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2012-02-10 11:14:53

風が吹けば桶屋がもうかる?

テーマ:ブログ

風が吹くと、ホコリが舞う。

その、ホコリが目に入ると眼病になる。

これが悪化すると盲人になってしまう。

盲人になると三味線を習いだす。

三味線が売れれば、猫の皮が必要になる。

猫を捕らえると、ネズミがのさばる。

怖いものなしのネズミどもが、桶をみんなかじってしまう。

そこでおかみさんたちが新しい桶を買いに来るので、

桶屋大盛況という一代顛末。

世の中はどこかしらでつながっているものなのである。

(参考:大風吹けば桶屋が喜ぶ・日本のことわざ)


というわけで、「この寒いのに!」と、言われながら信州は南木曽まで行ってまいりました。

目的は木の風呂桶を作っている志水木材産業さんの工場拝見です。


き*みどり-志水木材産業外観  積雪はこんな具合です


き*みどり-木曽檜風呂桶  檜柾目の箱型の風呂桶、向こうは足湯用ミニサイズ


そもそも、今回のツアーはフリーバス企画の神社長からの呼びかけからはじまりました。

それは、自然素材を使ったお風呂やキッチンの提案をするプロジェクトを立ち上げよう!というもので

私のところに木製の風呂桶や、キッチンの対応を依頼されたのがきっかけです。


私は、信州の木マーケティングレップというのをやっているので、主として長野県のメーカーの中から

一緒に参加頂けそうなところをピックアップし、このプロジェクトの設計担当をお願いしたレップ仲間の

長野智雄設計工房の長野さんとともに、今回のメーカーツアーを計画しました。


風呂桶のメーカーである、南木曽の志水木材産業さんは昭和19年創業という老舗メーカーです。

木は原木丸太買いで、製材・乾燥から製品加工・仕上げまで一環して行われている立派な工場でした。


き*みどり-箍ねる前の表面仕上げ  箍(たが)ねる前の表面仕上げ


き*みどり-箍ねる職人さん  職人さんが一つ一つ箍をはめ、仕上げます。


き*みどり-さわら寿司飯台  売れ筋は寿司屋さんで使う飯台


風呂桶というのは、上の写真のような箱型の他、箍(たが)を嵌める桶型の風呂の二通りが

あります。(箍というのは、桶のまわりにある丸い金属の輪のことです。これは、古くは竹が

使われていましたが、現在の主流は銅又はステンレスといった金属です。よく、緊張が無く

なって羽目をはずすことを「たががはずれる」などと言いますが、その「たが」のことです。)


