遠い星310(合宿研修編50) | たろすけ日記
「これから飲むぜ。小田島君の話が聞きたいもんな」

「おぉ、飲もうぜ。横山さんの話が聞きたいしな。小田島君酒買ってきて」そう言うと高梨さんは3千円俺に渡した。

「気が早いな。俺からも出すぜ」川本さんからも2千円受け取った。5千円もあれば結構酒も買えるがどうしようと思って、

「こんなにたくさん有難うございます。お酒は何にしましょう?」

「ビールでいいよな」高梨さん。

「だな、よろしく!」川本さん。

「じゃ行ってきます。加藤君も小笠原君も来る?」

「あぁ、行く」加藤君。

「お供させてください」小笠原君。

「じゃ行こう」そのままホテルの地下にあるコンビニでビールとつまみ買った。みんなかなり飲んでるだろうしもう飲めないと思い、350mlの缶ビール10本とピーナッツ・ポテチ・ビーフジャーキー買って戻った。ここでまた飲むということは裕美との逢瀬もオジャンだろうなって思った。酔いつぶれてる裕美はおそらく部屋で虫の吐息だろうしな。それはそれで仕様がない。飲み疲れてる以上このまま寝て欲しかった。

「あぁ、早かったな」川本さんと高梨さんは部屋のバルコニーの椅子に座ってた。

「どいつもこいつもそんなに飲みたいんだ。こっち来な。楽しもうぜ」それぞれがバルコニーの椅子の回りに集まって俺たちはビールを渡した。

「ビール何本買ったの?」高梨さん。

「10本です。350ml2本あったら十分でしょう?」俺。そのまま二人にお釣り渡した。

「ま、いいけどな。じゃ行こうぜ!」

「乾杯!」5人が揃って言った。別にもうヘベレケになるまで飲まないんだ、ひょっとしたら裕美は来れるかもしれない。かすかな期待を持って後で裕美にメール出してみようと思った。・・・こんな風に書くのも実際おかしいわな。かすかな期待と諦め気分がないまぜになったような虚ろな状態の俺だった。裕美はもう眠って欲しい。それでピリオド打とう。

「あー、でも妬けるよな、小田島君には」加藤君。それ聞いてハッと我に返った。いかんいかん、今は裕美のこと忘れないといけない。

「そうですね。彼女はパッと見地味かもしれないけど後からその綺麗さ思い出していくんです」取り繕った返事返すと、

「僕は速記部じゃないですけど横山さんって目立ちますからね。小田島さんといつも一緒なのが羨ましかったですよ。僕だって横山さんみたいな彼女欲しいですよ」小笠原君。

「どんな風に知り合ったの?」川本さん。

「はい、丁度1年前の速記部の合宿研修で彼女が酔って苦しんでるのを見てからです。あのときの彼女ってコップ1杯のビールで気分悪くしたんです。今は当時程でないにしてもお酒は弱いですけど」

「でもそんな介抱だけだったら一時のその場しのぎで終わっちゃうだろ。そのときの横山さんとの会話再現してみてよ」川本さん。

「え、でも単純にただ介抱して彼女からお礼言われて付き合い始めたんです。僕にはホント僥倖な出来事でした。今振り返るとそう思えます」
(続く)