ピアニスト【ジュラ・キシュ】からの教えやヒント、曲情報や国際ピアノコンクール情報など更新中

ハンガリーの天才ピアニスト、ジュラ・キシュ先生の教えを伝授、ジュラキシュ国際コンクールやコンテストの情報を後藤・イシュトヴァン・宏一がお伝えします。ピアノ講師や音大生も是非見て下さい。


ジュラ・キシュ(1944年~)の系譜



L.v.ベートーヴェン(1770~1827)



C.ツェルニー(1791~1857)



F.リスト(1811~1886)



A.シロティ(1863~1945)



N.マガロフ(1912~1992)



 ジュラ・キシュ(1944~)





テーマ:


   ミスを気にするな音楽を大切に

テーマ:ジュラ・キシュの考え方
2017-11-27 18:21:52
ピアニスト、ジュラ・キシュ先生は本番が近づいてくると「ミスは気にするな、音楽を大切に」「ミスを気にして肝心な音楽表現が出来ないのは大問題である」とよく言われます。
 
しかしジュラ・キシュ先生自身は、本番では絶対に間違わないように練習をします。
 

 
良いピアニストは間違えない確率10割を狙います。
 
例えば野球のバッターの場合、3割以上出来ればとても良い成績だと言えます。
 ピッチャーが投げるボールは曲って来たり、突然ストンと落ちたりするためです。
 
そうです、バッターは簡単にヒットやホームランは打てないのです。
 
ですが、ピアノの場合、鍵盤が突然曲がったり、ペダルも逃げて行ったりすることはないのです。
 
となると、ピアニストにとって大切な事は、どれだけ準備しているか、また本番のプレッシャーの中で自分自身に勝てるかどうかということになります。
 
「音の間違え」「表現のミス」を無くすには普段の練習においていかに客観的に自分の演奏を聴けているかにかかってくるのです。
 
 
「ミスを気にする必要がなくなり、音楽表現だけに集中できる」
 
という状態にしておく事が
 
「ミスを気にするな、音楽を大切に」
 
という先生の言葉の本当の意味なのです。
 
 

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僕と師匠のジュラ・キシュはサマーセミナーinハンガリーの

 

ピアノレッスンを終えブダペストの道を

 

ゆるやかに師匠ジュラ・キシュの車で走っていた。

 

 

 

信号が赤になった。

 

 

 

僕はもの凄い美人が歩いているのを発見した。

 

しなやかなブロンドの髪。。

 

パーフェクトなプロポーション。。

 

ブルーの透き通るような眼差し。。

 

 

 

 

師匠も一緒にその美女を見ていた。

 

 

信号が青に変わった。

 

 

 

「あれは美術館だ。。。」

 

 

 

僕は  「なぜ??」と言った。

 

 

 

師匠は車のアクセルをゆくり踏みながらつぶやくように言った。

 

 

 

「どんなに見てもいい。。。

 

 

だが絶対に触れてはならない。。。」

 

 

 

僕はため息をついた。。またか。。と思った。

 

 

 

 

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1989年12月、僕は腱鞘炎になった右手を摩りながら、

 

インターコンチネンタルホテルの前のベンチに腰を

 

おろし、ただ、ただ、ドナウ川をにらんでいた。


 

家に戻っても練習は出来ず、断片しか分からない

 

ハンガリー語のテレビ番組をみるか、

 

読みかけの小説の頁をめくるしかなかった。



 

日本に帰るお金もなく、夢もなくなっていた。


 

12月のハンガリーは寒いを超え、

 

皮膚感覚としては痛かった。




 

1週間前に初めて師事したジュラ・キシュの顔がふっと浮かんだ。


 

僕はそのイメージに従ってジュラ・キシュの家に向かってしまった。


 

タクシーの中ではビリー・ジョエルのCode of silenceが

 

鳴り響いていた。

 

曲が終わるちょっと前に到着してしまった。

 

僕はメーターを見たのち、チップを大目に渡した。

 

ドライバーは

 

「夜道に気を付けて」

 

とビリー・ジョエルの歌声がフェイドアウトするの

 

に合わせるように言った。



 

「夜分、すみません」

 

とインターフォンに向かって言った。

 

たまたまジュラ・キシュ本人が出た。


 

「寒いだろう、今、ロックを解除するから、すぐに入れ」


 

と優しい返事が返ってきた。



 

リビングのソファーに座るように促された。


 

「ウィスキーかパーリンカ、どっちを飲む」

 

と聞かれた。


 

「ウィスキー」

 

と僕は言った。


 

ジュラ・キシュはジョニーウォーカーと

 

ジャックダニエルを比べていた。

 

彼はチェコグラスにウィスキーを注いだ。


 

二人でジャックダニエルを一気に飲み干した。


 

「何があったんだ」

 

とジュラ・キシュは僕の瞳をしっかり見ながら言った。

 

僕は一瞬、目をそらした。

 

ため息を一つついたのち、

 

良く考えもせず、自然に出て来る言葉を力なく話した。



 

「ピアノをやりにこの国に来たのに、

 

全てうまくいかないし、夢もなくなってしまった」



 

と僕はジュラ・キシュの目を見ずに言った。



 

「痛めた手は治るだろう。

 

だが失った夢を与えること出来ない。。。

 

夢は人に与えられるものではない。。。」



 

僕はなんとなく話が流れていくのを感じた。



 

ジュラ・キシュはまた僕の顔を覗き込みながら言った。


 

「ピアノをやるんじゃなく、

 

音楽の力を信じてみることだよ。。

 

楽譜を音符の集団だだと思っているだろ?

 

意味のない人生がないように、意味のない音はない」


 

とウィスキーを飲みながら言った。


 

どのくらい時間が流れたのだろう。。


 

「タクシーを呼んで欲しい」

 

と僕はつぶやいた。



 

家の前の細い道端で、

 

タクシーが来るまで、ジュラ・キシュは何も話さず、

 

ただ、ただ、横にいてくれた。
 

僕はおぼろげに感じた宝物をそっと抱きかかえながら、

 

それがこぼれないように帰宅した。




 

自分の部屋で数冊の楽譜を開けてみた。



 

そこには、今まで見えていたものとは全く違った景色が見えていた。

 

僕は数回頷いてから楽譜を丁寧に閉じた。


 

時計は4時37分をさしていた。

 

日が昇るまで睡眠をとろうとベッドにもぐり込んだ。


 

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