国よ、アホを守れ

テーマ:
 イラクで拉致された香田証生さんの、拉致されるまでの足取りがわかってきた。
 結論から言うと、香田さんという人、アホである。

 彼は、アンマンのホテルからバスでイラク入りしたらしい。入国ビザはないけれど、バスなら審査が甘いから入れるんじゃないか、と言っていたそうだ。ホテルの人は、イラクなんて危ないからよしなさいと、ずいぶん止めたという。
 だが、彼はイラクに向かった。Tシャツ姿で。中東でTシャツ姿は、えらく人目をひくのである。まるで、私は外国人だから拉致してくださいと言ってるようなものじゃないか。

 いったい何のために、彼はそんな危険な行動をとったのだろう?
 彼はボランティアじゃないし、ジャーナリストでもない。いち旅行者に過ぎないのだ。イラクに行く理由がないじゃないか。
 聞くところによれば、彼は「自分探し」と称して(私はこの言葉が大嫌いだ)海外を旅していたらしいから、さしずめイラクも「自分探し」の一環なのかもしれない。

 まあ、気持ちはわからないでもないよ。みんなが怖くて入れないと言ってる国の、すぐ近くまで来ているんだもの。冒険心はかきたてられるだろう。怖いもの見たさってやつだ。危険なところだからこそワクワクするし、無事帰ってきたなら、俺は戦場を見てきたとでかい顔もできるだろう。

 アホである。塗るクスリが無え。

 政府関係者も「理解に苦しむ」とコメントしてるらしいが、ホントは「アホである」と言いたいのだと思う。

 こんなアホに振り回されて、自衛隊撤退要求を突きつけられた政府には、心底同情しますよ。実際、現地に行ってる政府のやつらは、絶対悪口言ってると思うね。
「アホがしょうもねえことしやがるから、俺たちが出てかなきゃなんねえじゃねえか!」くらいのことは、まちがいなく言ってる。口が悪いやつなら、「勝手に殺されればいいじゃねえか、アホひとりいなくなれば世の中のためにもいいってもんだ」ぐらいは言うかもしれない。

 悪口ぐらい言ってもいいと思うよ。事実、俺も言ってるし。
 でも、国は人質救出のために、全力を尽くさなければならない。自衛隊撤退も、考えるべきだと思う。
 たかがアホひとりの命のために、国が政治指針を変えて、自衛隊を撤退させてもいいのか。テロに屈してもいいのか。そういう意見は当然、あるだろう。

 だが、よく考えてみてくれよ。国家ってのは、国民の生活を守るためにあるんだぜ?
 国が軍隊や警察などの暴力を持ち、国民から税金を搾り取ることができるのは、国民との契約があるためなんだ。国民の生活を守っているからこそ、国は権力を持つことを許されている。
 これを、社会契約説という。近代国家は、基本的にこの仕組みで成り立っている。ついでに言えば、国民は、国がこの契約を守らなかった場合、暴力によって国家を転覆する権利も持っているとされている(革命権)。

 たとえアホであろうとも、国は国民の生命を守るために、全力を尽くさねばならない。

 そもそも、私はあそこに自衛隊がいること自体が、憲法違反だと思っている。
 憲法とは国と国民との間に取り交わされた契約書そのものだ。だから、憲法違反とは、そのまま契約不履行を意味する。
 どうしても自衛隊出したきゃ、憲法変えてから出せ、というのが私の意見である。現行憲法のもとでは、自衛隊はあんなところにいてはいけないのだ。

 国よ、全力でアホを守りなさい。それがキミの仕事なのだ。場合によっては、自衛隊を撤退させなさい。それでアホの命が助かるのなら、キミは立派な仕事をしたと言えるのだ。国としてのつとめを、果たしたと言えるのだ。
AD