き*みどり-箍物風呂桶・小判型  箍物の風呂桶


木工の中で「箍物」というのは比較的新しいもので、その始まりは鎌倉時代頃とされています。

箍物には風呂桶の他、酒、味噌、醤油の醸造用・運搬用の樽があります。

桶と樽では、水分を長期間貯める・貯めないで木材の柾目・板目を使い分ける工夫がなされて

いました。また、箍物はメンテナンス性にも優れ、榑(くれ)と呼ばれる側板の一枚一枚を交換

することで、リユースしやすい構造となっていました。


この桶や樽の技術は日本人の生活や産業を革命的に変えたといわれていて、モノの大量生産

大量輸送を可能としました。江戸時代の日本の桶・樽は世界的にも突出した利用レベルにあり

日本がはじめてアジア諸国へ輸出したセメントは、伝統的な和樽によって海を渡ったそうです。


また、桶は殆ど地元の山で育った木で作られ、数十年酒屋が使った後、味噌屋で75年から150年

程使われ、その後醤油屋へ渡り修繕しながら数世紀にも渡って使われるロングライフなものでした。


き*みどり-箍物・職人 江戸時代  北斎も描いた江戸時代の箍物職人


き*みどり-箍物・職人 現代  現代(志水木材産業)の箍物職人


初期の公団の風呂桶にも使われる等、最近まで全国的に大量に使われた桶ですが、風呂桶は

樹脂製ユニットバスに取って代わられ、酒樽もホーロー製に取って代わられ、現在はこれだけ

大きな箍物を作るメーカーは数える程になってしまいました。



現代の桶屋さんは風が吹けばもうかるような商売ではありません。

桶屋さんの仕事を残していくためには、しっかりと現代の生活にマッチする商品開発と、的確な

プロモーションが必要です。


木工製品を販売するものとして、木工技術の一つの典型である、「箍物」によって今の生活を

より豊かにしながら、循環利用できる商品を是非考えてみたいと強く思いました。





志水木材産業株式会社


http://www.shimizumokuzai.jp/index.html


桶仕込み保存会~酒樽についてはこちらから


http://www.okeok.com/












2011-12-28 17:12:13

長野智雄さんと「珈琲工房・山ぼうし」と中島たい子さんのこと

テーマ:ブログ

私は「信州の木 マーケティングレップ」というのをやっているのですが、おなじレップに

長野智雄さんという、イケメン一級建築士がいます。


先月末に、長野さんが建てた「珈琲工房・山ぼうし」という喫茶店で、あるプロジェクトの

打合せをしました。


この山ぼうしは木造による居心地の良い空間作りにこだわる長野さんの持ち味が十分に

生かされ、たっぷりとした庭を眺めるように高い天井と大きな開口が特徴的な建築となって

います。


既存樹木を生かしたという庭は、外部からの視線もほどよくさえぎり、住宅街の中の喫茶店

とは思えない静けさです。


き*みどり-山ぼうし 2  奥行きのあるエントランスアプローチ


き*みどり-山ぼうし 1  ゆったりとした庭、大きな樹木と開口部


今、前記のプロジェクトに長野さんを引っ張り込んで色々お話を伺ったりしているのですが

いつも関心するのは、建てたい建築像の明快なことと、決してそれを施主に押付けない

懐の広さを感じさせるところです。


長野さんは建築の勉強に飽き足らず、職人としての勉強も経て、現在では職人さんを

育てる学校で教鞭をとっておられます。


建築家と職人、両方の目をもっているため、木のような難しい素材の良いところを生かす

建築設計が可能なのだと思いました。


もっと早くお会いしていれば、私の家の建築もお願いしたかった・・・。



さて、もうお一人ご紹介します。この打合せに同行されていた、長野さんの友人で作家の

中島たい子さんです。

中島さんはすばる文学賞をはじめ数々の賞を受賞され、芥川賞候補にも2回も選ばれた

有名な作家さんだそうで、ちょっと私は年甲斐も無く緊張気味(汗)。


中島さんの「建てていい?」という本を、以前長野さんから頂いていたので存在は知って

いたですが、まさかいらっしゃるとは思っていなかったのでびっくり!

初めてお会いした中島さんは、とても背が高く美しい方でした。


き*みどり-建てていい?  中島たい子さんの「建てていい?」(講談社)



しかしたまたま、中島さんと私が同じ大学の出身ということもあって、なんとなく話もしやすく

ちょっと安心したお調子者の私は、「今度皆で一杯やりましょう!」なんてことを口走って

ました…。


(本持ってってサインもらっとけば良かったか?←また家内に貧乏臭いと言われるな・・・)


