鏡師、 山本晃久さんと 鏡を磨く。


未来に受け継ぎたい日本の手仕事を紹介していくオフィシャルブログ「HAND」。最初に訪れたのは、グッチ90周年を記念し、京都とフィレンツェの職人技をテーマに伝統工芸を展示した「時の贈りもの」展へ美しい鏡を出品していただいた京都の鏡師、山本晃久さんの工房です。
鏡師という耳慣れない職業ですが、それもそのはず。実はもう、この手仕事を継承するのは日本で唯一、山本さんの工房しかありません。ここで作られるのは主に、神社の御霊代鏡や御神宝鏡。通常のガラスを使った鏡とは違い、銅を使った伝統的な和鏡です。山本さんが作る鏡のなかには「魔鏡」と呼ばれる、江戸時代に隠れキリシタンの間で崇拝された鏡もあります。これは一見、普通の鏡でありながら、鏡面に光を当てるとキリスト像など鏡の背面に描かれた文様が反射光として浮かび上がるものです。
そんな鏡作りの工程で、なめらかな鏡面を作るために大切なのが“手仕上げ”と呼ばれる磨きの仕事。鑢(やすり)で切削った表面を、銑(せん)という専用の道具で研磨し、さらに砥石と硬さの違う炭でムラのないように研いでいきます。一見、簡単なように見えて、繊細さと辛抱強さが問われる作業。手の感覚だけで、平らで艶やかな鏡面に仕上げていくその技は、山本さんの祖父で無形文化財保持者の山本凰龍さんから受け継いだものです。
「古来の鏡の技術を守るとともに、『KIZUNA』など個人で製作している新しいプロダクトや活動を通して、和鏡の世界を一人でも多くの人に知ってもらいたい」という山本さん。

和鏡と同じ製法で手作りされる山本さんの作品『KIZUNA』。
伝統を守りつつも、同世代の職人たちと現代の暮らしに寄り添うモノ作りを行う山本さんの鏡作りの“手の技”。キラキラ光る鏡面が生み出される過程を覗いてみましょう。
HIGHLIGHT

1. 光る鏡面が端から徐々に顔を出していく様子。[00:22]
2. 太陽の光で魔鏡の文様が映し出される瞬間。[01:11]
PROFILE
山本晃久/やまもと・あきひさ
1975年、京都生まれ。慶応2年(1866年)に神鏡作りを開業した山本合金製作所に生まれ、大学卒業後、魔鏡の技術を復元した祖父で無形文化財保持者の山本凰龍氏に師事。全国で唯一、手仕事による和鏡、神鏡、魔鏡を製作。博物館所蔵の鏡復元にも携わる。オリジナルのプロダクト作品『KIZUNA』を製作するほか、同世代の職人の取り組みを支援するユニット〈byCraft〉にも参加。
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