以下2つの会話を比べてみましょう。
【Aタイプ】
①生徒「期末の試験ですが、目標にしていた点数を超えることができました」
A先生「よくやったじゃないか、この点数を超えるなんてすごいぞ」
②生徒「ありがとうございます。これまでで一番頑張れたと思いました、達成感もひとしおです。」
A先生「そうだね、これを踏まえて次の試験も更に目標を高くしていこう」
③生徒「はい、このことでとてもやる気が出ましたし、次の試験もいけるような気がしてきました」
A先生「○○君ならできるよ。まだまだ直せる点はあるけれど、今回はよく頑張ったね」
【Bタイプ】
①生徒「期末の試験ですが、目標にしていた点数を超えることができました!」
B先生「今回はなかなか理解しづらい分野だったのに、よく目標点を取れたね、おめでとう!」
②生徒「ありがとうございます。これまでで一番頑張れたと思いました、達成感もひとしおです」
B先生「今回この点数は、どうしてとることができたのかな?」
③生徒「自分なりに苦手な事項を中心に反復した勉強を出来たことが、前の試験よりもこの分野の理解を深めることができた理由だと思います」
B先生「○○君が自ら問題意識をもって勉強に取り組んでくれるようになって、僕自身もとても誇らしく思うよ!」
試験が終わり、目標にしていた点数を超えることができた生徒と先生の会話でしたが、以上2つを比較してあなたはどちらの会話がより好ましいと思いましたか
今回のテーマはずばり
コーチング法
「家庭教師」という立場の「先生」方にとってはとても重要なことです。
生徒と先生の信頼関係・そして生徒自身がどこまで頑張れるかは、ひとえに先生の「コーチング力次第」といっても過言ではないでしょう。
先生の褒め方・叱り方で生徒は変わっていきます
ではどのようにすれば良いか、以上の会話例を3つに区切って見ていきましょう。
【①具体的なほめ方を】
・A先生「よくやったじゃないか、この点数を超えるなんてすごいぞ」
・B先生「今回はなかなか理解しづらい分野だったのに、よく目標点を取れたね、おめでとう」
この場面で重要になってくるのが「具体化」という手段です。
これは要するに「褒めるべき点」をしっかり押さえられているかどうかです。A先生は生徒からすると「自分の状況を理解してくれているか」が判断できません
「何故すごいのか、どうすごいのか」を具体的に言っているB先生は生徒との共感ができており、より生徒のことを理解しているといえます
【②努力を再現させるために】
・A先生「そうだね、これを踏まえて次の試験も更に目標を高くしていこう」
・B先生「今回この点数は、どうしてとることができたのかな」
こちらでは、次の試験も頑張ってもらう事を目指して発言しています。ここで重要になるのは「再現性」です。
A先生の例では、「今回を踏まえて」とはいうものの、生徒からしたらいったい何を続けていくべきなのかが分かりませんよね
なのでB先生は「何が点数を取る要因になったか」を生徒に言わせることで、生徒の中で今回してきた努力がどういうものかをはっきりさせようとしています。こうすることで生徒は自分が何を続けるべきなのかを再確認できるのです
【③iMessageの大事さ】
・A先生『○○君ならできるよ。まだまだ直せる点はあるけれど、今回はよく頑張ったね』
・B先生『○○君が自ら問題意識をもって勉強に取り組んでくれるようになって、僕自身もとても誇らしく思うよ』
≪例えば、帰りが遅くなった子供を叱るとき、≫
「なんで帰りが遅いんだ!」と一方的にしかるのと、
「帰りが遅かったね、何かあったのかと心配したよ。」と自分の気持ちを伝えてしかるのでは、子供に反省を促せるかの影響が変わってきます。
iMessageとは文字通り自分の意見、「自分がどう思っているか」を言います。
自分がどう思っているかを伝えることは、生徒の胸に直接響き、今回のB先生の言葉は生徒にとって先生からの承認を得ているような印象を強く受けることになります。
以上のように考えていくと、B先生の②から③への会話の流れは、②「生徒がした具体的な努力の方法」を③「承認する」という形になっており、生徒が続けて努力をするモチベーションになり得る理想的な会話の形ですね。
以上が生徒に対するコーチングにあたって意識すべき3つのことです
【日常のコミュニケーションで】
このコーチング法というのは、あくまで相手の立場になって考えようとするものであり、これは普段のコミュニケーションの場でもとても大事な考え方です。一緒にいて面白いと感じられる人というのは相手の立場にたって考えて話をできるので、こうした褒めたり・叱ったりという場でも上手な会話ができるのです。
就職活動の実情として、企業人事が学生に求める事として上のような考え方「コミュニケーション力」というのは毎回上位3位以内に上ります。つまり相手のことを考えた会話ができるかどうかというのは、実は今の学生には見落としがちで、社会人としてとても大事なことなのですね
今後の人生においても、こういった「コーチング法」の考えはとても大事でしょう。これを機会に①~③のような要素を生徒の指導時に、そして先生(私も含めて)の普段の生活の中に取り入れてみませんか