ゴキゴキ殲滅作戦!

念のために言っておくが、私はゴキブリではない。
さらに念のために言っておきますが、このブログはコックローチやゴキブリホイホイとは何の関係もありません。
本と映画と渋谷とフランスについての日記です。


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フランス人の友人が経営する「レコール・ド・フランセ」のブログのために、記事を書き出してから4ヶ月(http://lecoledefrancais.net/)。当初は「週に3本」と言われていたのですが、私が原稿を送っても先方がアップするのが追いつかないようで、ここのところ「週に1~2本」で落ち着いてきたようです。

 

私はこれまでに活字にした論文・翻訳・評論・エッセイ等は29本ありますが、掲載先はほとんどが大学・学会関係の雑誌で、「連載」のようなものはした経験がありません。「フランス」という限られたテーマで、定期的に書くのは、実際にやってみるとかなり大変です。

 

まずネタを考えるのに時間がかかります。たいていは何もすることがないときに考えていますから、「仕事時間」のうちには入らないかもしれませんが、いつの間にか、テーマを思いつくたびに紙にメモをとり、束ねるようになりました。一種の「ネタ帳」ですね。

 

さらにテーマによっては、下調べに時間がかかります。「フランスで一番高い山」や「モン・サン・ミシェル」について書いたときは、2時間以上調べたように思います。

 

それから実際に書き始めて、初稿が出来るまでが、1~2時間程度。それに翌日以降、2~3回手を加えて、先方に送っています。

 

かけている時間は、1本あたり、トータルで3~5時間程度でしょうか。もらっている原稿料を考えると、「西友」や「イオン」でバイトするのと、あまり違わないかもしれません。

 

それでも、調べたり書いたりするのは、性に合っていて、楽しいです。最近は、5年以上前ここにアップした短い記事(https://ameblo.jp/gokigoki/entry-11255469969.html)に大幅に加筆して、「プルースト流女の子の口説き方」について書いています。『失われたときを求めて』の該当する箇所と関連箇所を読み返してみましたが、第二篇『花咲く乙女たちのかげに』で、話者がアルベルチーヌにこっぴどく振られていたことは、昔読み見ましたが完全に忘れていて、ちょっと驚きました。

 

「レコール・ド・フランセ」のブログは、先方が「もういい」と言うまで続けるつもりです。皆さま、出来れば、おつき合いくださいませ。よろしくお願いいたします。

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ここのところ、フランス語学校「レコール・ド・フランセ」のブログで忙しく(http://lecoledefrancais.net/)、こちらは久しぶりの投稿になってしまいました。中村文則さんの『教団X』(集英社文庫)を読了。

 

内容を簡単に紹介すれば、

 

太平洋戦争フィリピン戦線の元敗残兵である老人・松尾が提唱する、「宗教」であるともないとも言えそうな、奇妙な思想。それは原始仏教と最先端の量子論・宇宙論を融合させ、人間存在の無意味さを前提しつつも、最終的に人生を肯定する思想である。そして彼の周囲に集まる、「団体」であるともないとも言えそうな、多彩な人々。

 

他方、松尾がかつて所属した宗教団体の同僚で、元医師の沢渡(さわたり)。彼は松尾と同様の事実認識から出発するが、犯罪、暴力、さらには殺人をも意に介さない、絶対的虚無主義者である。そして彼が主催し、「性の解放」を謳う、謎のカルト集団・「教団X」。

 

両者の狭間で揺れる、四人の若者たちの運命・・・

 

といったところでしょうか。

 

それなりに楽しみながら読めましたが、今までに読んだ著者の作品の中では、最低の出来だと思います。文学の専門家で、この作品を高く評価する人はいないでしょう。

 

まあ、ストーリー展開は起伏があって面白いし、第二部の「高原の手記」など、読ませる箇所もありますけどね。

 

他人に勧める気にはなれません。著者のファンの方は、どうぞ。

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トマス・ハリス『羊たちの沈黙』を読了しました。

 

1988年のブラム・ストーカー賞受賞作品。91年の映画ヴァージョンが、ジョディ・フォスター、アンソニー・ホプキンス主演で、アカデミー賞主要5部門を受賞していますので、そちらの方でご存知の方も多いのではないでしょうか。