ところで、前述の「建てていい?」という本は長野さんがモデルになっているということです。

という訳で、なんだかとても不思議で、でも素敵なお二人とその作品のご紹介でした。





長野智雄 設計工房


http://tn-ds.com/



珈琲工房「時游空間・山ぼうし」


http://www.yama-boshi.com/



中島たい子 「建てていい?」


http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2139383







2011-11-13 09:14:24

木祖村、そして根羽村へ

テーマ:ブログ

11日・12日と恒例の長野県・森林見学会に行ってきました。

今回は、伊那~飯田、そして根羽村というコースです。


11日は終日あいにくの雨で、この日私は最初の目的地である「かんてんぱぱ」で有名な

伊那食品さんまで同行し、そこから別行動でレンタカーを借りて、権兵衛峠を越えて

木祖村へ向かい、ろくろ挽きの皿や家具を作っている工房を訪ねました。


現状のグリーニングワークスの品揃えは指物が中心で挽物がないので、商品の幅を広げ

られるのではと考えての訪問です。雨の中行った甲斐もあっていくつか収穫が得られたので

まずは商品を扱って頂いているお客様に提案してみようと思っています。



さて、夜中に皆が宿泊している飯田のホテルに着くとまだ、懇親会やってるから来てください

と井出さん(長野県林務部の方)からの連絡。到着すると、皆さんほぼ出来上がっており

とても追いつける状態ではなかったので、残り物の煮物を頂きながらお酌されるままにお酒

を飲み、何人かの方とお話をしました。


中でも、翌日の予定コースとなっている根羽村の今村副参事の森林再生にかける熱い話が

とても印象にのこりました。東京生まれの今村さんは何しろ森の暮らしが好きで、Iターンで

長野県職員を経て根羽村森林組合に転職されたという変わった(?)経歴の持ち主です。

とても企画・実行力のあるかたで、こんな人が各地方の森林組合にいたら日本の林業も

もっと良い方向に変わっていくんだろうなぁ~と感じました。



そして、翌日12日です。

まずはホテルから徒歩で「りんご並木のエコハウス」を見学。こちらは名前の通り目の前の

街路樹がリンゴで、このときもたわわに実ってました。


き*みどり-リンゴ(ふじ)  これは「ふじ」という品種のりんご


このエコハウスは地域の気候風土や敷地の条件を有効利用し自然エネルギーが最大限に

活かされること、そして身近に手に入る地域の材料を使う等、環境に負荷をかけない方法で

建てられたもので、設計は新井優さんの手によるものです。

今更ですが、自分の家もこんな風にしたかったという感じのとても素敵なモデルハウスでした。


き*みどり-伊那エコハウス  リンゴ並木のエコハウス全景


き*みどり-無料電気バス  かわいい無料の電気バスも走ってます!


さて少し飛ばして、この後伊賀良木材さん見学を経て、根羽村へ移動。ネバーランドで大盛

の昼食後、伐採体験ということで一路山奥へ。


き*みどり-伐採1  切っているのは80年生の桧

き*みどり-伐採2  バキバキ…


き*みどり-伐採3  バキバキバキ~ ズドーン!!

き*みどり-運搬1  切った木はこの重機でおろします。


き*みどり-運搬2  とても長い木ですが、上手に崖をかわして…

き*みどり-運搬3  くるっと回り…

き*みどり-運搬4  するする下りて行きました。(さすが!)


き*みどり-神社長  ぬかるみを下るフリーバス神社長!


その後、都会で足腰の弱った皆さんはバス中で暴睡…zzz。

根羽村森林組合に移動し、かっぷくの良い根羽村の名物村長さんから村の歴史や現在の

活動を伺いました。


村には「水を使うものは、自分で水を作れ!」という昔からの言葉が残っているそうです。

この為、現在でも矢作川が海へ流れ出る愛知県と水源涵養林としての根羽村での交流が

盛んで、県の境を越えた親戚のような付き合いがあるとのことでした。

村長の、これからも先代達が村営のビジョンとして掲げた「林業立村」を守って生きていく

というのがとても印象に残る話でした。


森林再生を考えるときに森と川とその流域は全て繋がっているのに都道府県の行政単位で

切られてしまって、横のつながりが悪いところを良く見かけますが、ここは昔ながらの自然の

摂理に従って正しい生き方を選んでいる、そんな風に感じました。


き*みどり-矢作川  根羽村森林組合脇を流れる矢作川


き*みどり-カエル  チェーンソーアートのカエルがあちこちに



ツアーの最後に訪れたのは「月瀬の大杉」です。この杉はなんと推定樹齢1800年余!とされ

長野県ではもちろん第一位の巨木です。写真では判りづらいと思いますが、目通り(目の高さ)

での幹廻りは約14m、樹高は約40mで昭和19年に国の天然記念物に指定されています。

弘化元年(1844年)の江戸城本丸消失後の復興用材として使うことになったり、また明治41年

(1908年)村内神社統合の後、大杉売却の決議がなされたりしましたが、月瀬全住民の団結の力

によって保存され、現在に至っているそうです。


き*みどり-月瀬の大杉2  近寄ると凄いパワーを感じます!

き*みどり-月瀬の大杉3  月瀬の大杉全景




今回も、あわただしくも、とても充実したツアーとなりました。

長野県産材販路開拓協議会の皆様、根羽村の皆様有難う御座いました。






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