極私的覚え書き -4ページ目

筋肉を鍛える:海辺のカフカ考

一日の大半がデスクワークのため僕はとにかく肩こりがひどい。寝付きが悪く朝起きてもだるさが取れない。ひどいときは一日続く。鎮痛剤や睡眠薬を飲んだり、温泉に入ったり、お酒を飲んだり、メイクラブしたり。いろいろ試したがどれもいまひとつ。
唯一オススメできるのは”筋肉を酷使すること”。
1年半前からスポーツクラブに通い週2回身体を酷使している。90分間で体重が2kg近く落ちる。仕事が終わってから夜10過ぎまで。動悸はする、こむら返りをおこす、顔面蒼白になるで、最初はとにかく辛かった。死ぬかと思うくらい。精神的にも肉体的にもぼろぼろだったからどうなってもいいやと身体を虐めた。結果、鬱的気分はどこかにいき今では筋肉を使った後の高揚感がくせになるくらい心地よい。

死にたい気分になったとき・・・一度は筋肉を酷使してみたい(笑)。

カフカ少年は、深い悲しみに支配されたこころをコントロールするために筋肉を徹底的に鍛えあげた。筋肉を鍛えあげれば求めている何かが手に入るのではないかと。

筋肉を酷使し朦朧とする頭で、僕はもう戻ってこないはずの彼女のことを思い続けていた。でも気が付いたら彼女は僕のところへ帰ってきた。あなたをわすれることはできないからといって。

海辺のカフカ (上) 新潮文庫
村上 春樹 (著) 文庫 (2005/02/28) 新潮社
価格: ¥740(税込)



海辺のカフカ (下) 新潮文庫
村上 春樹 (著) 文庫 (2005/02/28) 新潮社
価格: ¥780(税込)


きりぎりす:太宰 治、猟銃:井上 靖、錦繍:宮本 輝、

女性の独白形式あるいは往復書簡形式に惹かれる 。意志を持って 人を 愛する 女性が 好みだからか。表題の3作は、この形式によるいずれ劣らぬ名品。何度読み返したかワカラナイ。ブログをおもしろいと思うのも、深い魅力を湛える女性のココロに触れることができるから。こう考えるとブログは中世から続く独白形式の発展型。底知れぬ可能性を感じる。

世俗に染まって小狡い人間になっていく夫(太宰自身と思われる)の姿に嫌気がさし別れを決意する妻の話。自分の理想・美意識をはっきり自覚している女性が◎だ。「死ぬまで貧乏で、世の中の人みんなに嘲笑せられて、けれども平気で誰にも頭を下げず、好きな画ばかり描いていく芸術家。額の月桂樹の冠は自分以外の誰にも見えない、という矜持。「あなたは、ただのお人です。これからも、ずんずん、うまく、出世をなさるでしょう。くだらない(!)。”私の、こんにち在るは”というお言葉を聞いて、私はスイッチを切りました」。この女性像は好みが別れるところかも知れない。楚々としながら芯の強さを感じさせる女性が駄目になりそうなときつぶやく一言。エクスタシーを感じる(気がする)。
きりぎりす
太宰 治 (著) 文庫 (1974/09) 新潮社

三杉穣介の十三年間にわたる不倫の恋を、妻みどり・恋人(
彩子 )・恋人の娘(薔子)の三通の手紙によって浮彫りにした恋愛心理小説。 表面的には 寂寥をただよわせるナイスミドル三杉穣介と恋人が主人公。が、沢山の男を作り奔放に過ごす妻みどりの夫に対する限りなく深い愛情とそれ故の悲しみが一番(僕の)胸をうつ。不倫の事実を知りながらきづかせないキモチのあり方。誰かを愛するということは誰かを傷つけるということ。これは傷ついた人たちの物語ともいえる。関係ないけれど渡辺純一本の極北にある小説(笑)。
猟銃・闘牛 新潮文庫
価格: ¥420 (税込)

「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした」運命的な事件により愛しながらも離婚した二人が、紅葉に染まる蔵王で十年の歳月を隔て再会。女は男に宛てて一通の手紙を書き綴る。往復書簡が孤独を生きてきた男女の過去を埋め織りなす。どろどろの出来事なのにそれを感じさせない。登場人物がそれぞれの人生をぎりぎりの思いで生きているから。必読!


