(参考:0494「リオデジャネイロでのオリンピック開催が決定」)


ブラジル第2の都市、リオデジャネイロ、587万人の人口をもち、国際的にもコパカバーナ、イパネマなど国際的な観光地でもある。しかし地方出身者など、約200万人が周辺の約1000の貧困地区に住む、いわゆるファベーラである。このファベーラは、麻薬組織の支配が濃厚である。ONG組織「平和のリオ」によると、2007年1月から2009年9月までに、20,000人が殺害されている。


2014年には、ブラジルは、リオデジャネイロほかの都市において、サッカーワールドカップを開催する。2016年には、オリンピックを南米大陸で初めて開催することが決定されている。リオデジャネイロ州当局、リオデジャネイロ市当局は、ファベーラから犯罪組織を追放し、警察軍の力によって、行政当局によるコントロールを回復することが目指されている。


このため2007年以来、警察鎮圧部隊(UPP)が結成され、主要なファベーラに進駐し、犯罪組織を追放することになった。この2年間で「鎮圧」されたファベーラは13である。2014年のワールドカップまでに、1000のうち40を解放する計画である。


これに反発したのが犯罪組織である。最大の組織は、「コマンド・ベルメリョ」と呼ばれている。対抗する組織は「アミーゴス・デ・ロス・アミーゴス」、競合する両組織は協同して、武装蜂起することになった。指令は刑務所にいる幹部から発せられたものとみられ、リオデジャネイロ州の治安相である、ホセ・マリアノ・ベルトラメは、主要な幹部8名を、リオから重警備のもと、地方に移送したと発表した。


騒乱は11月20日の夜から始まり、11月25日まで継続している。とりわけ11月22日の夜から、治安警察との衝突は激しくなった。11月24日までに、犯罪組織側の死者は21人、被逮捕者153人、警察官の負傷2人、民間人1人が死亡したと報道されている。


犯罪組織は銃、ライフル、手榴弾、火炎瓶などで武装し、自動車などをガソリンで炎上させ、ガレオン国際空港につながるリネア・ベルメリャなどを封鎖、警察署を襲撃したりしている。約20台のバスが炎上したほか、数十台の自動車が燃やされている。


警察軍はこれの鎮圧のため、リオデジャネイロ以外からの応援を要請し、約18,000人の警察軍が、ファベーラおよびこれ以外のリオ主要部にも展開している。警察車両1,625台、オートバイ190台、ヘリコプター、装甲車などが使用され、犯罪組織の火器が押収されている。


リオデジャネイロ州のセルジオ・カブラウ知事は、11月24日、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領、ルイス・パウロ・バルレト連邦政府法相に事態の報告をおこなった。カブラウ知事は、「われわれの治安の努力を失わせようとする意図がある。かれらはパニック状況を作ろうとしている。しかしわれわれが後退することはない」、と宣言した。


犯罪組織は、ファベーラの外に進出することによって、中産階級にたいして、その存在をデモンストレーションしているように伝えられている。(0880)


* この記事は、El Nuevo Herald, BBC Mundo, El Pais, AFP,を参考にしました。