった所だ」

「お前の命の値段にしては高いな。よかろうかかってまいれ」

 短槍は刀よりも間合いが長く長槍のように扱いにくくない。しかし室内戦を想定した物で在るためこのような広い場所では刀の方が良い時が多い。そんなことを考えているととんでもない速度で槍が目の前に迫ってきた。間一髪で躱すと正綱の配下の体を貫いた。

「斎藤」

 こう言っては何だが、着いてきた二人の名前を私はよく知らない。もうあれでは助からないだろう。斎藤某には悪いがここで気を抜けば次は自分がああなる。

 

ご意見をどうぞ

 

 

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もうこの物語も終わりが見えてきました。

次回作はちょっと見えていないので

どうにかひねり出さないと・・・。

 

(29)

「準備は整ったぞ」

「いよいよですか」

「指南役の役もここまで、後は私自身も一人の復讐者として参加させてもらうぞ」

「ご随意に」

 参加するのは源太郎を含め四人。だが実質は三人で一人は足手まといの状態である。だがこの作戦を辞めないのは勝算があるからだった。

「しかしこんな昼間から行って勝ち目はあるのですか?」

「ああ、ここ一ヶ月の成果が出ている頃からだからな」

 新田と会った日から一ヶ月の間、夜になると色々な事をした。それも連日連夜だったので見張りの兵や多分仙次郎自身も疲れ切っている頃合いだった。他にどこかへ行くこともできないだろうし、誰かに助けを求めようにもその術が無いことを知っていた。

「こちらが勝る部分は体調が万全だということ。一人頭六人も討てば大願成就じゃ。いいな?」

「はっ」

「おまかせあれ」

 一番声が大きかったのが正綱だったのが一抹の不安を覚えたが、成功の事しか考えないようにした。

 門番は立っていたが見るからに疲れ切っているように見える。こちらにとって好都合だが、このままこっそり入っていくのは泥棒のようで後味が悪い。そんなことを気にするのは私が少しは武士の端くれだったと言うことなのだろうか。

 颯爽と門番に走り寄ると何も言わずに頸動脈を刎ねた。此奴に恨みなどないが覚悟ということを見せるにも必要なことだった。

「正綱、名乗りを上げよ」

 これには本人含め配下の二人も驚いたようで無言でこちらを見つめていた。

「いいのだ。じゃないと近隣の者達が駆けつけた時まずい。ここは街外れと言えども武家の下屋敷などが周りにある」

「なるほど、正当であると」

「正当とまでは言わないが、手出しをしてくることはないだろう。その役目正綱にやってもらう」

「殿、お願い致します」

「お、おう」

 大きく深呼吸をして腹から声を出して自分の名前を叫んだ。

「殿、ご立派でございます」

「お前の役目は誰もここに入って来られないようにすることだ。出来るな」

「承知」

 これが考えた末に彼に与えた役目であった。この仇討ちで怖いのは一番近くにある武家下屋敷の者たちが駆けつけてくることであった。しかも一ヶ月の間周りで騒ぎあったのだから警戒されているに違いなかった。

「行くぞ」

 ここからは時間の勝負、逃げられる前に混乱させてその場にとどまらせるようにしなければならないと思っていると屋敷の外れのほうから煙が立つのが見えた。

「どうした?」

「さあ、どうやら火事のようです」

 

ご意見をどうぞ

 

 

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月曜に更新しようとしたら

なんかメンテナンスだったんで

そのまま放置していたら更新するの忘れていました(すいません)

 

(28)

 偵察のつもりで沢木邸へ向かっていると表の木戸は封印されており、人の気配が全くしなかった。辺りを探ってみたが誰も居ずに当主の仙次郎の行方が掴めなかった。

「困ったな・・・」

 これ以上留まっても仕方がないので帰ろうとしていると、ひたひたと誰かが尾いてくるのを感じた。すぐにどうこうするような距離でなくただ後ろに居るという感じであった。

「どうしたものかな」

 しばらく歩いていると曲がり角があって、曲がった瞬間追跡者の視界から消えることができた。と同時に腰から刀を引き抜くと、それを足掛かりに土塀を乗り越えて下げ緒引いて刀を回収した。

