メロメロパーク
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2010年06月29日(火)

失業〜そして、キャンプ

テーマ:ブログ
そこは無料のキャンプ場だった。

山の中の広いスペースに、キャンパーは俺一人だった。

夜。

完璧な静寂が訪れた。

俺はこれを欲していたのかもしれない。


キャンプ場を抜けて、山の奥へ歩いていきたい欲求に抗しがたく、

俺は山の中へ入っていった。

ライト片手に。




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2010年06月23日(水)

頭痛

テーマ:ブログ
「人生は、わからない」

映画 ベンジャミンバトン数奇な人生より





その日。

俺は頭痛で起き上がる事が出来ずに、しばらく布団の上でのたうち回っていた。

のたうち回りながら一度、友人になんとなくメールした。

~頭痛がひどくて、たまらんよ~

友人からの返信を読んで、俺はだた笑うしかなかった。


~酒の飲み過ぎかい?~




会社をクビになってから、職安で紹介状を発行してもらった二社に、

履歴書と職務経歴書を郵送した以外に、俺は何もしていなかった。


飯を作る気力も、なかった。


腹が減ると、家の外へでて、適当なところで飯を食った。

それだけで、ひどく疲れてしまうのだった。



頭痛薬を飲んで、ぼんやりと天井を眺めていると、色々な考えが頭の中に浮かんでは消えて行った。

ふと、とんでもない事実に俺は愕然となった。


今の俺を必要としている人間は、この世に一人もいない。


最悪な考えだったが、それ以外、何も思い至らなかった。

眼を閉じても眠れなかった。

外は晴れていて、掃除機をかける音が聞こえてきた。

母親が子供を叱る声も。



猫の鳴き声が聞こえた。

鳴き声は家の中からだった。

俺は起き上がり、猫に餌と水を与えると、ある事に思い至った。


俺を必要とするものは、ここにいた。

猫。

俺は猫を抱き上げ、胸に抱きしめた。

なんだか、泣きたい気分だった。


この世に俺を必要とする生き物は、この胸に抱いた猫一匹だ。


それは救いなのか。

それとも、絶望か。


腕に力を込めた。

猫の呼吸が止まるのがわかった。

俺は腕の力を緩めた。

それから、優しく頭を撫でてやった。



猫はグルグルと喉を鳴らし、俺を見つめていた。
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2010年06月19日(土)

チナスキー

テーマ:ブログ
昨晩。

職安の帰りに友人へ電話し、ショッピングモールで落ち合った。

車でショッピングモールへ向かう途中、車の中でずっと友人と携帯で話し続けた。

「落ち込んでるかと思って、心配したよ」

「まあ、最悪な状況には違いないが」

雨はだいぶ弱まっていたが、路上はすべての光を吸い込んで、どす黒く、排気ガスの余臭を放っていた。

「職安で、おもしろい求人があったよ。植木職人さ」

友人はおもしろがって、こう言った。

「おお。それいいんじゃないか。俺もそういう外で働くような仕事が良いかもしれん」

「なんか俺も落ち込んでいてね。最悪さ、今の仕事には夢が無いぜ」

俺は友人の苦悩がよくわかった。

俺たちは、どこか似ている。

「とにかく、楽しそうな仕事だろう?植木職人は。それに、俺が持ってる数少ない資格も役に立ちそうだし」

俺はいつも、そんな風にして仕事を決めていた。


面白そうだとか、楽しそうだとか、うんざりしなさそうだとか。


「お前の話きいていると、なんだか救われるよ。クビになったばかりの零に、俺が元気づけられてるなんて、逆だな」

「俺は落ち込まないんだよ。すべてを受け入れられるようになってから、そうなったんだ」

それは嘘だった。

職安へ向かうときは、最悪な気分だったし、今も不安は心の奥底で小さく燻っていた。

俺はそれに眼を向ける事を、やめているに過ぎなかった。

それでも友人と話をしていると、俺も元気が出て、話している間だけ、不安は消え去っていた。

「まったく、チナスキーじゃんか」

友人はそういって、笑った。

チナスキーとは、チャールズブコウスキーの小説に出てくるブコウスキー自身の分身で、

いつも酒を飲んでいて、いつも仕事をクビになる男のことだった。

「クビになった理由は、酒かい?」

「違うよ。俺をクビにする材料は見つからなかったようだ。だから、売り上げの低迷のせいにし、景気のせいにして、ちゃんと金も払ったんだろうよ」

俺は、仕事中に隠れて酒を飲んだ事が何度かあった。

それを友人に話したことを、俺は思い出した。


俺や友人は、小さな建物の中で働く人間ではなかった。


友人には、ファーマーの血が流れていたし、俺には荒くれ者の血が流れていた。

狭い箱の中では、息が詰まるのだ。

「夕飯、食うよな?」

「いや、無理だな。女房がうるさい。今度機会があったら、食おうぜ」

俺たち二人は、ショッピングモールを歩き、iPadなんかをいじり、友人に缶コーヒーをおごってもらい、二人でしゃべりながら飲んだ。

俺は、失業中だという事を、完全に忘れていた。


俺はふと思った。


その日職安で発行してもらった紹介状。


その二つに、俺は採用されるに決まっている。

そう思った。

無理だ、などとは決して思わないことだ。


そして、無理をしないことだ。


ブコウスキーの小説の中で、今でも頭に焼き付いている一説を、頭の中で読み上げた。



~人生は、流れに逆らわないほど、優しくなるものだ~



今の日本は、チナスキーのような飲んだくれが生きて行けるような、優しい時代ではなかった。


吐き気のするような、狡猾で薄汚いドブネズミが幅を利かせる世の中だった。


ドブネズミどもは、自分がどれくらい意地が悪く、悪知恵が働くか、悪臭を放つどぶの中に寄り集まり、自慢して興に入っているのだ。



友人と別れた俺は、ショッピングモールの中の本屋に寄った。

ビレッジバンガード。

棚の上に、目的の本があった。

ブコウスキーの文庫本だ。

二冊取り出し、どちらを買うか悩んだ挙げ句、俺は薄い方の一冊を手に取った。


死をポケットに入れて。


失業中に読む本としては、最高のチョイスではないか。



俺は申し分ない心持ちで、家路についた。
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