風が吹けば桶屋がもうかる?
テーマ:ブログ風が吹くと、ホコリが舞う。
その、ホコリが目に入ると眼病になる。
これが悪化すると盲人になってしまう。
盲人になると三味線を習いだす。
三味線が売れれば、猫の皮が必要になる。
猫を捕らえると、ネズミがのさばる。
怖いものなしのネズミどもが、桶をみんなかじってしまう。
そこでおかみさんたちが新しい桶を買いに来るので、
桶屋大盛況という一代顛末。
世の中はどこかしらでつながっているものなのである。
(参考:大風吹けば桶屋が喜ぶ・日本のことわざ)
というわけで、「この寒いのに!」と、言われながら信州は南木曽まで行ってまいりました。
目的は木の風呂桶を作っている志水木材産業さんの工場拝見です。
そもそも、今回のツアーはフリーバス企画の神社長からの呼びかけからはじまりました。
それは、自然素材を使ったお風呂やキッチンの提案をするプロジェクトを立ち上げよう!というもので
私のところに木製の風呂桶や、キッチンの対応を依頼されたのがきっかけです。
私は、信州の木マーケティングレップというのをやっているので、主として長野県のメーカーの中から
一緒に参加頂けそうなところをピックアップし、このプロジェクトの設計担当をお願いしたレップ仲間の
長野智雄設計工房の長野さんとともに、今回のメーカーツアーを計画しました。
風呂桶のメーカーである、南木曽の志水木材産業さんは昭和19年創業という老舗メーカーです。
木は原木丸太買いで、製材・乾燥から製品加工・仕上げまで一環して行われている立派な工場でした。
風呂桶というのは、上の写真のような箱型の他、箍(たが)を嵌める桶型の風呂の二通りが
あります。(箍というのは、桶のまわりにある丸い金属の輪のことです。これは、古くは竹が
使われていましたが、現在の主流は銅又はステンレスといった金属です。よく、緊張が無く
なって羽目をはずすことを「たががはずれる」などと言いますが、その「たが」のことです。)
木工の中で「箍物」というのは比較的新しいもので、その始まりは鎌倉時代頃とされています。
箍物には風呂桶の他、酒、味噌、醤油の醸造用・運搬用の樽があります。
桶と樽では、水分を長期間貯める・貯めないで木材の柾目・板目を使い分ける工夫がなされて
いました。また、箍物はメンテナンス性にも優れ、榑(くれ)と呼ばれる側板の一枚一枚を交換
することで、リユースしやすい構造となっていました。
この桶や樽の技術は日本人の生活や産業を革命的に変えたといわれていて、モノの大量生産
大量輸送を可能としました。江戸時代の日本の桶・樽は世界的にも突出した利用レベルにあり
日本がはじめてアジア諸国へ輸出したセメントは、伝統的な和樽によって海を渡ったそうです。
また、桶は殆ど地元の山で育った木で作られ、数十年酒屋が使った後、味噌屋で75年から150年
程使われ、その後醤油屋へ渡り修繕しながら数世紀にも渡って使われるロングライフなものでした。
初期の公団の風呂桶にも使われる等、最近まで全国的に大量に使われた桶ですが、風呂桶は
樹脂製ユニットバスに取って代わられ、酒樽もホーロー製に取って代わられ、現在はこれだけ
大きな箍物を作るメーカーは数える程になってしまいました。
現代の桶屋さんは風が吹けばもうかるような商売ではありません。
桶屋さんの仕事を残していくためには、しっかりと現代の生活にマッチする商品開発と、的確な
プロモーションが必要です。
木工製品を販売するものとして、木工技術の一つの典型である、「箍物」によって今の生活を
より豊かにしながら、循環利用できる商品を是非考えてみたいと強く思いました。
志水木材産業株式会社
http://www.shimizumokuzai.jp/index.html
桶仕込み保存会~酒樽についてはこちらから

