 しばらく息をひそめているとひたひたと人が歩く音が聞こえた。そして私の姿を見失ったことが分かると立ち止まった。

「山崎 源太郎。まいった、俺だ」

 聞き覚えのある声だ。すっと土塀に上がると姿は変わっていたが新田に相違なかった。

「なんだお主か、何用だ?」

「なぜそんな動きが?」

「お前も私のすべてを知ってはいないということだな」

「なるほど・・・」

「で、わざわざ出向いたのには?」

「そうそう、ここで張っていても仙次郎は帰ってこないと忠告しようと思ってな」

「家を出た時からか?」

「察しがいいね。でも現状確認をしたほうが分かりやすいかと思ってね」

「ふむ、まあいいか。で行き先は?」

「その覚悟があるか確かめようかと・・・」

 刀をすらりと抜くと目の前の松の枝をすっぱりと切った。

「どうせ、殺らない限りは先には進めんさ」

「そうくると思ったが、一応確認したまでよ。仙次郎は雑司が谷の外れ今は使われていない廃寺に居る」

「どうしてそれを?」

「まあ金の行き先がどこだったのか、それから辿ったのさ」

「なるほど、ありがたいでは早速」

「待て、向こうも愚かではない。こういう状況に陥ったからこそ用心はしているぞ」

「何人いようと関係ない。ただ斬る」

 少し高揚していたこともあり深い考えも無しに答えてしまったが、冷静になったとしても乗り込む以外に選択肢はないことは明白だった。

「では、今回の件での少しはいい話を持ってきたぞ」

「何だ?」

「降りてこい」

 土塀の上から降りると懐から紙を手渡してきた。中身は見取り図と兵の配置図が示されていた。

「夜は篝火を炊いているぞ」

「ほう、じゃあちょっと驚かしてやるか」

「夜討ちするのか?」

「こちらが勝るには消耗戦しかないだろう・・・」

「おもしろいな、手を貸そうか?」

 其の日から屋敷に度々顔を出しては見張りの兵を襲ったり、新田の用意した爆薬などを仕掛けたりした。

 

ご意見を待っています。

 

 

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あ、そうかバレン・・・・・・・・
よそう関係のない話だ。
 

(27)

 それからすぐに源太郎も行方をくらまして遊郭から姿を消した。噂で聞いたのだが数日もしないうちに町方が打ち込み今では建物を残して誰も居ない廃墟となっているそうだ。しかし誰がどうなったということもなく、沢木も相変わらずらしい。

「どうなっているのだ。あなたはあそこを壊滅させる為だけに潜入したのではないでしょう?」

「確かにそうだ。だが、私の話も信じて欲しい」

 新田とのやりとりを包み隠さずに正綱に語った。確かにこれで信じろというのは無理かもしれないが、やはり彼の仕事を待つしか現状は手立てが無かった。

 一ヶ月の後事態は急に動き出した。郡代の加藤 帯刀が切腹となり、その後ろ盾であったといわれる目付役進藤 兼房が蟄居となった。まさにこれが新田の狙いであり沢木の後ろ盾になっていた人物であった。

「源太郎殿やりましたな」

「ああ、ここまでやってくれるとはな」

 そして一通の文が源太郎の元へ届いた。

―協力感謝する。これで返答になっただろうか。ついでに幕府の職も解くように進言もしておいたので決行するならそれからが良し

 何から何まで彼の手の上で踊らされた感じだったが、こちらとしては問題ない。どういう形であれ沢木 仙次郎を追い詰めることができたのだから。

 沢木屋敷からは使用人含め主だった者は去るか評定所へ送られ、その人数は全盛期の半分以下となっていた。当主の仙次郎は金の力やそれを最後まで探られると困る連中のお蔭でなんとか罪は免れたが、金を稼ぐ手段が無くなり今まで疎まれていた裏社会の連中からも付け狙われで青色吐息というのが現状だった。

「決行の時だ。準備はできているか?」

「若、拙者たちはいつでも」

 家臣の二人は道場などに通い、そこそこ使えるようにはなっていたがいかんせん正綱はいけない。まあどんな世界でもそうかもしれないが、天性のものというものが皆無でおよそ刀を握れるような性格ではないのだろう。

「よし、お前はもう戦いに参加しなくていい」

 これが賢明な判断だろう、足手まといなのだが一応敵討ちということとなると彼は必要となる。

「いつ?」

「そうよな一度様子を見てそれから決める。連絡を待ってくれ」

「承知しました」

 いくら力が衰えたとはいえ、こちらの戦力の何倍もあるのには違いない。真正面からやりあっても事は成就しないことは明白だ。

 
ご意見とか愛をください。
 
 
                                   はぐれ
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いつも月曜更新を心がけているのですが
今週は火曜に更新です。(すいません忘れていました・・・)
 

(26)

