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小野ご夫妻がともに還暦をお迎えになりました。盛大な祝賀会があり、僕もお伺いしました。深夜のギロッポンにファッショナブルな方々が多数集まり、華やかな集いとなりました。

 

この小野光治さんという方を僕は相当に深くリスペクトしております。思考と行動は鋭くエッジが立っているのに、ヌケ感(←僕がもっとも尊重する人間特性のひとつ。「自然で無理がなく、肩の力が抜け、寛かであるさま」の意)が尋常一様ではないんですね。その一挙手一投足に惚れ惚れするわけです。

 

この人がその人。

 

奥さまのアヤミさんは還暦にちなんで真っ赤なドレスを着て、おぐしにはたくさんの赤いリボンを編みこんでいらっしゃいました。

 

これがそれ。アヤミさんはおそらく戦後日本有数の可愛らしい還暦者だと思います。

 

小野さんを知ったのは、日本一のヌケ感大魔王、重松理さんにご紹介いただいたからであります。重松さんはこの日「黒服」として活躍していらっしゃいました。

 

黒服の重松さん。

 

この小野さんという人がどういう人なのか、その素晴らしさをなかなかご説明しにくいのですが、以前『好きなようにしてください』という本を書いたときに小野さんに触れた箇所があるので、そこを引用いたします。御用とお急ぎでない方はちょいと読んでみてください。

 

僕が尊敬する人に小野光治さんというグラフィックデザイナーがいます。小野さんは高校を卒業してすぐになりゆきで建設作業員になりました。建設現場で汗を流しながら、まあまあ楽しく毎日を過ごしていたそうです。で、あるとき友達から電話がかかってきた。「昼間は忙しいだろうけど、夜とか休みの日が空いていたら、ちょっとうちの会社で手伝ってくれない?」ーー。

そのお友達が勤めていたのは広告の会社でした。小野さんはそこで掃除や広告制作物を仕事先に届けるといった雑用のバイトをするようになりました。

広告会社なのでオフィスにはさまざまな広告のポスターが貼ってあったり、作品を集めた本などが置いてあります。そういうものに触れているうちに、小野さんは広告というものに興味をもちました。チラシの制作の手伝いのようなところから始めて、やがて徐々に本格的な広告の仕事に携わるようになりました。

そこで一気に才能が爆発します。数年後には新進気鋭のグラフィックデザイナーとして国際的な賞をとるまでになりました。彼を見る世の中の目は一変しました。小野さんも当然のことながらイケイケで、今度はあの賞を取りたいとか、もっとカッコイイものをつくりたいとか、私生活でも舶来の高級スーツを着て高級なスポーツカーに乗りたいとか、もっと高いところに空に手を伸ばして、何かをつかもうとするような20代の後半だったそうです。

そんな小野さんが30歳くらいのときのことです。昔からつきあっている仲のいいお友達の家に遊びに行くことがありました。そのお友達は小野さんと同じように高校を出たあとすぐ社会に出て、そのときは小学校で給食をつくる仕事に就いていたそうです。彼の部屋の壁には子どもたちからの手紙がたくさん飾ってありました。そこには「いつもおいしい給食をありがとう」とか、感謝のメッセージが書かれています。

「俺はこういう仕事をしているんだよ」というお友達が小野さんにはものすごくカッコよく見えたそうです。これこそが本物の仕事だ、小野さんは直観しました。それに比べて自分は賞をもらって上等なスーツを着ているけれど、これまで一体何をやっていたのか……。目から鱗が落ちる思いがしたそうです。

お友達の家から帰ってきた小野さんは、それまでにデザインの賞で獲得したトロフィーや賞状などを全部捨てたそうです。そして、デザインとは何かを改めて考え直しました。

デザインというのはカッコいい作品をつくることではない。デザインとは社会的な問題解決に他ならない、というのが小野さんの考えです。つまり、空の高いところに手を伸ばしてつかみ取るようなものではなく、みんなが見過ごしている、道端に落ちている何かを拾い取る、そこにデザインの役割があるというのです。

これは「仕事とは何か」、その本質をまざまざと教えてくれるエピソードです。それまでの小野さんは、自分が認められたくてカッコいいデザインに明け暮れていた。それで確かに世の中から「承認」されていた。でも、そんな自分を向いたやり方では仕事は続かない。本当の仕事とは、人に何かを与える、その内実にしかないわけです。

小野さんはいま50代ですが、「余計なことを考えなくていいサラリーマンが性に合っている」といってあえて独立せず、ダイヤモンドヘッズという広告会社に所属しています。もちろんグラフィックデザイナーとしてデザインもしているのですが、それよりもさまざまなブランドやプロジェクトのコンセプトづくりの相談を受けるというのがお仕事の中心になっているそうです。

 この話を僕にしてくれたとき、小野さんは「若いころの自分を今になって振り返ると、なんてバカだったんだろうって、もう笑うしかないですよね……」と、実際に声に出して笑っていました。

これこそ仕事の本質、仕事への構えの理想がここにあると深く得心した次第です。

 

で、不思議なことに小野さんとはしばしば偶然に遭遇するんですね、これが。僕はこの「偶然遭遇」というものをヒジョーに重視しているわけですが、この3年間、年に1回のペースで小野さんとの偶然遭遇が発生しております。一昨年は新丸ビルの駐車場から小野さんがクルマで出てくるところですれ違い、昨年は新幹線の中で出くわし、今年はつい最近、この祝賀会の翌週に銀座の駐車場に停めてクルマを降りたら、目の前を小野さんが歩いていました。

 

これは絶対何かがある。次の偶然遭遇が楽しみです。

 

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