(註・ブラム・ストーカー賞は、アメリカのベスト・ホラー小説賞で、以前紹介したジョイス・キャロル・オーツの『生ける屍』も、この賞を受賞しています。)

 

若く太った女性ばかりを誘拐して殺し、皮を剥いで死体を川に遺棄する、謎の殺人鬼バファロー・ビル。

 

FBIの女性訓練生クラリス・スターリングは、ひょんなことから、かつて9人の患者を殺害して収監中の元精神科医ハンニバル・レクター博士の知己を得る。少女時代の個人的な記憶を話すことと引き替えに、レクターからバファロー・ビルについての示唆を受けたクラリスは、単身、捜査に乗り出すが・・・

 

設定は独創的だし、ストーリー展開もスリリングで面白い。ですが、何よりも素晴らしいのは、登場人物たちの造形と描写です。

 

クラリス、上司のクロフォード、レクター博士、バッファロー・ビル・・・といった多彩な人物たちが、丁寧に生き生きと描かれます。冷酷無比なレクター博士が、他の収監者から酷い性的侮辱を受けたクラリスに同情(?)し、看守のバーニーには感謝する。同じくサイコパスのバッファロー・ビルは、愛犬をかわいがる。そういった人格の「矛盾」に、かえって奇妙なリアリティを感じます。

 

意味不明の文が頻出する翻訳(菊池光訳)の劣悪さには辟易しましたが、調べてみると、5年前に高見浩の手になる新訳が出ていました。

 

評価はAA=お薦めです。新訳でどうぞ。

 

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カレン・ラッセルの『レモン畑の吸血鬼』(河出書房新社)。去年の春、新聞の書評で知って、それ以来アマゾンの「カート」に入れてあったのですが、結局、図書館で借りてきて読みました。

 

著者のカッセルはアメリカの若手有望作家で、本書は8編から成る短編集です。

 

表題作「レモン畑の吸血鬼」。人間の生き血の代わりにレモンを囓ることで永遠の命を得ている、吸血鬼夫婦の話。夫の吸血鬼が、妻から別居を言い渡されて・・・

 

「お国のための糸繰り」。舞台は明治時代の日本。特殊な薬を飲まされて巨大な蚕(かいこ)に変身し、一生、糸を吐き出すしかない運命を強いられた少女たち。ところがある日、一人の少女がストライキを断行し・・・

 

「任期終わりの厩(うまや)」。歴代の合衆国大統領10人以上が馬として転生している、時代も場所も不明のある農場。そこを囲う柵は低くて古いが、どういう訳か飛び越えることができなくて・・・

 

以上の三編だけ読んで、中断。ネットで収集した情報によれば、所収作の中では「帰還兵」が評判がいいようですが、読もうという気分になれません。

 

総じて、設定は奇抜で面白いが、もっと根源的な部分で「驚き」を感じない。このレベルの作家なら、日本の小説を読んだ方がずっといい。

 

ということで、今回は「私の評価」はナシ。取りあえず「読んだ」という報告でした。

 

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フィリップ・ロスの『素晴らしいアメリカ野球』(新潮文庫)を読了しました。

 

図書館で最初に借りたのが5月の末。作品そのものが長大な(650頁近くで改行はほとんどない)上、何度も書いたように私自身も多忙だったため、読み切るのにひどく時間がかかってしまいました。

 

さて・・・

 

かつてアメリカ・メジャーリーグに存在したという、第三のリーグ「愛国リーグ」。時代は第二次世界大戦の真っ最中。

 

最下位球団「マンディーズ」は、50歳超の投手と内野手、片足の捕手や片腕の外野手、アル中の中年や14歳の泣き虫少年などを抱える「お荷物球団」である。戦争遂行を口実にホームグラウンを剥奪されて、永遠の放浪を余儀なくされている。今年も圧倒的な弱さで、次々と新記録を樹立しているが、ひょんなことから共産主義の「陰謀」に巻き込まれて・・・

 

英語の原題を直訳すれば『偉大なるアメリカ小説』。翻訳当時(1976年)、「それでは何のことかわからない」ということで、上記のタイトルとなったそうです。

 