 善蔵の自室は屋敷の奥にあり、不用意に近づくと不審がられてしまう。だが其の夜に限っては絶好の言い訳が用意されていた。

「止まれ何の用だ?」

「善蔵さん、金の運び手が足りないのだ。ここの人員を回してもよろしいでしょうか?」

「何故だ?」

「聞いてないのか、あの乱痴気騒ぎのお陰で門番が何人か使い物になってないのを」

 これは新田の策で、薬で数名が使い物にならない状態になっていた。

「ちっ、後で減給にしてくれる。仕方ないお前たち行って来い」

「すいませんね」

 門番が居なくなった瞬間源太郎の身は善蔵の部屋の中にあった。無言で足音も立てずに彼に近づくと襟を手繰り寄せて首筋に這わすように引き上げた。一瞬で意識は飛んで声を上げる間もなく糸の切れた人形のようになった。すぐに襖から布団を取り出すと懐から取り出した縄で善蔵を簀巻にした。

「結構重いな、さぞ良い物食ってやがるんだな」

 肩に担ぎ上げて部屋を後にすると、廊下で先程まで居た門番とすれ違った。

「おい、それは何だ?」

 確かに部屋に来るときに何も持っていなかった男が、あからさまに怪しい物を持っていたら聞きたくなる。

「何だお主も簀巻にされたいのか?」

「どういうことだ?」

「善蔵さんが失態を許すとでも?」

 はったりも堂々としていれば真実となる。その態度に不審を覚える者はそうは居ないだろう。

「怖い怖い。どこへ連れて行かれるのだ?」

「さあ、舟に乗せられるとだけ聞いているが?」

「そう・・・か」

 これまでに失態を演じてこういった目に合ったものは居た。それを知っているだけに誰もこれに対して物言うことは無かった。

 

「おい連れてきたぞ」

「待っていた。誰にも悟られてはいないな?」

「ああ、だがそれも時間の問題だぞ」

「大丈夫だ。もうここには用は無い。後は俺に任せておけ」

「何?じゃあ、私はどうすればよいのだ?」

「自分で考えろ。だが、沢木の財源と後ろ盾も揺るがすことになることだけは約束しよう」

「で、お前の雇い主も万々歳というわけか」

「そういうことになるな」

「信じろと?」

「ああ、それしかないな」

 ここで奴の言葉を鵜呑みにしてしまうのもどうかと思うが、乗りかかった舟を途中で降りるわけにも行かない。

「信じるが、連絡は欲しいものだな」

「わかったよ、山崎 源太郎殿・・・」

 その不敵な笑みが怖かった。本名を呼ばれただけなのに全てを知っているぞというような得体の知れない気迫みたいなものを感じた。

 
ご意見をください
 
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1月ももう終わり。
あれっこの前正月明けたよね?ってな感じです。
 

(25)

「ちょっと試させてもらいました。あなたが体調を崩すことなど無かったものですからね、今夜の警備もお願いしますよ。例の積荷が入ったばかりですし」

「承知しました」

 そこでは出さなかったが部屋に戻った後、深い溜息をついていた。まさかこんなに疲れるとは思ってもみなかった。しかし凄いのはこの化け術である。ここまで何とか誤魔化せたのだ。

「なかなか堂に入っている。これからもちょくちょく変わってもらうかな」

 いつの間にか部屋に新田が入ってきていた。普段なら気づいていたのかもしれないが、この時ばかりは疲れ切って反応できない状態だった。

「お主、こんなことまでさせて収穫が無かったでは済まされないぞ」

「分かっておる。しかし、主人に呼び出されたときは焦ったな」

「お前見ていたのか!」

「ああ、帰ってきた時に見かけてな」

 こいつの脳内を見てやりたい。こっとは背中に冷たい汗を感じるぐらいの心境だったのに楽しんでいるような口振りで・・・。

「斬られたいらしいな」

「まあまあ聞け。黒幕はちゃんと突き止めたぞ」

「誰だ?」

「郡代 加藤 帯刀」

「どういう男だ?」

「野心家でな非道な男で、裏で泣いている奴は数知れないだろう」

 郡代までもが協力する男、沢木とは強大な敵なのだと改めて感じた。

「で、どうするのだ?」

「こちらの目的はほぼ達した。本来ならここで終わりにしても良いのだが・・・」

「こちらの要件はほったらかしでか?」

「だからこうして戻ってきているではないか」

 ここで暴れて潰してしまうのは多分可能だろう。だがしかしそんなことをしてもまた同じような場所が出来るに違いない。元から潰すにはこれを証拠にその加藤某を失脚させるのが良いだろう。この密談は深夜にまで及んだ。

