婚姻費用は、権利者および義務者の経済状況等が変化した場合には、分担額を変更することができます。

 

それでは、婚姻費用の調停が成立した後、夫が、不貞行為の相手方との間に子どもを作り、それを理由に、妻に対し、婚姻費用の減額を求めた事例の場合、事情変更があったと認められるのでしょうか。

 

原審は、夫が3人の女性と不貞行為を行い、うち2人の女性との間にできた子ども3人を認知したという経緯から、信義誠実の原則に反するとして夫の申立てを却下しました。

 

しかし、その後の抗告審では、夫が、不貞行為の相手方との間にできた子どもを認知した場合、夫は認知した子どもに対して扶養義務を負うこととなり、認知された子どもは扶養を受ける権利を有することから、婚姻費用の分担額を減額すべき事情変更に該当するとしました。

 

信義誠実の原則からみれば、不貞行為という悪い行いを認めるわけにはいかないが、子どもの福祉(利益)からみれば、不貞行為の相手方との間にできた子どもの利益を保護しなければならないという2つの考え方を比較したうえで、結果的に子どもの福祉が優先されました。

 

不貞行為を知った妻と子ども、および不貞行為の相手方との間にできた子どもが、これからどうやって生活していくのかということを考えたうえで、婚姻費用の額等を算定し、法廷での争い(婚姻費用の問題)は一応解決したのですが、父親として3人の女性の子どもたちとどう関わり、どう愛情を注いでいくのか、このような親子・兄弟関係を子どもたちにどう説明するのか、妻は、不貞行為の相手方に対して慰謝料を請求するのかなど、今後もいろいろな問題が起きることと思います。

 

不貞行為、認知を繰り返す前に、夫は、自分の行いを改めることが出来なかったのか?本当にいろいろなことを考えさせられる事例でした。
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