(参考:0328「セラヤ大統領、憲法改正、再選を提案」)  


ホンジュラスのマヌエル・セラヤ大統領は、6月28日に、11月29日におこなわれる総選挙にさいして、憲法改正のための制憲議会選挙をおこなうか否かを問うための国民投票をおこなう意向であるが、セラヤ大統領の与党である議会内の自由党もその多くはこれに反対していたが、軍部も国民投票への協力を拒否する対応にでている。セラヤ大統領は、2010年1月に任期が終了するが、憲法改正によって、再選を目指していると見られている。


6月24日、セラヤ大統領は、国民投票への協力を拒否する軍部のトップ、ロメオ・バスケス参謀総長を更迭し、エドガルド・メヒア将軍を新しい参謀総長に任命した。6月25日には、エドムンド・オレジャナ国防相の辞任を承認している。ところがこの数時間後、最高裁は、バスケス参謀総長の更迭を無効と宣告した。6月25日現在、政府軍は、空港、議会、最高裁、大統領官邸ほか要所に展開しているが、はたしていずれの参謀総長の指揮下にあるのか判然としない。セラヤ大統領派の攻撃から防衛についているともいわれ、セラヤ大統領が最高司令官としての指揮権を維持しているのか不明の状態になっている。


セラヤ大統領はテレビ番組のなかで、ホンジュラスにおいてクーデターが起こされていると演説した。25日午後には、大統領官邸から数百人の支持者とともに、テグシガルパ南郊の、エルマン・アコスタ・メヒア空軍基地に移動した。ここには投票箱など選挙用具が回収されている。「誰も6月28日の国民投票を止めることはできない」、セラヤ大統領は言明した。


セラヤ大統領は、政党、議会、最高裁、軍部、誰からも孤立しているとされる一方、労働組合、農民、先住民運動団体、教職員団体、コーヒー栽培労働者、左派組織、および中産階級からも支持を得ているともされる。議会内では128議席中、民主統一党(PUD)5議員が大統領支持である。


米州機構(OEA)常設委員会は、6月26日、ホンジュラス問題にかんする会議が開かれる。エクアドル外務省はセラヤ大統領支持の書簡を送り、OEAにおいてその趣旨での活動がおこなわれるものと思われる。キューバのフィデル・カストロ前議長はホンジュラスのセラヤ大統領の事態を、チリにおけるサルバドール・アジェンデ大統領に擬した。ベネズエラでは、2002年4月のベネズエラにおけるクーデターの再現かと報道している。


街頭からは人通りが消え、人々は食料品を買いもとめているという。6月28日までの3日間がひとまずの焦点となっている。(0413)