錦繍 新潮文庫
宮本 輝 (著) 文庫 (1985/05) 新潮社
格: ¥460(税込)

 



 

恋:小池真理子

1972年冬。全国を震撼させた浅間山荘事件の蔭で一人の女が引き起こした発砲事件。矢野布美子は、大学助教授・片瀬信太郎、妻雛子と倒錯した関係に陥っている。一人の青年の出現で生じた軋みが端緒となり、三人の微妙な均衡に悲劇が訪れる…。無垢な女子大生であった矢野布美子が、自身の持つ“官能的”な資質に目覚めそのことから逃れられないと自覚していく過程が、実に“官能的”だ。恋という使い古された言葉をあえてタイトルにした小池真理子の自信とアイロニーを感じる。タイトルに惑わされてはいけない。

小池真理子の描く女性( 欲望水の翼 冬の伽藍 )は、僕がどうしようもなく心を惹かれた女性の面影を思い出させた。Sと軽井沢に行くことを決めたのもそれと無縁ではない。静かに生活をしてるだけなのに、どこか官能的でとても忘れられなくなる・・・

小池真理子としょこたんの関係
絵空事


恋 新潮文庫
小池 真理子 (著) 文庫 (2002/12) 新潮社
☆(大傑作です、小池さんあまり量産しないで欲しいです・・・)
価格: ¥740(税込)

 


iTMS vs レンタルCDショップ:新興勢力 vs 既存勢力

iTMSにはまってからほとんどいかなかったレンタルレコード(Tsutaya)にいくようになった。最近のTsutayaはCDが全て試聴OK。やはりiTMSに対抗してのことだろう。アナログなレンタル産業が衰えていく流れは止まらないだろう。十分な利益がだせず、当然新曲を中心とした品揃えができなっていく。かつてレコードや有線放送を聴かせるためにたくさんあった喫茶店やJazz喫茶が衰えていったように。

外圧や新興の勢力は既存勢力をこんな風に浸食あるいは駆逐してきたであろうし、これからもそうだ。郵政事業も同じ。手紙やはがきはあったほうがいい。でもノスタルジックな理由が多分にあって、携帯電話やデジタル通信がいきわたれば、将来的に浸食されていくだろう。大体やらなければいけないもの(手紙、はがきによる挨拶)はすたれ、オススメできないもの(メイルやPCでのコミュニケーション)が残るは歴史の必然だから。

でもよく考えると衰えるのは、いつもソフトではなくハードだけ。音楽(曲や詞のコンポジション、パフォーマンス)やコミュニケーション(電話、手紙やメイル)といったソフトは、すでに100年以上も前に完成していたように思えるし、今でもほんのすこしずつしか進歩していない。

因みにCD30枚程度試聴してレンタルは6枚(5枚で1000円+350円、7泊)
スガシカオsmile、ケツメイシケツノポリス4、Paris Match Type III 、キリンジSINGLES BEST~Archives~ [初回盤]、Steely Dan Aja、EGO-WRAPPIN’満ち汐のロマンス

それに、クリンゴンがTsutayaになかったので、Cosmos、BobsleighをiTMSで購入。会わせて3000円なり。はまりました。

クリンゴン:珈琲

iTMSの一番気に入っているところは全曲30秒試聴できるところ!
ものごころついた頃から、あらゆるジャンルの曲をサーフしたいと思っていた。埋もれたまま生涯一度も出合わずない曲があるなんて悲しい・・・

最近サーフをしていて見つけたお気に入りがクリンゴンの珈琲。他にOrenge、15分もダウンロード。風変わりだけれど憂愁を帯びた歌詞と曲調にノックダウンされた。

少し乗り遅れていると思うけれどThe Cardigans Emmerdale。90年代からはやっていたスウェーデンのポップスグループなんですね。lovefoolという曲をSから借りたLove RIngというコンピレーション版で知っていて。iTMSでやっと元盤をみつけました。60年代風のレトロな曲調がいいです。lovefoolを納めたLove ringを聴くとSと過ごした掛け替えのない日々を思い出し切なくなり。



Cosmos
Clingon CD (2000/10/25) 東芝EMI
価格: ¥2,905(税込)

試聴
http://www.ongen.net/search_detail_track/track_id/tr0000005974/