野球と卒業する日 | 御殿山ファイターズ

野球と卒業する日

野球人生において
少年野球は単なる通過点…

勿論、小学生で野球を辞めてしまう子も
いれば、中学で辞めてしまう子、高校で
辞めてしまう子、大学で辞めてしまう子、
社会人で辞めてしまう人、プロで辞める人、
人それぞれ
どこかで現役を引退し
野球と卒業する日がきます。

少年野球の指導者として
一人でも多く中学で野球を続けてくれる
子を増やしていくことを考えています。

少年野球の時にしか
子供とグランドで駆けずり回ることしか
できないでしょう

ただ
長男の時にやりすぎてしまうことが
あります。

ある家族の話し

長男の入部と同時に
お父さんもなんとなく
野球のお手伝いから始まり
コーチになった

グランドでは
どうしても長男が気になってしまい
厳しい掛け声になってしまう。
他の先輩コーチからは
自分の子供だけに厳しいのは
ある意味、ヒイキになってしまうよ
と言われたが
頭では分かっていても
やはり厳しくなってしまう。

長男は、はっきりいって上手くなかった
でも努力だけはする男だった

次男もいたが
次男をほったらかしにして
両親で長男を支えた

父親は仕事を切り上げ
キャッチボールもしたが
必ず最後は長男を泣かしていた。

母親は、時間があると
新聞紙を丸めてガムテープでとめた
仮ボールでトスバッティングのトスを
よくあげていた。

長男は、レギュラーを取るために
必死で練習した。

その結果、決してホームランを打てるような
バッターではなかったが
最後の公式戦で見事にホームランを打った
純粋に感動したし、興奮した。

その後、中学では強豪チームに入部し
3年間でベンチ入りできたのは一回だけ

勿論、練習でクタクタになった後も
自宅に帰り、1時間のロードワークと
素振りは毎日していた。

しかし、
公式戦での打席数はゼロ
練習試合で3回だけ打席に立っただけ
部員数は100人 狭き門だ

そんな時に
父親は、お前の努力が足りないからだと
言い続けてしまった…

そのうちに彼は
大好きだったプロ野球すら見なくなって
しまった…

中学3年の夏前

突然、彼が野球を辞めたいと
言い出した!

言われ時は、正直 意味が分からなかった

父親は怒鳴りつけた
「その甘い考えがレギュラーも取れないし
本気で努力してないんだよ 野球をなめるな」

彼は言った
中学3年の男が
大粒の涙を流しながら
「毎回、レギュラーだったお父さんには
分からないんだよ!どんなに走っても どんなにバットを振り続けても 一回も監督にバッティング練習すら見てもらえない気持ちなんて 俺は野球が大嫌いなんだよ」

父親は言葉が出なかった
この子は、父親に認めてもらおうと
必死で毎日もがいていたんだと

その日は、二人で涙を流しながら
野球について話し合った
お互いに言いたいことを言った

翌日から
父親も夜練に一緒になって走った
バットも振り続けた

しかし、最後の夏
背番号は貰えなかった…

その日
息子は
「ごめん だめだった でも
必ずみんなをサポートして優勝するよ」

彼は笑顔だった

父親は涙をこらえながら
息子を抱き締めた
「がんばれ」

いつの間にか
暑い夏が終わり
引退の日

父親は、ケーキを買って出迎えた

一言
「お疲れ様でした」

すると息子は
「野球に出会えて感謝している
友達も沢山できた。今まで支えてくれて
ありがとう」

握手した息子の手が
いつの間にかゴツゴツした
大きい手で成長を感じとった

彼が野球を卒業した日
それは中学3年の暑い夏の日だった…

結局
高校では甲子園出場校にも関わらず
野球部には入らなかったが
息子の意思に任せた

今では
本当にたまにだが
少年野球の手伝いにきてくれる

いつ現役から卒業するかは
人それぞれ

しかし、一生野球はできる
野球って素晴らしいなあ

長々と失礼いたしました。