食事編でサメをUPし
コメまでいただいていたら
多感な頃(こんなオッサンにもあったんですよ)に見た映画を思い出した

”チコと鮫”だ(原題=Tiko and The Shark 1962イタリア/フランス)

オーシャンズは予告でショッキングな(フカヒレを切りとった生きたサメを捨てる)シーンを
見てからあまり気乗りがしなくなったが、ドキュメンタリーとしては素晴らしそうだ

しかし、このチコと鮫は伊/仏版の浦島太郎か鶴の恩返しみたいで海洋生物への興味を
深めてくれたマイ・アラモアナ(ala moana=ハワイ語、海に続く道・水の流れ行くところの意)
のひとつなのだ

タヒチを舞台にした少年と鮫との友情物語だが、少年チコに育てられ成長した鮫は突然姿を消し
10年後、巨大な人食い鮫に遭遇するが両者が共に思い出し(認識し)共に暮らせる生活を望む
が、一緒に育てた幼馴染の彼女と板挟みになる苦悩の物語なのだが

似たような再会を経験した事がある


ダイビングの師匠とベテランメンバーを中心に新スポット開拓の時


さすがに入水していないだけあって魚影が濃い、バカでかいセイゴ(スズキの成魚)が悠然と

横切ったり、コブダイ(ナポレオンフィッシュの日本版みたいな魚)のペアが付いて来ていたりと
ガイドする時に売りになるポイントになりそうだと思っていたが数分後大きな根を超えた時に
異様な気配で振り向いたが初めてみる光景に暫く動けなくなった

無数のイシダイが付いてくるのだ

(写真はイシダイの幼魚=幼魚のうちはこのように群れている)
ごんのブログ(慢性膵炎日記)


百や二百ではない無数の群れでしかも口黒

(老成魚になると縞がぼけて灰色になり口が黒いのでこう呼ばれる)
まで混ざっている・・・
有り得ない!

その中でも特に巨大な口黒が寄ってくる

鼻先まで近寄り体を斜めにしてこちらの目を覗きこんできた瞬間
『X(エックス)だ!』と気付いた

Xと言うのは6年ほど前にバディだった石田(仮名)と何度か餌付けをしたイシダイの稚魚だ

体の横縞(頭から尾に向かう縞が縦縞・背から腹に向かうのが横縞)の3・4本目が曲がりX
になっているので石田とそう呼んでいたのだ

海の荒れる時期が過ぎた頃にはもう彼に会う事はなかったのだが・・・

60cmほどに成長した体を両の頬に摺り寄せ顔の周りを何度も8の字を書きながら泳いで
いたので右手のグローブを外して伸ばすと、彼は左の頬をあててきた

私の掌に頬をあてながらじっと目を見ている


暫く見つめあっていたが、私は手を引き

あの時のようにカキをひとつこじ開けて右掌にのせると、彼は一口つまんで、またこちらを
見つめてきた

残りを指でつまんで差し出すと

一口に吸いこみ、私の顔を左に回ってゆっくりと去って行った
無数の群れが彼に従いゆっくりを私の周りを回りながら去って行った

結局このスポットは魚影が濃い以外地形も単純で使わず
それ以来彼に会う事は無くなったのだが・・・

ボートに上がるとメンバー達から『あの大群は何だったんだ?』と聞かれ
「え?イシダイですよ」と答えると、師匠から
『イシダイぐらい判るわい! あの距離でも、何の用事だったんだ?』
「家族紹介ですよ Xの」
『Xって、おまん(お前)が珍しく餌付けしてたあのチビかい? 生きてりゃ口黒だろう』
「ええ、2尺は有りましたけど、薄っすらとXが残ってました」


イシダイは学習能力の優れた魚と言われていますが野生のそれも人間より知能の低いと

認識されている魚でさえ子供の頃の事って覚えてるんですね

チコと鮫って実話だたんじゃないかな
なんて思ってます・・・

生きるって残酷な事だと思います
そんなこの星の仲間を食べないと生きていけないんですから・・・