近代能楽集 ☆☆☆

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近代能楽集 (新潮文庫)/三島 由紀夫
¥460
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歌舞伎や能楽にはすごく興味があるくせに、戯曲ってどうも苦手。

なんだか舞台裏を覗いているというよりも、人さまの下着姿を見ているような気恥ずかしさがしてならない。

へんてこりんな心理ですわね^^;。


でも、嫌々読んだ三島由紀夫の「鹿鳴館」 に感動して、この本もどうしても読んでみたかった一冊。
さすが、三島由紀夫だ!

全篇、豪華絢爛な言葉の洪水。

煌びやかな言葉の裏にべたべたと死の香り。

よく、自死した作家の作品を重箱の隅をつつくように嗅ぎ回り、死の影を見つけては自慢気に分析して語る評論家が多いけれど、なんのことはない、ここまで死の足跡を見せつけられると白けてしまうでしょうね。
三島は根っからの自己顕示欲者だった。
かっこよく死ぬために生きる?

そんな馬鹿な。

読んでいて毒気にあてられる本ざます。














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この本のことよりも、草思社の倒産問題の方が気になって仕方がないあたくし^^;。
ちょっとベストセラーが出たくらいでは、焼け石に水の出版業界。
活字離れということよりも、いまや過当競争なんですよね。
売らんかな主義の金銭欲に突っ走った結果の濫造が、質の低下を招いて、ますます読者離れの悪循環を招いているのに気がつかない。
ま、出版業界に限らず、どの業界でも同様の状況を招いているわけですけど。(悲)

でもね、出版業界の経済事情や世間の思惑はどうであれ、読者にしてみれば単に好きな本や良書が手軽に読めればいいわけですよね。
高値なのはイヤだけど、本ばかりは値段に関係なく、内容だけは誤魔化しがきかない唯一正直なものなのではないかしら。

さて、本題の「声に出して読みたい日本語2」
リクエストに応じて、なんて言っていますが、なんの、柳の下のどじょうを狙っていた感じもする2冊目。(笑)

斎藤孝先生の教育に対する情熱と才能の素晴らしさには心服するものの、やはり気になるのは、古臭いテキストに終始している点。

どうしてこんなに年寄り臭いテキストばかりなのか残念なのだけれど、その理由はきっと著作権にあるのだと気がつきましたわ。(著作権は作者の死後50年間有効)

確かに、日本の伝統文化や古典は、どれほど時代が進もうと、日本人の教養として残しておかなくてはならないものだとは思います。日本古来から残る古文の音感語感、リズムはとても大切。

でもねえ、「声に出して読みたい日本語」と謂うからには、現代の言葉や流行語でもちっとも構わないでしょとも思うんです。

「みじかびのきゃぷりきとればすぎちょびれすぎかきすらのはっぱふみふみ」とか、
(ぐ、ぐたちゃん、年がバレバレ。。。)

あと、Jポップや演歌の中にも素晴らしいフレーズがいっぱいあるし。

TV業界やお笑いの世界でも、ふと口をついて出たり、頭から離れない語句もいっぱいあるざましょ。


ともあれ、この本の素晴らしさは、載っている語句もさることながら、流れるようなリズムの斎藤孝先生の解説の妙にあり。
あまりに長くなるので引用は不可能なんだけど、太宰治の「走れメロス」に関する解説は、まさしく「声に出して読みたい日本語」の名文中の名文解説です。
(詳しくは「声に出して読みたい日本語2」210ページをどうか立ち読みして下さい!)

こういう事をいう奴がいるから、出版業界が倒産の危機に見舞われるのだ。。。(汗)

ま、とにかく210ページにある名解説を読んで感動したら、ぜひぜひ本書を買ってお読みくださいましね。(ぺこり)




齋藤 孝
声に出して読みたい日本語 2

装丁にあるひらがながどうしても読めなかったんだけど、こうして見ると、人の顔を表していたんですねえ。



斎藤 孝, 土屋 久美
子ども版 声に出して読みたい日本語 7 メロスは激怒した 吾輩は猫である/近代文学



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だいたいイケメンとベストセラーにはめったに手を出さないあたくしなのですが、

毎月本屋さんに行っては、「今月のベストセラー頂戴な~♪」と

内容も関係なく手当たり次第に買って来てしまうのは、ぐた夫の母、しうとめだす♪ですねん。(笑)

ベストセラーって、こういった意味でも益々ベストセラーになってしまうのね。。。(汗)


ともあれ、しうとめだす♪さまお薦めのこの本。

開けてびっくりでした。

なにしろ、歌舞伎の名セリフ「知らざあ言って聞かせやしょう」から始まって、浪曲、古典文学、お経、漢詩、童謡、短歌、詩、落語、唱歌などなど、古典の文化芸能が満載で、若い人向きの本ではない!