 翌朝休みをもらって留守になっていることになっていた自分の姿で正門から入って帰ってきた。すぐに警備の仕事をさせられたので、この割り振りをした新田のことを恨んだ。

「今晩やれるか?」

「眠らさないつもりか?」

「まあ、そういうな。昼で交代をよこしてやる、夜まで休め」

「本当だろうな」

「ああ、打ち合わせ通りに頼むぞ」

「分かった。早く眠りたいのだ」

 ちゃんと昼には交代の男が現れてようやくちゃんとした眠りにつくことができた。夜になると店は大いに繁盛しているようで、どこかの富豪が乱痴気騒ぎをしているのが聞こえてくる。

「準備はよいか?」

「ああ、私は善蔵を押さえれば良いのだな?」

「よし、目立たぬように頼むぞ。今日は金を運ぶ為に舟が着く日だからな」

 月に二度小舟が外から入り売上の金を沢木に持って行く、その舟に善蔵を積んで運び出してしまおうというのだ。

 
ご意見をくださいな
 
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今日は・・・。
歳を一つ取る日。それだけ・・・。
 

(24)

こういったときは必ず新田が出てきて解決していた。そして今回もその運びとなったのだが、ここで偽物の自分が出て行ってしまうとばれてしまう。なぜなら自分の剣と彼の太刀筋は全く違うものだったからだ。

しかし、行かないわけにもいかない。仕方がなくその男の前に行くと、おおよそ正常な人間の顔はしていない。かなり厄介だ状態だ。

「うぎゃああああああああああああああ」

 どこにあったのか短刀を振り回して今にも死人が出そうな感じだ。すぐにでも止めたい所だが、ここで刀を抜かずにあれを沈静化させるのは至難の業だ。

「どうしたものかな」

 そこでふと師匠の顔を思い出す。師匠は刀だけでなく無刀の業も一つだけ教えてくれていた。しかしその時一度修行しただけで、その後それを使ったことはなかった。ぶっつけで上手くいくだろうか

やるしか無い。そう思った瞬間体は男の前に踊りだし密着するように背中を預けた。其の瞬間男の体は宙に舞う。相手の力を使った業でその昔戦場で使われたものだと言っていた。ここまで上手くいくとは思わなかったが、その業のおかげで無力化することに成功した。

「やりますな新田殿。いつものように抜くのかと思いましたよ」

「ごほっごほ。体調が万全でないのでな・・・」

 これで誤魔化せただろうか。普段は使わない体術だったが周りは気がついていないようだ。

「新田さん、後で部屋に来て下さい」

 まずいことになった主の善蔵に呼び出された。ここで変なことを聞かれては正体がばれてしまう。ここは何とか誤魔化しきらないといけない。

「・・・来ました」

「入って下さい」

「失礼します」

 部屋に入ると善蔵が座ってこちらを見据えていた。彼とて裏稼業の顔役。眼光鋭くすべてを見通すようだ。

「新田さん、体の調子はどうですか?」

「はい・・・あまり・・・」

 あえて口数を少なくする、それでなくてもボロが出てしまうような状況にきっかけを与えるようなことはしたくない。

「さてと、じゃあ本題に移りましょうか。新田さん、この前言った千石さんのことですけどどう思いますか?」

 困った。一難去ってまた一難、この前とは何だろうか打ち合わせでもこのことは聞いていない。間違ったことを言えば疑われることになりかねない。しかし間を空けてしまうと余計怪しまれる。

「何のことでしょうか。奴がどうかしましたか?」

「・・・」

 正解だったのだろうか、しかし何も聞いていなかった以上これが正解だと信じて動揺を表に出さないようにする。

 
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                      はぐれ
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大寒波舐めてた。

部屋で白い息が出るとは・・・。(エアコン故障中)

 

 

(23)

「まさかそれが上手くいくと本気で思っているのか?私でもそれが無理なことぐらい分かるぞ」

「お前に言われなくてもそこらへんは考えてある。ちょっとこっちにこい」

 そういって自分の手元へ寄せると顔に何かを塗り始めた。ちょっとでも動こうものならそれを制され、押さえつけられるようにして作業が続いた。

「出来た」

「何が出来たのだ?」

「まあいいから自分で確認してみろ」

 そういって手鏡を渡し、己の顔を見てみるように促してくる。

「ま、まさか」

 鏡の中に見知らぬ自分が映っている。変装術というのは怖いものだというものが分かった、もちろん彼そのものになるのは難しいが顔に疱瘡が出来たという体ならばごまかせる気がしてきた。