巻末の村上春樹さんと柴田元幸さんの対談によれば、アメリカには「アメリカンドリーム」の文学ヴァージョンとして、「偉大なるアメリカ小説」という確固とした観念、アメリカの文壇だけが持つ独特の理想があって、ヘミングウェイなど多くの偉大な作家がそれを追求してきたとのこと。そして、ロスのこの小説は、そうした観念を笑い飛ばそうとする意図で書かれたらしい。

 

一言で言えば、「壮大なドタバタ喜劇」。「偉大さ」を追い求めるアメリカ人の心性を笑い飛ばし、マイノリティを差別するアメリカ社会を皮肉り、共産主義に過剰反応する「赤狩り」を誇張して、パロディにしてしまう。

 

「こんな小説もあるんだなぁ」という印象です。

 

アメリカ文学史上非常に重要な作品だというのはわかるし、面白いといえば面白い。米文学を専攻する人にとっては「必読書」なんだろうけど、日本の一般読者にとっては、どうなんでしょうね?

 

今回は評価は控えておきましょう。文学の勉強にはなりました。

 

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今回紹介したいのは、熊谷奈緒子さんの『慰安婦問題』(ちくま新書)。5月の後半には読了していたのですが、他でも書いたように仕事が忙しく、なかなか記事にする時間がありませんでした。

 

さて、著者は一般には無名だと思いますが(私は知りませんでした)、ニューヨーク市立大学で政治学博士号を取得した、中堅どころの研究者のようです。

 

アジア太平洋戦争中の従軍慰安婦の問題を、諸外国の軍管理売春の状況、日本とドイツの戦後補償、戦時性暴力と女性の人権、「アジア女性基金」の失敗、父権主義とナショナリズムなど、多様な観点から読み解いていきます。

 

慰安婦問は、1990年代の半ば、ボス二ア=ヘルツェゴヴィナでのイスラム教徒女性への集団レイプなど、戦時性暴力の問題が国際的に注目を集める中、その先駆的な一例として浮上してきたこと、韓国はその歴史を通じて周囲の大国に翻弄されてきたため、自国のアイデンティティを確立することができず、大国を批判することによってアイデンティティを形成していこうという姿勢が見られること、韓国のリベラル派は、慰安婦問題の根源に日本による植民地支配を見ており、元慰安婦の老女達を自国の被支配の歴史そのものの象徴のようにみなしていること・・・等々、目から鱗が落ちるような指摘も多い。

 

歴史的事実についての実証的な情報に関しても、私が知らなかったことが多く、大変勉強になりました。

 

この問題に興味をお持ちの方にとっては、「必読書」と言えるでしょう。

 

お薦めですね。

 

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ジョイス・キャロル・オーツの『生ける屍』(扶桑社ミステリー、原題はZombie [ゾンビ] )を読了しました。

 

過去に投稿した三つの書評(『とうもろこしの乙女』、『邪眼』、『二つ、三ついいわすれたこと』)でも紹介したように、著者はノーベル賞候補とされるアメリカの文豪。数々の重要な文学賞を受賞していますが、この作品もブラム・ストーカー賞(アメリカ・ホラー作家協会が選ぶ、その年の最優秀ホラー小説賞)を授与されています。

 

さて、主人公=話者は、31歳の男性同性愛者。著名な物理学者を父に持ち、本人も知能指数は悪くはないが、大学を中退、その後は定職に就くことなく、現在は祖父母が所有するアパートで管理人として働いている。黒人少年に対する性犯罪が露見し、保護観察中の身だ。

 

彼には隠された悲願がある。若い男性を誘拐し、ロボトミー手術を施して、ゾンビ=彼の忠実な僕(しもべ)にしてしまい、それとのセックスに耽溺することである。話者はこの計画をすでに三人の男性に試みたが、すべて手術に失敗し、殺してしまっている。そして4人目の男性を物色していたある日、彼は祖母の家に芝刈りに行き、隣家のプールで泳ぐ美少年の姿態に感嘆するのだった・・・

 

