ガダルカナル戦書籍一覧


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作文 従軍慰安婦・慶子
十九~二十日の 西山日誌
十四日以降の 若林日誌絶筆後の第十中隊の記録 完
十六日以降の 亀岡日誌 完
ギフ高地予備陣地からの脱出記録 → こちら
ギフ高地主力陣地からの脱出記録 → こちら
岡部隊の撤退記録 → こちら
十五日~六日の 堺台第一拠点の記録
堺台第二拠点 歩228連隊12中隊のガ島戦
十八日~二十二日の 矢野大隊の記録 
十九日の アウステン山・独山10連隊の記録


独立山砲兵第十連隊と対峙した米軍第35歩兵連隊の記録→ こちら
十九日の独山10連隊の記録→ こちら

独立山砲兵第十聯隊第三中隊 横山一三少尉の記録(概略)
一月二十日
昨日までの体調不良は収まり再び歩き出す横山少尉を待ち受けていたのは豪雨で泥の沼と化した丸山道だった。
踏み入れる足は膝までズボッと没し泥の中を漕ぐように進むと死臭が鼻を衝く箇所もある。
最後尾の横山少尉が漸く洞窟高地と呼ばれる辺に辿り着くと先着の者たちは露営の準備に追われていた。
此処へ連隊本部より食糧担送者が三名来ており、この先の九○三高地麓には運良く矢野大隊と共にガ島へ上陸追及して来た佐々木少尉が待っているとの事であった。
担送者の運んできた糧秣が各人米二合梅干一つ鰯の干魚二尾配られ久々の内地流夕食に「例えようもない美味しさ」と表現されている。
明日のためにと炊いた飯盒も「腹の虫が承知しない」とすべて平らげてしまった。


独立山砲兵第十聯隊撤退経路予想図
ガダルカナル Guadalcanal

一月二十一日
昨日、白米を食べた勢いか足取りが随分軽くなったと感じながら勇川上流を進む。
勇川を挟んだ両側に鍾乳洞のような穴が多く点在する「洞窟高地」と呼ばれる付近まで進んでいると先行した筈の岡連隊長以下十名程の一行と出会っている。
「岡部隊は一時陣を下がるが、兵力増強して再度飛行場に向かう拠点として、軍旗を陣地付近に埋めて来たのだと言う。軍旗に対するまさかの不安でもあったのだろう。然し軍は抵抗線を下げて持久戦を続ける方針で、再度アウステン山に戻る公算が殆ど無いので軍旗ほ掘り起こしに行くところであった。」(以上「」内原文そのまま引用;横山一三氏著「餓島」より)

横山少尉は後日ブーゲンビル島撤退後虫垂炎で野戦病院に入院された際、岡部隊の連隊旗手小尾少尉(横山少尉と同期)隣り合わせ苦闘の話を聞いている。
「軍旗を腹に巻いて漸くの思いで無事帰還出来た。連隊長を失って残念であったが、部隊長には申し訳がたった」

九○三高地の壊れかけた一軒屋に佐々木少尉一行が待ち受けていた。
矢野大隊と一緒に上陸した佐々木少尉の元気な姿は異国の者のような感じを受ける。
「横山さん大変でしたですねぇ。本当にご苦労さんでした。」
と慰められた横山少尉は我身の哀れをより一層感じ、さらには、血色の良い顔色、真新しい軍服の颯爽とした将校姿にこの世の人とも思えずよそよそしい気分になっている。
彼等の話では九○三高地に至る途中の陣地は既に各所で破られているとの事である。
佐々木少尉一行が担送して来てくれた圧搾口糧が沢山支給されている。
横山少尉は、道中ボリボリと噛じりながら瞬く間に一袋を平らげ二袋目に手をつけている。
普段の作戦では誰も手を付けない圧搾口糧が「こんなに美味い食糧だったとは」と感じ入り「往時の贅沢に罰が当たった」「病人を残してこんな飽食を」と回想されている。

呂道入口、草野大隊長が待ち受けていた。
戦況は逼迫しコカンボナ付近は敵砲撃により危険となり通行不可。
呂道とは工兵三八連隊が切開いた新道で海岸線を通らずボネギ付近へ抜ける事ができる。
夜行軍に備え呂道入口で暫し待機となり、佐々木少尉が携えて来た清酒一本と煙草「鵬翼」がひと箱づつ渡っている。
北山連隊長を囲む将校一同、衰弱した身体に酒は強すぎ誰もが殆ど呑めずにいる。
久方ぶりに吸う煙草は、一服で頭がクラクラし仰向けにひっくり返って目を閉じ美味を楽しんだ。
凸凹だらけの岩道を進みながら山中で露営となり地下足袋を脱ぐ横山少尉の足の裏は凸凹にふやけ針を刺されるような痛さの中、天幕を被り寝付きの悪い一夜を過ごされた。

1月22日米軍侵攻図及び日本軍第一線
ガダルカナル Guadalcanal


つづく

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歩兵第十六連隊 連隊本部 最後の人事係 准尉  長谷川榮作さまのホームページ
ガダルカナル戦関連書籍 Guadalcanal
お立ち寄り戴けましたら幸いです。



新発田歩兵第十六連隊の兄弟部隊である高田歩兵第三十連隊の従軍記録等を公開されているウェブサイト
ガダルカナル戦関連書籍 Guadalcanal
石坂准尉の八年戦争さまと相互リンクさせて戴きました。

平成24年8月18日(土)より9月1日(土) 日本青年遺骨収集団さま主催による ガダルカナル島「丸山道」自主派遣隊 の皆様がガ島御遺骨収集をされ7柱の御遺骨をお迎えされたそうです。
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