Blog情動特急

大阪で活動するグラフィックデザイナー、小劇場系演劇人。知る人ぞ知る脚本書き。時に絵を描いたりもする器用貧乏なマルチアーティスト。そして20数年来のファイターズファンでもある男。「ごっき」こと後藤雄一のオフィシャルブログです。


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さて、以前に項劉の記事を書いてから、毎週1~2巻のペースでレンタルして見ております「劉邦と項羽(原題:漢劉邦、ややこしいので以下原題で記す)」。全7巻、計35話のうち、もう5巻まで来ました。5巻の副題は………
「覇王別姫」!
ああ、もうそんな所まで来てしまったのか~。これから四面楚歌、覇王別姫という有名なシーンに突入していくわけやね。
さてさて、この「漢劉邦」、ここまで見た感想としては……。

項羽や韓信の大活躍を見ようとすると、肩すかしを喰う(笑)
なんせ、戦闘シーンが少ない。しかも力入ってない。エキストラの人数も、殺陣の出来も(笑)。項羽の鬼神っぷりも韓信の天才的な用兵の冴えも、戦闘シーンが無いんじゃ見ようが無いのだ。しょぼーん。

しかーし、よく考えてみよう。
このドラマ、あくまで原題は「漢劉邦」だ。
迫力のある戦場シーンを散りばめた軍記ものではなく、漢という国を作った劉邦という人物を中心とした歴史ドラマ。そういう風に見なければならないのかも知れない。

さて、そういう視点で見ると、これがなかなか面白い。
日本の戦国物とかもそうだけど、歴史書に書かれたことは大きく改変するわけにはいかない。作り手の勝負所としては、歴史書に書かれた人物や事件を「どう解釈するか」にかかっている。
 一般的に項劉ものは、戦には強いが残虐で人望のない項羽と、戦には弱いが人を惹き付ける魅力があり民衆の支持を得る劉邦、という形で書かれることが多い。しかし、劉邦という人物は複雑で実は描くのが難しい。何故なら天下を取った後、劉邦は功臣の粛清や反乱の鎮圧に明け暮れる。女性関係は無茶苦茶で、女たちの間で血で血を洗う跡目争いが繰り広げられる。三国志の劉備玄徳みたいに、聖人君子のまま死ぬわけにはいかないのだ。
 横山光輝などでは項羽の死に様を見て、あるいは権力を得て疑心暗鬼に落ち入る、つまり時の流れとともに人物がそういう風に変化するように描かれる。しかしこの「漢劉邦」の劉邦は違う。はっきり言って最初っから、功臣の粛清なんて平気でやってしまいそうな黒い面を合わせ持った人物として描かれている。建前で善人を演じ、張良の主君を項羽が殺したと聞いたときにはこれで張良が手に入るとほくそ笑む腹黒さ。要するにこのドラマの劉邦は、権力闘争のできる政治家の資質を持った人物なのだ。
 意味不明の「カリスマ性」みたいな言葉で劉邦を片付けなかった、これがこのドラマをぐっと面白くしている。
 項羽はどうか?乱暴で高慢で直情的、そのベースラインは変わらないが、このドラマを見ていると、はっきりと気付かされることが一つある。
 「ああ、項羽は劉邦より若いんだ。」
 若すぎて自分のイメージ戦略などに気が回らない。家臣の気持ちを上手く操作できない。家臣に疑念を抱いた時も上手く搦め手を使って立ち回ったりできないのだ。
 項羽と劉邦の年齢差は24歳。それを考えると実際に彼らの勝負を決めたのは言われているような「人物の出来」ではなく人生的な経験値の差だったのかも知れないな。そう考えるとまたそれも面白い。

このドラマを見て今までの中での最大のヒットは項羽の亜父、范増だ。
范増老人は当代随一の策略家。もちろん武将ではなく参謀なので矛を持って戦ったりはしないが、それでもやはり中国全土を従軍するわけですから、それに耐えうるような壮健な老人として書かれることが多い。本宮ひろ志の范増なんかは、ジジイのくせしてガチムチだ!
この「漢劉邦」の范増は…………。

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ヨ、ヨボヨボだぁ~~(涙)

あかんて。あかんて項羽。こんなヨボヨボのおじいちゃん従軍させたら、戦闘が起こらずとも普通にポックリ逝ってしまうて!
しかし、このジジイ、もとい范増亜父おじいちゃんがとっても表情豊かな役者さんで大変良い味を出しているのだ。項羽の事をね、出来は悪くとも本当に息子のように思ってるのね。最期なんかねえ、もう、ほんとうに可哀想で、思わず泣きそうになっちゃったよ。

と、そんな風に戦闘しょぼくても面白い「漢劉邦」!
第21話が見終わりあと14話!どんな結末を迎えるのか今から楽しみです。

追記
噂によると「漢劉邦」より後に制作された「大漢風」というドラマの戦闘シーンは相当すごそうだ。項羽もイケメンだ。見たいけどな~。全50話。35話の後に50話ってちょっと勇気が要るわ。

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