裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者

と定める(民法第8192項)と民法に規定されていま

すが、その定め方は、子どもの利益と福祉を基準としてい

ます。わかりやすく言えば、いろいろな事情を考えたうえ

で総合的な判断がなされているということです。

 

夫婦が別居することになり、妻が幼い娘を連れて行った後

5年間娘と面会させてもらえなかった夫が、娘の親権な

どをめぐって妻と争った離婚裁判(平成283月千葉家

裁松戸支部)では、夫を親権者と認める判決を出しました

 

子どもと一緒に暮らしていない親が親権を得るのは珍しい

ことですが、妻が突然娘を連れて別居し、約5年間にわた

り夫と面会させなかったこと、夫が妻に年間約100日の

面会を認め、約束を破った場合は親権者変更の理由になる

ことなどを提案したのに対し、妻は月に1回、2時間程度

の監視付きの面会しか認めないと主張したことなどを考慮

し、夫を親権者とした方が、両親に会える機会が増え、娘

の利益になると判断したからです。

 

このように、もう一方の親と子どもとの関係をより友好に

保てる親を親権者とする考え方のことを「寛容性の原則」

といいます。

 

しかし、控訴審(平成291月東京高等裁判所)では、

「子の健全な成長は、別居親との面会だけで確保されるわ

けではない。面会の日数は親権者を定める唯一の基準では

なく、他の事情よりも重要性は高くない」として1審判決

を覆し、「長女は妻と一緒に暮らし順調に成長し、今後も

同居を望んでいる。長女の利益を最優先に考慮すれば、親

権者は妻と定めるのが相当だ」と述べ、妻を親権者と認め

る判決を出しました。

 

これは、監護の実績から同居親を優先するという考え方で

「継続性の原則」といいますが、従来からもっともよく採

用されている考え方です。

 

1審は、夫の側に子どもの福祉を害するような問題がなく

、本来であれば夫に認められたはずの面会交流が約5年間

もの間行われなかったことで、娘は父親と会うことができ

ず、その愛情を受けられなかったことは子どもの利益にな

らなかったという点を問題視しており、控訴審は、妻と娘

がこれまで一緒に生活してきたこと、突然その生活環境を

変えてしまえば子どもに大きな影響を与える可能性が高い

ことから、従来通り母親のもとで生活したほうが子どもの

利益になるという点を重要視しています。

最終的な判断は、最高裁の判断を待つことになりそうです

が、私は、アメリカのように共同親権の制度を取り入れ、

父親と母親が離婚しても、子どもが両方の親から愛情を感

じられるように配慮することが本当の意味で子どもの利益

につながると思います。

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