「まあ、こんなものだろう。だがあまりしゃべり過ぎるなよ、すぐに綻びがでるからな」

「承知」

 一度変装を解いてから自室に戻ると、警備につく時間まで一眠りした。しばらく寝た後交代の者が起こしに来ると、新田のことについて語ってきた。

「おい、新田殿の顔を見たか?」

「いや、今日は会っていないな」

「そうか、じゃあ会ったら驚くぞ」

「どういうことだ?」

 すでに種明かしを受けた後なので答えはしっているのだが、そんなことを言えるわけもなく話を合わせておく。

「そうなのか。そんなにひどいのか」

「ああ、朝起きたらそうなっていたらしい。何かへんな病気にでもなったのかな」

「さあどこぞの安い女でも買ったのかもしれんぞ」

「ははは・・・それならば面白い、罰でも当たったのかもな」

 自分も顔を合わせるまでいまいち分かっていなかったが、先ほど自分に施されていた顔が向こうから歩いてきた。

「どうだ?」

「いつ入れ替わるのだ?」

「無反応か、つまらん」

 それより三日の後に新田の部屋で二人は入れ替わった。彼の演技のおかげで周りは病気だと信用しきっていたし、あまりしゃべらなくても良い土壌を作っておいてくれた。手筈通りに警備は配置していたし、何もしなくても見回りしていれば良いだけなので少々拍子抜けしたぐらいだ。

 しかし刃傷沙汰が起きてしまった。これは非常にまずいことになった。すぐに解決できればよかったのだが、どうも阿片中毒に陥ったのが一刀流の使い手だったらしく手が付けられない状況なようなのだ。

「新田殿、体調が悪いでしょうがお願いいたします」

 

ご意見をお待ちしております。

 

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多分これが今年最後の更新かと思われます。

来年も変わらぬご贔屓を賜りたく存じます。

 

(22)

「疑っているな、それぐらいで無くては奴とは渡りあえん。いいことだ」

 なんだか馬鹿にされているようで気に食わないが、どうやら敵でも無いことぐらいは理解できた。

「私は私のやり方でやらせてもらうぞ」

「結構。だが私も使命を帯びてここに居る。その邪魔だけはさせないことは理解しておいて欲しい、そしていつもお前を見張っているからそのつもりで」

「私はここをぶっ壊すつもりだぞ」

「それは目的が同じなので、異論はない。だが裏の繋がりがすべて明るみに出ないことには許すわけにはいかない」

「それはいつになるのだ、こちらもそう悠長に構えているつもりもないぞ」

「慌てるな、こちらの都合もある。邪魔をしなければお互いの利益になると思うのだが、どうだ?」

 正直迷ったが、味方は多いほうが良いのは確かだ。相手のすべてを信じられるわけではないがやるしか無い。協力関係を保つということでこの場は収めることにした。

 その日から何事も無く仕事に努めた。繋ぎはとっていたが特に動きもないので報告することもなくなっていた。それを証明するかのように明らかに変装したであろうと思われる家臣がここへやって来た。何をしているのかと思ったが心配されるほど、何も進展していないのも事実だった。

「新田殿、未だに事は成りませんか」

「良いところに来た、これより五日の後に何やら荷が届くらしい。内容はしかと知らされなかったが警備を厳重にせよとの申し付けだ。多分中身はあれだろうよ」

「では・・・」

「まずはどこからそれが来るのか、それを探らねばならん。しかし、私はここを離れるわけにはいかん」

 ここでやらなければ次はいつになるか分からない。しかしここから抜け出すのには、それなりに苦労しそうだ。そんな取引あるときには警戒もされているだろうし、たとえ内部の人間だとて怪しい動きをしていれば疑われるだろう。

「やると言いたいが、私は剣の腕にはそれなりに自信があるがそういうことには通じていない」

「ふふふ、私とてお前がやれるとは思ってないわ。探りはこちらの仕事だ。お前に頼みたいのは私の代わりをしてもらいたいのだ」

 始めは何を言っているのか分からなかったが、それはすぐに理解することとなった。目の前に出された者は新田の持ち物だった。

「これだけで化けろと?」

「大丈夫、布石は打ってある。風邪を引いて顔が腫れたことにしてある。それを信用させるためにちゃんと変装もして数日過ごしている」

 幸い体格はあまり変わらなかったので外見だけでばれることは無い。だが所作もそうだが、声を発してしまえば必ず別人だと知れてしまう。

 

ご意見をどうぞ

 

 

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