October 29, 2011

単語がわからないときの推測方法の実際~一つの例

テーマ:英語―長文読解

単語がわからない場合の推測方法として、一つの例をお示しします。

過去に書いた記事を少し改良したものです。
わからない単語の意味を推測して、仮にそれが正しいものとして読む、という方法です。

これは英語のプロではない、シロウトの私のやり方ですので、誤りや文法的にはかなりおかしなところもあるでしょうし、また、一般的なものではないかもしれません。

でも、これでなんとか読めるようになる糸口は掴めるかもしれません。
みなさんなりのやり方のバリエーションとして参考にして下さい。

わからない単語が幾つかあって、文の全体を理解するのは無理だけれども、なんとか七割程度は理解したい、又は、大意だけは掴み取りたい、という読み方です。

以下の文を辞書なしで読むことに挑戦してみます。
2010年慶應義塾大学総合政策学部英語入試問題第Ⅱ問からの抜き出しです。

私にはかなり難しいものでした。
しかし、わからないものをわからないなりに七割程度理解する、という挑戦には丁度いいものです。

以下の文章を読んでみて下さい。

We want our art museums to be places of repose and contemplation - venues of discovery and learning , awe and wonder, where we can become (1.disinterested in 2.absorbed in 3.alienated by) the power and beauty of art. But museums, especially large metropolitan ones, long ago ceased to be simply quiet abodes of the muses, if they ever were. They have become highly complicated institutions with extensive collections, staffs, and publics that include annual visitors, members, individual and corporate supporters, artists, tourists, and scholars, as well as those who may never actually visit a museums but who believe in their mission.


最初の文から読んでいくのですが、いきなり知らない単語があり、推測することができないので、それを抜かして考えることにします。

できるだけ単語を抜かすことはしたくないのですが、読んでもさっぱりわからなかったので、しかたなく抜かして考えざるを得ませんでした。

We want our art museums to be places of ( ) and ( ) - (venues) of discovery and learning, awe and wonder, where ~ 

括弧内が空白の所は、単語がわからず、お手上げの箇所です。
考慮から外します。

括弧内に単語が入っているのは、わからなくても、推測できそうな単語です。

repose , contemplation は、考慮から外しました。
さっぱりわからないし、下線もなく、設問対象ともされていないので、あっさり抜かしたのです。

venues というフランス語みたいな単語も諦めようとしたのですが、以下のような理由から推測してしまうことにしました。

最初の We want から読んでいったとき、次のようなことに気がついたのです。

places of ( ) and ( ) の後に短い「 - 」が続いて、
venues of discovery and learning,
awe and wonder
, where we can ~

となって、文の構造が似ています。

「 - 」は、「つまり」みたいな意味だとして、places of ( ) and ( ) の内容についての説明をしているのだ、という仮定をしてみます。

すなわち、発見と学習、恐れ(aweはawfulからこんな意味だろうと推測しました、もし誤っていても、文章の構成上からもたいした影響はないと判断し、この意味で通すと決めたのです)と驚きの venues と言っているのです。

美術館はそういう場であってほしいということなのでしょう。

今はこのように理解するほかなく、また、このように理解してもおかしくはなさそうです。

そして文の構造が似ていることから、

    places ≒ venues

と理解して良さそうです。

どちらも複数型なので、この等式は成り立つと考えて良いでしょう。

repose, contemplation はわかりませんが、次のように文を縮めて理解できます。

私達は私達の美術館を発見と学習、恐れと驚きの場としたい。

repose, contemplation は、上のような意味に繋がるような意味だと仮に思っておきます。


where we can become (1.disinterested in 2.absorbed in 3.alienated by) the power and beauty of art.

