源氏の恋文 ☆☆☆☆☆

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源氏物語の中で、歌と同様の大切な役割を果たしているのが、さまざまな登場人物によって取り交わされる手紙の数々。

物語のあらすじや心理描写の重要な展開をあらわすとともに、時と場所と人に応じて、緻密に書き分けた紫式部のこだわりと才能は本当に素晴らしい。

平安貴族にとって、歌や手紙のやりとりは、現代のEメールのように普遍的でもあり、特に男女のコミニュケーションにおいては、もっとも重要な恋愛手段だった。

まず、手紙ありきで、顔も見たことのない相手同士も、歌や手紙という文(ふみ)のやりとりから交際が始まるのだ。


平安時代の恋文といえば、

美しい貴女に恋焦がれ、恋する苦しさで今にも死にそうだとか、

着物の袖が絞れるほどの涙涙涙とか(まじかよっ!?)、

嘘八百ばかりなんだけど!?(爆)

まだ会ったこともない相手にも、これだけの故意文ならぬ恋文は当たり前。(笑)

そんな歯の浮いた文面よりももっと大事なのが、紙の色や質、文に焚き染めた香水、墨の色や、フォントじゃなくて^^;筆跡などのプラス@

それから、文を出すタイミングとか、配達する人(見目麗しい少年少女や礼儀正しい使者など)とか、文に添える花や贈り物などなど。。。ありとあらゆる方法で、少しでも自分をよく見せようと必死だったわけだ^^;。

つまり、内容よりも見た目が大事っていうのも現在に通じるところがあって面白い。


そんな努力をして、やっとデートの約束をとりつけたりするんだけど、顔も見た事ないのにだいじょぶかなあ。。。(笑)

でもまあ外見だけで選ぶよりは、メール交換をして相手のことをある程度理解した上での交際のほうが、ずっと現実的なのかもしれない。(写メールがなくてなによりでした^^;)


IT革命により、世界で一番メール好きな日本人。

そのルーツは、平安時代のメールのやりとりからあったのだ!


なあんて、また内容がないような文章になってしまった。(汗)
とにかくこの本は、地味だけど源氏物語ファン必読の書なのざます。


(って、結局また語尾がざますになってしまったざます^^;)

尾崎 左永子
源氏の恋文

編集後記

ううう、また書こうと思っていたこととまったく違う文章になってしまった^^;。

てなわけで、気が向いたら続きます。。。

って、これは3月10日に書いた記事です。(汗)


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光源氏殺人事件 ☆☆☆

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lilly



実は、もともと、女流作家のミステリは、面白いとは思ってもあまり好きになれない。

なんとなく、濃密なユリの花の薫りが纏わりつくような重たさや、顔にかかった蜘蛛の巣のような鬱陶しさを感じてしまうから。
女性ならではの濃やかな目線で、凝りに凝ったトリックは、ごてごてと着飾った大女優の厚化粧を想いおこしてしまう。

いまや、ミステリの重鎮的存在となった、皆川博子の初期作品である。
初期作品だから、皆川博子独自の華麗な不気味さといったものはあまりない。

勿論、「光源氏殺人事件」という、まるで土曜ワイド劇場のドラマになりそうな(もしかしたら、なったのだろうか?)タイトルに惹かれて読んでみた。

サブタイトルは、

「幻の源氏物語に隠された謎に纏わる禁断の恋と錯綜した人間関係の愛憎、いま明かされる出生の秘密とは!?」 (ぐた作成)に決まってる♪(笑)

二重三重どころか、十重二十重にもめぐらされた布石には感心するけれど(疲)、回りくどい説明や偶然の出来事によって話が進む点もあり、やはり初期作品としての粗が目立つ。
幻の巻、「雲隠」の謎や、変体仮名に托した暗号など、発想としては面白いけれど、手が込みすぎて不自然な感じ。

なによりうんざりしてしまうのは、冒頭から始まる親戚関係の煩雑さである。
父のいとこだの、父の姉が父のいとこの最初の奥さんだの、先妻の嫡男だの後妻だの。。。「殺してやる!」って、本をブン投げたくなったけど(笑)、源氏物語が出てくるまではと思って我慢して読んだ。

