Goodbye holiday blog

東京で活動中、Goodbye holiday


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(この冬、1.当然のように息が白くなっていることに何の感動も覚えなかったこと 2.当然のように葉を散らした裸の木々が放つ「昨年よりも私は綺麗に枯れ、咲きます」という朴訥とした主張を完全に無視してしまっていたこと に気が付いた午前四時過ぎの日記)


僕は時間があると恐ろしく怠惰に過ごす癖があるんだけど、それも限界を迎えると「落ちるところまで落ちた感性を釣り上げねばならない」という焦燥に駆られる。

人は、少なくとも僕はそれなりの衣食住と時間があれば、動物園のバクとかカバとか、その辺のスローな彼等と同じように生涯を過ごすはずだよ。

頭のネジを常に緩めて、食べたら眠くなって、起きたらお腹が空いて、今日は晴れだとか雨だとか、道行く人を見てセンスがあるだのないだの、小綺麗だの不潔だの思いながら、何となく息が苦しくなって死んでいく。

それはささやかながらも創作を生業とする人間の生き方ではない。

早急に底の見えない井戸に、色んな種類の餌を付けた糸を垂らさねばならない。

鍋の底にこびり付いた感性を釣り上げるのだよ。


フィッシングの方法はいくつもある。

好きな曲を好きなヘッドフォンで鳴らしてみたり、嫌いな奴を嫌いな言葉で罵ってみたり、中途半端に溶けたキャンドルを灯してみたり、排水口に詰まった髪の毛を捨ててみたり。

だけどいつもがつんと効くのは、思い出すだけで喉の奥に鉛が詰まるような感情の記憶を掘り起こすこと。

心のかさぶたをばりばりと剥がすことだよ。

大きな傷を負った直後は、僕は特にひ弱な人間なので、気持ちがとても極端に振り切れて、それを補うために体で無理をして心身共に倒れてしまう。

そこからゆっくり音楽だとか映画だとか、適当でも自炊した料理だとか、人気のない通りの乾いた匂いだとか、とても小さく歩幅を刻む老人だとか、気まぐれに電話をかけた友人の声だとかに養分を貰い始める。

それから少ない貯金を崩してお金を物に代えてみたり、シンプルな格好で街を歩いてみたりしていると、気が付けば生傷にはうっすらと血小板の固まりが出来ている。

後は季節の巡りに自動的に心が追いついてくる。


この健全なサイクルをもってしてかさぶたは出来上がり、痛みは消えて、痒みもいずれなくなって、ぼけっとコーヒーを飲むだけの僕が戻ってくる。

そして泥に浸かるカバというかバカになる。

これはいかん、と思って大急ぎで大事なかさぶたをばりばりと剥ぎ取る!

吹き出る鮮血!懐かしい痛み!おまけに膿まで出来ている!

かさぶたの下は生涯死ぬまでいつだってただの生傷だよ。


(言葉に変えたところで、それは本当にささいな材料にしかならないのに)



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