(一応まだ若手のつもり^^;)

なんだか冬休みの宿題のような気分(泣)で読み始めたのですが、そこはそれ、話術の斎藤孝先生ですから。。。それぞれの文章のあとに付いている解説が見事に面白くて、それを楽しみに読んでしまいました。

どの文章もちょっとは聞き齧ったことのあるものばかりで、でもその続きとか内容は案外知らなかったりするわけで。何度も耳にするのに、そのまま通り過ぎてしまう言葉たちが斎藤先生の手腕で見事に生き生きと甦ります。へええ、この言葉ってこんな意味だったの?などという発見も楽しいし、長年の謎が解けたりもして嬉しいし、ちょっとした知的好奇心も満たしてくれる。

例えば、<てまえ持ちいだしたるは四六のがまだ>で始まる「がまの油」なんてのは、フーテンの寅さんを彷彿とさせる口上だけど、これを最後まで暗誦したら、かくし芸として一生役立ちそうだし。(密かに練習したいあたくし・笑)

ちょっと長くなるけど、「がまの油」に関しての解説をお読み下さい。


<口上も物売りの手段だが、セールストーク特有のまとわりついてくるいやらしさがまったく感じられない。歯切れとテンポの良さに加えて、内容の徹底したばかばかしさも見逃すわけにはいかない。

がまが自分の姿を鏡で見て、たらーりたらりと油汗を流すという図は、荒唐無稽でありながら、なぜかクリアに想像できてしまう。あり得ないことにリアリティを与えてしまう言葉の力が見事だ。>


そして、次の文章に痺れてしまった!


<こうした口上の歯切れのいい魅力は、背筋がまっすぐ伸びた張りのある身体から生まれる。>


うんうん。この本で主張するのは正しくこの事なのだわ!



娯楽というものが機械によるものではなく、人力でしかなかった昔の言葉には、とてつもない魔力があって、声の出し方や高低や間合い、あらゆる発声方法、姿勢、動作、顔の表情を駆使して練りに練られて造り上げられてきたもの。そして大衆に支持されたもののみが何十年、何百年経った現在にも残っているのではないかと思うんです。


結局、喋り言葉も書いた文章も流行歌も、人の心を惹くのは語呂とリズム感なんですよね。

あたくしが大好きな柳原可奈子ちゃんのセールストークも、人気の理由は、あの発声法と独特のイントネーションやリズムにあり、「声に出して読みたい日本語」だからに違いないわ!(そそそそっかぁ?)

というか、ギャグとか流行語というのも一種の語呂とリズムが組み合わさったものなんですよね。

はっきし言って、あたくし、可奈子ちゃんのモノマネ得意ですのよ♪

それからついでに、にしおかすみこのモノマネも得意ですの♪

ただ単に声が高いだけ。。。
今年は絶対ダミ声で「がまの油」に挑戦するざますっ!(誓)


って、今年こそはお真面目に書こうと思っていたのに、またまたこんなんですわっ!(号泣)

(頭の中で書こうと思っていたことと95%違っちゃってます^^;)


こんなあたくしですけど、

今年もよろしうお願い申し上げたてまつりつかまつりまするでござりまするざます!




斎藤 孝
声に出して読みたい日本語
齋藤 孝
声に出して読みたい日本語 2

実は、書くかどうかわからないけど、

「声に出して読みたい日本語2」もあるざます^^;。

現在4まで発刊中。

こうなってくると、いかに日本語が愛され求められているかわかる気がしますわね。

地味ではあるけれど老若男女問わず必見の国民書だと思います。

とはいうものの、この手の国語の面白さ素晴らしさを義務教育の教科書できっちり伝え教育できないのは、日本語文化の損失だと思いますわよ。


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最近、面白い本に当たってなかったけど、この本は久々の大ヒット☆☆☆☆☆です!

よくアンケートやバトンなどでも、「人前で読めない本はなんですか?」という質問があったりするけど、この本はまさしくそれ!

笑いを堪えきれない本って、ありそうで中々ないのよね。

それも、読んでいて時々噴出しちゃうのはあるけど、全篇ぎっちり、へらへらわらわらふるふるしちゃう本は滅多にないですわよ。


て、また能書きが長いんざますけど。(笑)


著者は、赤瀬川源平、ねじめ正一、南伸坊。

初めは、この3人が第三者を指摘して、「こいつらが日本語をダメにした」と述べた本だと思っていたんです。

ところがどっこい、日本語をダメにした張本人は、こいつら3人で!(笑)

(蛇足ですが、赤瀬川源平は芥川賞作家。ねじめ正一は直木賞作家。南伸坊はイラストレーターです。)

この3人が雑談形式で、日常的に使う不思議な日本語の言い回しを、ああでもないこうでもないと難癖つけながら解釈するんだけど、これが凄く面白い!


