「西洋美術史Ⅶバロック美術ロココ美術」 高階秀爾 監修 美術出版社 | 表層人間の半可通読書とゲームリプレイブログ(略称半読書リプレイw)

「西洋美術史Ⅶバロック美術ロココ美術」 高階秀爾 監修 美術出版社

Ⅶバロック美術ロココ美術

Ⅶa17世紀の美術

「バロック」の語源は「歪んだ真珠」「規範からの逸脱」を意味するポルトガル語。
否定的な意味で17世紀の美術、ことに建築に適用された。
現在では「バロック」は価値判断から独立した様式概念となっているばかりか、
ほぼ17世紀全体を指す時代概念としても使われる。
バロック様式の特徴は誇張や劇的効果の追求。
劇的で奔放な狭義の「バロック」。
光の効果に対する関心もこの時代の特色。


イタリア

アカデミア(画塾)。
ボローニャ派。
18世紀の古典主義者が「バロック」と形容したのは、まさしくボルロミーニの建築様式。


オランダ

17世紀オランダ絵画は依然として中世的な思考法を受け継いでいたが、
レンブラント・ファン・レインは例外であり、静物画を除くあらゆる画種を手掛けている上、
ルネサンス以来の正統的分野である構想画(宗教画・神話画・歴史画)にも力を入れ、
更にエッチングの大家でもあった。
晩年のレンブラントは、絵具を厚く盛り上げて、それ自体輝かしく魅力ある絵肌を作り出すなど、
油彩技法の面でもきわめて斬新。


ドイツ

南ドイツとオーストリアのカトリック宗教建築は、イタリア・バロックの強い影響化に、比較的簡素な外観とストゥッコ(漆喰)装飾を多用した華麗で晴れやかな内部空間の対比を特徴とする様式を生み出した。


Ⅶbバロックからロココへ

ロココの語源は、バロック庭園の人工洞窟に付された貝殻などを嵌め並べた装飾の名称ロカイユである。
そして1730年代に、当時流行していた複雑精妙な曲線からなる装飾デザインがロカイユと呼ばれ始めた。
ロココの語は新古典主義時代に、ルイ15世時代の美術に対する蔑称として生まれたが、
現在では中立的な美術史用語。


ロココ建築と庭園

純粋なドイツ・ロココ建築の例としてはヴェンツェスラウス・フォン・クノーベルスドルフによるシャルロッテンブルク城の室内装飾などがある。


ロココ絵画

フランス

アントワーヌ・ヴァトーは曲線を複雑に組み合わせたアラベスク模様やシノワズリ(中国趣味)の装飾デザインを行った。
ジャン=バティスト・グルーズは教訓めいた絵で啓蒙主義の哲学者ディドロに絶賛された。
ディドロによって始まった美術批評や、画商の増加や、
版画、水彩、パステル、素描などのロジスティックに手軽な分野の流行が美術市場の活性化に役立った。