「こんな小説もあるんだなぁ・・・」という印象。要するに、サイコパス(=反社会性パーソナリティー障害)の殺人鬼の内面を描いているわけですが、当然のことながら、私は主人公に感情移入することが全くできません。

 

阿部和重さんの芥川賞受賞作『グランド・フィナーレ』が、ロリコンの中年男(幼い娘を裸にして、写真を撮ったりしている)の心理を描写して、やはり私は主人公に全く共感できませんでしたが、そのときと類似した感覚を持ちました。

 

アメリカでは、トルーマン・カポーティの『冷血』やトマス・ハリスの『羊たちの沈黙』(共に私は未読なのですが)など、サイコパスの内面に迫る(でしょ?)作品がベストセラーになっていますから、本作もそれらの系譜に連なる小説なのかもしれません。そう言えば、『羊たち・・・』も、ブラム・ストーカー賞の受賞作でした。

 

まぁ、「文学」を「言語化されていない(あるいは十分には言語化されていない)事象を言語化しようとする試み」と定義し、作品の価値を「そこに現象する言語外的なものの強度」によって測定するのなら、この作品は優れて文学的なものと言うことができるのかもしれません。

 

私としては、判断に迷うところです。今回は評価は控えておきましょう。

 

少なくても、読んでいて退屈はしませんでした。サイコパスに興味のある方は、どうぞ。

 

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エマニュエル・トッドの『問題は英国ではない、EUなのだ/21世紀の新・国家論』(文春新書、2016年)を読了。

 

著者は国際的に有名な、フランスの歴史人口学者。本の帯は「現代最高の知識人」と紹介しています。

 

英国のEU離脱(第1章、第2章)、トッド自身の方法論とそれに基づく世界の現状分析・未来予想(第3章)、人口学的観点から予測する2030年の世界と中国の未来(第4章、第5章)、パリ同時多発テロとイスラム恐怖症(第6章、第7章)など、最新の時事問題についての著者のインタビューと講演を収録。

 

ドイツによるヨーロッパ大陸の「経済的掌握=支配」を指弾し、ブレグジット(=イギリスのEU離脱)の第一の動機は、押し寄せる移民ではなく、イギリス議会のドイツからの主権回復だと断言する。

 

さらに、ブレグジットを主導したボリス・ジョンソン前ロンドン市長を「民衆の側についた」と賞賛し、フランスの左翼を「インターナショナリズムと普遍主義の素朴すぎる、抽象的で時代遅れのヴィジョンによって機能不全に陥っている」と批判。

 

また、ドイツの開放的な移民政策の理由を、日本と同様の少子高齢化(合計特殊出生率は日本より低い)に求め、ドイツは経済成長を維持するために、若い熟練労働者を必要としている点を指摘する。

 

そして、現実に機能するには国民国家を枠組みとする他ない民主主義は、移民現象をコントロールする権利を、その前提として含んでいるとし、「リーズナブルな」移民の受け入れを主張する。

 

今まで考えてもみなかったこと、しかし言われてみれば「なるほど」と思うような指摘が多く、とても勉強になりました。

 

EU、および世界の未来に関心のある人にとっては、必読書の一つかもしれません。

 

前回に続き、今回も評価は、AAA=絶対にお薦めです!

 

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渡辺靖さんの『アメリカのジレンマ/実験国家はどこにゆくのか』(NHK出版新書、2015年)を読了しました。

 

著者は慶応大学教授で、高名なアメリカ研究者。サントリー学芸賞の受賞者でもある(for 『アフター・アメリカ』)。

 

さて、本書は、まずアメリカの政治家や外交当局者たちから見た戦後の日本像を多面的に記述し(第1章)、アメリカ政治における保守とリベラルの相克を歴史を辿って概観(第2章)、そして近年のアメリカ社会の変質を分析する(第3章)。

 

次いで、オバマ政権の外交政策の問題点を指摘し(第4章)、アメリカの自画像と現代世界に蔓延する反米主義を解析する(第5章)。

 

面白かったです。特に前半の3章は、眼から鱗が落ちる思いがしました。例えば

 