我々がなることができる ( ) 芸術の力と美、と続く上の文章の括弧内は、1~3のうちの相応しいものを選択する設問です。

興味が無い、という1の選択肢ではないことはすぐにわかるでしょう。

続いて、2が妥当なのではないかということは、仮にこれだとして文章を理解すると、

我々が芸術の力と美にひたりきれるところ、

という意味となって、文意として良さそうです。

選択3は、意味を知りませんでした。
しかし、選択肢3の意味が不明だとしても、2が妥当そうなので、今はこれを解答としておきます。

此処までで、次のように理解されました。

私達は私達の美術館が、発見と学習、恐れと驚きの場であって、そこは私達が芸術の力と美にひたることができる場所になってほしい。

But museums, especially ~ quiet までは比較的容易だと思います。

しかし、美術館、とりわけ大きな、都市のものは、ずっと前に単に静かな~であることをやめた

と語順の通りに理解していけます。

けれども、abodes of the muses については、さっぱりわかりません。
かつて、そうだったことがあるとして、と if they ever were. と文章は終わっていますが、abodes of the muses についてのヒントはありません。

しかたがありませんので、このままわからない状態で先に行ってしまいます。

推測できないところで、かつ、設問の対象にされていないところは無視してしまうのです。
かつて、abodes of the muses だったことがあるらしい、という理解でとどめておきます。

此処までで、方針を整理しておきます。

①わからない単語や文章については、推測をしてみる。

②推測して文章の意味を仮定する。

③仮定した意味がおかしくなければ、それで良いとする。

④推測できないものは大胆に無視してしまう。

わからないものを理解しようとしているのですから、100%を目指してはいけません。
完璧でなく、7割程度を目指す、とすれば、気も軽くなって読めるようになるのです。

They have ~ の文章は比較的簡単です。

They の指すものは、美術館しかありませんね。

美術館は非常に複雑な機関となったという文章に続いて、その複雑な内容と思われる要素が列挙されていきます。

extensiveの意味は知っていたでしょうか。

(たくさんの)コレクション、スタッフ、そして公衆、という要素です。

extensive がわからなくて、広範囲とかたくさん、といった理解ができなくても、上の文で括弧内がなくなるだけで、文の意味は取れています。

that 以下は、幅広い公衆の説明です。

年間の来場者、会員、ときて、individual and corporate supporters です。

漫然と読んでいてはいけません。
此処だけ、and で結ばれています。

長い文章、しかも、このように面倒な文章を読んでいるときは、こういう基本的なことを見逃し易いのです。

個人と法人の支持者、或いは支援者です。

続いて、芸術家、観光客、学者と続いて、as well as で、決して美術館を訪れることはないが、しかし、彼等の使命を信じている人々です。

なんのことやらさっぱりわかりません。

どんな人のことを言っているのでしょうか。

顔は出さないけど、口やかましい人達のことなのでしょうか。
そして、この as well as は、このような人々もまた複雑にしている要素なのだ、ということを表しているのでしょう。

この「人々」の中味がわかりませんので、はっきりした理解ができませんが、まあ、列挙の続きとして扱えばいいのだと思います。

美術館は非常に複雑な機関となって、(たくさんの)コレクション、スタッフ、そして公衆、それは年間の来場者、会員、個人と法人の支持者、芸術家、観光客、学者、そして、決して美術館を訪れることはないが、しかし彼等の使命を信じている人々を含んだ、そういう公衆によって複雑になっている。

以上、こなれてはいませんが、7割くらいは本文の文意を捉えていると思います。

わからないものを、仮にこうである、と仮定し、それを証明していく数学の解き方と一緒です。

以下に、今回理解した内容による日本語訳を示しておきます。

私達は私達の美術館が、発見と学習、恐れと驚きの場所であって、そこは私達が芸術の力と美にひたることができる場であってほしい。
しかし、美術館、とりわけ大きな都市にある大型のものは、ずっと以前に単に静かな abodes of the muses ではなくなった。かつて、そうだったことがあるとして。

美術館は非常に複雑な機関となって、たくさんのコレクション、スタッフ、年間の来場者、会員、個人と法人の支持者、芸術家、観光客、学者、そして、決して美術館を訪れることはないが、しかし彼等の使命を信じている人々を含んだ公衆によって複雑になっている。