たとえば、

のどから手が出る。へらず口をたたく。目からウロコが落ちる。箱入り娘。首を長くして待つ。下手の横好き。小耳にはさむ。目が点になる。猫をかぶる。スズメの涙。。。等等。

日本語って本当に不思議で面白い。


槍玉に上がった言葉もへんてこりんな言葉ばかりなんだけど、無意識に使うだけでじっくり語源とかを考えたことがない人の方が多いのではないでかしら?

「三々五々」集まるっていうでしょ。

これは三x三=九人の、五x五=二十五人でえーっと・・・・。

計算できない!

って、こんなことばっかり言ってんです、この3人。好きだなあ、こういう奴ら。(笑)


もうひとつ唸ってしまうのは、この3人、コメディアンじゃないんだよね。(笑)

だけど下手な漫才よりずっとおかしいし、何より、台本も打ち合わせもないのに3人3様の即妙なやりとりがすごく笑える。という意味で、話術のほうもたっぷり愉しめる一冊でした。

まあ、この手のふざけた本が好きじゃない人もいるかもしれませんが、日本語好きな人、言葉遊びが好きな人には必読のバイブル。(言い切る!)


お願いだから、人前では読まないで下さい。

電車やバスの中でなど、もっての他。

あと運転中もお止め下さいね^^;。





赤瀬川 原平, 南 伸坊, ねじめ 正一
こいつらが日本語をダメにした






副題は「母性化時代の父の役割」


この手の本はあまり興味がないし好きではないんだけど、ずっと本棚にあって、なんとなく目障りなので、ちょっと覗いて斜め読み。

1997年刊行だから、10年も前の本だけど買った記憶も読んだ記憶もない。(笑)
育児書とかこの手の啓蒙書は読まなくちゃと思って買うんだろうけど、結局積んどくばっかりで、いつの間にか子供はどんどん成長してしまっているし。(汗)


まず、ざっと目次を見ると、


家族内トラウマ症候群 -アダルト・チルドレン

甘える夫、「母」になる妻

会社は子宮、「おふくろ」だ

ミルクの出せる父親像

「理想家族」が生む拒食症


家庭内暴力、不倫、セックスレス、離婚、ワーカホリック、登校拒否、非行、うつ病、etc.


ううう、ネガティブで怖そうな話題ばかりで、読む前から気がめげてしまう。(沈)

ところがですよ!

著者は精神科医にもかかわらず、難しい専門用語や理論の展開はなくて、家庭内の問題の暗さや重苦しさも、分かりやすい表現力(話術)によって意外にサクサク読めてしまった。

わかりやすく言うと、家族学。

主に斎藤先生が警鐘するのは、父権喪失が生みだす家族崩壊。

家庭と言うのは、人格形成の基ですからね。

家族内は勿論のこと、社会的にも、人間関係において生ずる様々な問題は、偶発的に起きるのではなくて、精神分析的に診れば、必ず原因と結果があるということらしい。


学校が嫌いだから登校拒否になったり、お酒が好きだからアルコール依存症になったり、仕事が好きだからワーカホリックになったりするのではないそうな。

そこには、きっちりと原因と理由とがあって、ほとんどの人はそれに気が付いていないという恐怖。

特に怖かったのが、絵に書いたような理想的で幸福な家族に潜んでいる病根。

その病巣に本人たちも気が付いていない事が、さらに悲劇を生む恐怖。
精神的な病も癌と同じような経過を辿るかのようだ。


深刻な問題も、どうしてこうことが起きるのかという原理や原因を明解に提示されるとととても理解しやすいし、個人的な問題(と思い込んでいるだけなのだが)を客観視できると思う。

この本は、子供や家族のいない人にもぜひ読んでみて欲しい。
色々な立場の人間の心理が見えてくる。
また、自分自身に問題がなくても(というか、ないと思っていても)、周囲で問題を抱えている人たちへの理解や協力もきっと深まると思う。

インターネット効果などで、世界がグローバル化したように見える反面、情報が氾濫しすぎて、個人の意識は自意識中心になりがち。好きな情報だけを取捨選択することが自由自在になった分だけ、個人個人の自意識の世界観が小さく小さく縮こまっているように思えてならない。(反省)



それにしても、10年間も熟成させておいたこの本。(汗)

あの頃に読んでおけば、もう少し良妻賢母になっていた。。。

わけないざましょ、やっぱり。(笑)

外見だけはしっかり熟成しましたけど、なにか?










斎藤 学
「家族」はこわい―母性化時代の父の役割

斎藤 学
「家族」はこわい―まだ間にあう父親のあり方講座 (新潮文庫)

文庫版も出たようです。