民法には「債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。<民法第4231項>」という債権者代位権についての規定があります。

 

これは、債務者が債務者の権利を行使しない場合に、債権者が自分の債権を確保するために、債務者に代わって、債務者の権利を行使することを言います。

 

夫婦が離婚する場合に、この債権者代位権が問題となったことがあります。

 

一般的には、財産分与義務者が権利を持っているのに、義務者自らがこの権利を行使しない場合には、財産分与権利者が、財産分与義務者に代わって、財産分与義務者の権利を行使することが考えられますが、財産分与の具体的内容が定まっていない段階で債権者代位権を行使できるのかどうかについてです。

 

最高裁は、この点について「離婚によつて生ずることあるべき財産分与請求権は、一個の私権たる性格を有するものではあるが、協議あるいは審判等によつて具体的内容が形成されるまでは、その範囲及び内容が不確定・不明確であるから、かかる財産分与請求権を保全するために債権者代位権を行使することはできないものと解するのが相当である。」と判示しました。

 

財産分与義務者が「どうせ財産分与権利者に持っていかれる財産だから」との思いで権利を行使しないということも問題ですが、財産分与権利者が、財産分与の具体的内容が定まっていない段階で債権者代位権を行使しようとすることも問題ですね。

 

このような複雑な問題へと発展する前に、義務者、権利者双方が協力し合い、財産分与などの問題はスッキリ解決したうえで、新たな人生を始めて頂けたらと思います。

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