こなれてはいませんが、わからないものを此処までにした、ということに注目して下さい。

結局、repose , contemplation は、休息と沈思といった意味だそうで、推測することはできず、わかりませんでした。

この理解ができたところで、正しいこの箇所の訳は下記の様になるのでしょうか。

私達は私達の美術館が休息と沈思の場所であること、発見と学習、恐れと驚きの場所であって、そこは私達が芸術の力と美にひたることができる場であってほしい。


また、abodes of the muses は、芸術・学問の女神である、「ミューズの神々の住居」だそうです。
当該分野に教養がなければわかりませんね。
このようなことを当たり前に知っていなければならないということなのでしょうか。

この箇所も訳しなおすことにします。

しかし、美術館、とりわけ大きな都市にある大型のものは、ずっと以前に単に静かなミューズの神々の住居ではなくなった。かつて、そうだったことがあるとして。



完璧には遠くとも、なんとか7割程度の大意は取れたつもりです。

お役に立てたかどうかは、少し不安ですが、わからないものをわかる範囲から推測して、意味を仮定し、それで文意が通りそうなら、それが正しいとしてしまう、という理解の仕方です。

わからないものを、なんとかわかるようにする、という試みです。

単語がわからないのですから、なんとか推測した意味を使い、それが正しいと仮定して理解するほかないのです。

なんともあやふやで不安な方法ですが、諦めてしまうよりは、良いのではないでしょうか。

<語注> 
alienated by~ 疎外されている、引き離されている、だそうです。
awe 名詞 畏敬の念  動詞 畏敬の念を起こさせる、だそうです


コメント

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1 ■無題

俺は単語がとんでもなく弱いので、解説を見ても「・・・・・? ('A`)」となる個所が多いのですがw

まあしかし、長文読解にはもってこいのスキルかもしれませんね・・・・・。
参考にさせて頂きます(`・ω・)

2 ■Re:無題

>蒼木征章さん

素早いコメントありがとうございます。

スキル、というより、苦肉の策とでもいいましょうか、わからないときになんとかする方法です。

諦めない、というのが、コンセプトですが、苦し紛れ、ということもあります。

3 ■無題

とてもわかりやすく役に立ちました!
これからもこういう入試問題の解釈の記事を楽しみにしています(^^)/

4 ■無題

わからない単語の箇所がたまたま全て一緒でした。笑

でも、理解力は全然違いました。

役に立ちます
ありがとうございます(o^o^o)

歯を磨きながら
また
休憩中などに
見ますので
また暇な時は
お願いします

5 ■無題

単語を推測するのも慣れてないと難しいものですよね。僕は推測したりすると時間がかかってしまうので圧倒的な単語力を持ってほかを圧倒するようにしてます(笑)

6 ■Re:無題

>いのすさん

ありがとうございます。

これからもお役に立てるような内容にしていきたいと思っています。

とてもエネルギーを貰えるコメントありがとうございました。

7 ■Re:無題

>アルカイダさん

一般的高校レベルの単語ではありませんね。
外語大とか、そういうレベルです。

理解力は、きっとほぼ同じです。
経験だと思います。大学に入ると洋書を教科書にされることが多く、どうしても必要な経験なのです。

ですから、読み続けていけば誰にでも備わる能力なのです。
そのうち、理解力は若い方の方が上になります。
自信をもって読み続けて下さい。

いつもコメントありがとうございます。

8 ■Re:無題

>パンパシティさん

圧倒的な単語力があれば、最高です。
ほぼ怖いものなしですね。
手広く読んでいって、相乗効果で単語力と読解力が飛躍的に増えていくのではないでしょうか。

記憶力のない私にとっては、それは望めませんので、このような苦し紛れの解釈術で対抗するしかありません。
ただ、当たる時と、外れる時があるのが欠点なのですが。

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