ここさえクリアしてしまえば(笑)、まあまあ面白いかもしれない。

ラストの一行は、なんとも謎めいている。

しかし残念ながら、源氏物語に題材をとってはいるものの、源氏の名を冠した他の多くの現代小説同様、期待はずれの感が否めない。

皆川 博子
光源氏殺人事件


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ずっとずっとすごく読みたかったんです!
でも期待が大きすぎちゃったかなあ^^;。

何しろ、富樫倫太郎っていう名前が素敵!(そういう問題か?・笑)
ところが、富樫倫太郎の本は初めてだし、例のごとく何の予備知識もなく読み始めたので、初めは戸惑ってしまった。(汗)

源氏物語とはいうものの、厳密には光源氏が亡くなってからの、宇治十帖が元になっている。薫と匂宮が主人公で、その上、薫はまだ出生の秘密を知らないという設定になっている。

文章の方は、作者自身にも初めの頃に戸惑いが見えて、非常に読みづらかったけど、だんだん筆が乗ってきた様子。

内容は、夢枕獏の「陰陽師」を彷彿とさせるものの、平安時代という舞台設定と源氏物語の登場人物を上手く使いこなして、なかなか面白いものになっている。

難を言えば、薫と匂宮の陰・陽のキャラクターが定番過ぎて、あまり魅力を感じられない。
文章に所々破綻が見える。(細かいことに揚げ足を取るようで厭だけど^^;)

しかし、作中に出てくる一人称での語りは素晴らしく、初めから一人称で書いたほうが良かったかも。(笑)

それから特筆すべきは、源氏物語には珍しく、現代文で書かれていること。
数多くの作家たちが、さまざまな文体を工夫して、源氏物語に取り組むけれど、結局は、平安王朝の雅を表わすがために、過剰な敬語・謙譲語・丁寧語を使わざるを得ない。
これらは物語のあくまでも装飾的演出であり、へんてこりんで勿体つけた過剰な装飾語は、嫌味だったり面倒だったりする。
ところが、富樫源氏は、(怪奇小説としての色合いの方が強いとはいえ)男性的で直截で、読んでいて分かりやすい。

読む前の的外れな期待が大きかった分だけ、勝手に失望してしまったけれど(笑)、源氏物語エンターテイメント本としてはなかなかよく出来ている。

☆を3つか4つか迷ったけれど、読み終わって、即二巻目を買いにいかないところをみると、やっぱり☆☆☆かな。(笑)
でも、源氏物語を読んだことが無い方にもお薦めです♪


富樫 倫太郎
妖説 源氏物語〈1〉


富樫 倫太郎
妖説 源氏物語〈1〉

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102206


この本は、瀬戸内寂聴が、源氏物語に由縁の深い場所をめぐり、それぞれの土地にまつわる話を源氏物語に照らし合わせて語る紀行記。源氏物語はあくまでも作り話なのだけれども、紫式部の実生活を偲ぶ場所やモデルとされた寺院などの紹介で、源氏物語の時代背景をよりいっそう身近に活き活きと感じられる一冊。

難点は、随所に挿入されている源氏物語が順不同なので混乱を招くこと。これは、旅ありき。の本だから仕方がないのかなあ。


今や、「源氏物語といえば瀬戸内寂聴」みたいになってしまったけど、どうもいつも寂聴さんに関しては点が辛くなってしまう^^;。

瀬戸内寂聴は、(当時まだ瀬戸内晴海というペンネームの方が有名だった)あたくしが中学生の頃に、親に隠れて読み漁った記憶があるので、どうしても、古典の御大というよりも、18禁で女版渡辺淳一郎のイメージが強いのだ。(笑)


お蔭であたくしは、まだ中学生の時分から、浮気だの不倫だの女遊びだの離婚だのを瀬戸内晴海にしっかり叩き込まれたので、男女関係というものの不実さとこてこてした厭らしさを頭の中だけで理解し、お蔭様でしばらくは男性不信だったのだ。(笑)

寂聴さんの文学的才能は素晴らしいし、読みやすさ分かりやすさにおいては定評があり、それが多くのファンを魅了することにもなっているのでしょうけど。。。でも、あたくしゃ好きじゃないんだってば!(笑)