・・・移民国家であるアメリカでは、多種多様な移民が、いろいろなところにさまざまな像を建てて、さまざまなイベントを開催している。そんな中で、韓国系の移民が従軍慰安婦少女像などを建てたところで、一般のアメリカ人が特別な関心を寄せることはまずない(←言われてみれば、そうでしょうね)。そもそも過半数のアメリカ人は、従軍慰安婦をめぐる問題の存在そのものを知らない。日本政府が像の撤去を求めたりするのは、かえって問題を大げさにするだけだ(実際に、メディアで取り上げられてしまいました)。

 

・・・アメリカでは州政府に絶大な権限が与えられ、中央政府の権力は相対的に弱くなっている。各州が独自の憲法(←これは知らなかった)や軍隊(←「州兵」というのは聞いたことがあるが)を持ち、銃の保有から、同性婚、死刑、教育、税に至るまで、州がルールを決めている。アメリカでは、陸軍士官学校等を除いて、「国立」の学校は存在しない。

 

・・・アメリカでは保守主義もリベラリズムも、啓蒙主義を源流とするヨーロッパ的な自由主義を前提としており、イデオロギー間の差異はもともと小さい。保守主義は自由主義の右派に過ぎず、リベラリズムは自由主義の左派に過ぎない。そこには、いわば、「コーク」と「ペプシ」程度の違いしかない。

 

私の評価はAAA=この分野では必読書の一つでしょう。

 

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ジョイス・キャロル・オーツの『二つ、三ついいわすれたこと』(岩波書店)を読了。

 

オーツは、以前紹介した『とうもろこしの乙女』と『邪眼』の著者。本国アメリカでは「ノーベル賞候補」ともされ、最近、私が最も注目している作家の一人です。

 

三茶の図書館カウンターで予約して借りたのですが、手に取ってみると、岩波の「10代からの海外文学/STAMP BOOKS」叢書の一冊で、訳者解説にも「ヤングアダルト向け」などと書いてある。「読まずに返却しようか」とも思いましたが、実際に読んでみると、大人でも十分に楽しめる内容でした。

 

さて、有名女優の一人娘で、自らも天才子役という華々しい過去を持つ反抗的な少女・ティンクが、自殺を仄めかされる謎の死を遂げて、半年。友人だったメリッサとナディアは、悲しみと喪失感を引きずりながら生きている・・・

 

第一部は、メリッサの物語。彼女は、アイビーリーグの名門・ブラウン大学(日本では無名ですが、超一流の大学)の早期合格通知を手にしたほどの秀才で、容姿にも恵まれ、スポーツも苦手ではない。亡くなったティンクから、冗談交じりに「ミス・パーフェクト」と呼ばれていた高校三年生だ。しかし、やはり名門大学出身の父からの期待は強く、重圧に押しつぶされそうになっている。両親の別居にも深く傷ついて、いつしか自傷行為に走るようになって・・・

 

第三部は、ナディアの物語。彼女は、大企業の重役を父に持つ、顔は割とかわいいが、ちょっと太めの女の子。デートに誘われた男の子と、酒に酔った勢いでセックスをしてしまい、男子たちからは「尻軽」と罵られている。理科を教える若い教師に優しくされてのぼせ上がり、父が所蔵する高価な絵画と継母のバッグを盗み出して、彼の誕生日にプレゼントするのだが・・・

 

そして間にある第二部が、一般人称の「私たち」(=クラスの女の子たち)の視点で語られる、ティンクの物語だ。彼女は、小生意気で反抗的でありながら、ときどき怯えたような表情を見せ、自傷行為もしているらしい、小柄で痩せた女の子。母親との関係は、最悪。こうしたティンクは、物語の「現在」ではすでに亡くなっていることもあって、10代後半の若者なら誰でも持っているある側面の、「象徴」のようなものなのでしょう。

 

最後まで読むと、やはり「ヤングアダルト向け」ですね。同じ著者の他の作品にあるような、人間の心の奥底の「闇」や強烈な「悪意」は、描かれない。何よりも、「希望」がある。

 

読後感は悪くないです。オーツの「入門」としては、いいかもしれません。

 

今回は評価するのは止めておきましょう。オーツ、現代アメリカ文学一般、あるいはヤングアダルト向け小説に興味のある方はどうぞ。

 

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