『五つの標的』 山田正紀 光風社文庫 | 表層人間の半可通読書とゲームリプレイブログ(略称半読書リプレイw)

『五つの標的』 山田正紀 光風社文庫

五つの標的 (光風社文庫) 五つの標的 (光風社文庫)
山田 正紀

光風社出版 1995-03
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「地下鉄ゲーム」

「真夜中のビリヤード」

「四十キロの死線」

「ひびわれた海」

「熱病」


の五編が収録されたミステリ冒険ノワール短編集。


一個目の「地下鉄ゲーム」が


細野不二彦の『東京探偵団』の「MOBIUS・EXPRESS」を彷彿させる傑作。


細野版は無限の環が更に拡散するが、こちらは収斂するが、


こちらの電車ジャック犯人は見事に逃げ延びます。


SFじゃないよ。知的興奮する鉄道ミステリである。


「メビウス・エクスプレス」に興奮した鉄ちゃんは、


「地下鉄ゲーム」も必読である。


全体の雰囲気はギャビン・ライアル稲見一良 路線の


男たちの危険なゲームものだが、


青春ノワールの風味もあります。


政治家や大企業の悪を呪詛しているのは、山田正紀 ならではだね。


全作長編化可能なネタだが、


スタイリッシュに切り捨てているのもやはり天才山田正紀 である。