誰にでもわかるように、また若い女性に迎合するような解釈の仕方は、それはそれで面白いのだけど、原典からずれてしまって、なんだか危険だなあとも思うせいもある。

でも、大正時代の与謝野晶子源氏のように、その時代時代に源氏物語の新しい語り部が現れて、また100年200年と命を永らえていくものなのかもしれない。

それにしても、昨今の源氏ブームは凄いですね。(あたくしの言う昨今とは、昭和以降のことなんだけどね^^;)


瀬戸内 寂聴
「源氏物語」を旅しよう―古典を歩く〈4〉

天野源氏



あんまりちょっとぜんぜん苦手なんですわ、渡辺淳一は。(笑)


二十代の頃は、「大人の恋愛」や「メロドラマ」みたいなのに憧れて、けっこう嵌まって読み漁ったりもしたのですが、渡辺センセがどんどん有名になって、お年も召していらっしゃるにつれて、作品内容もサラサラキラリからドロドロヌラリに変化して参りまして(笑)以来、清純無垢なあたくしの趣味に合わない。(をい!)


で、今や押しも押されぬ好色。。。じぇねえや、官能小説家でもねえや、恋愛小説の大御所的存在なのですねえ。


あたくしの個人的好みは別としましても、文学的な才能はあるお方ですので、さすがに文章は読みやすくきっちり破綻がありません。


どうも、渡辺淳一というと、イメージ的に谷崎潤一郎とだぶってしまうのですが^^;、谷崎潤一郎訳源氏物語 が出ているのだから、渡辺淳一が源氏物語に関して本を出しているのもなんら不思議はない気がしました。お二方とも「男女の機微や官能については僕に任せておきなさい!」って感じですから。(笑)


源氏物語を古典や王朝文学といった視点からではなく、あくまでも恋愛小説または、恋愛の指南書というアプローチから描かれた本も数多くありますが、男性作家が書いたものは珍しいのではないでしょうか。


したがって、男の立場から見た光源氏や、主人公の女性たちへの評価が新鮮で面白かったです。


また、長くて複雑な人間関係で敬遠されがちな源氏物語を、おもな登場人物ごとに、コンパクトにわかりやすくまとめて解説してあるので、初心者にも理解しやすいですし、女性たちを各タイプに分けて書いてあるので、どの章から読んでも差支えがないはずです。


古典は苦手だと思う方も、恋愛のカタチとか、女性のタイプとかに分けられた目次をみれば、思わずページを繰ってみたくなることでしょう^^。


というわけで、おまけの大サービス^^♪


<目次>

この永遠に変わらぬ愛と哀しみ (男と女)

儚なげさで男の愛をひきつける (桐壺の更衣とぐた^^;

母の面影をとどめる憧れの人 (藤壺)

立派過ぎる妻をもった夫の苦渋 (源氏と頭中将とぐた夫^^;

さまざまな女性を口説く手練と手管 (光源氏)

愛を拒むことで自らの存在を示す (空蝉

簡単に男を受け入れる女の魅力 (夕顔)

素直に自分を表現できない女の悲劇 (葵上)

男の愛情によって鼻ひらく華ひらく (紫上)

醜女で貧しい女が身につけた武器 (末摘花)

笑われることを恐れぬ女の強さ (源内侍)

明るさと奔放さで男をリードする (朧月夜)

地位と教養の裏に潜む怨念 (六条御息所)

色や恋を捨てたしかな地位を守る (藤壺)

慎ましく控えめにして幸せを得る (明石君)

深く愛されたが正妻にはなれず (紫君)

好色な義父に迫られて困惑する (玉鬘)

無邪気で素直でしかし加害者 (女三宮)

月並みな女になることを拒否した女 (朝顔君)

一人の女性で満たされぬ男の彷徨 (光源氏)


(*´д`*)ハァハァハァアハァ

疲れたわい。(笑)


さて、あなたはどのタイプでしょうか?


あたくしは、もちろん、

慎ましく控えめにして幸せを得る。。。

んなわけないわけで、


笑われることを恐れぬ女の強さ!


(*^. ^*)オホホホ!

まいったか!?



渡辺 淳一
源氏に愛された女たち

そして、女性版、恋愛の大御所と言えば!

瀬戸内 寂聴
源氏に愛された女たち
この本も探せばあるはずで。(ごそごそがさがさ。。。)

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