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「嘘のような日常」後藤明生

2010年02月06日 Theme: 古本

古本日日ひまわり-嘘のような日常
 「嘘のような日常」後藤明生
 平凡社、1979年初版
 定価920円




終戦により中国から帰国した母子。

数十年を経て自らの家族を持った著者は、異国で死んだ父の三十三回忌を迎えます。そして、兄弟らと法事の準備を進めながら、夫と財産を敗戦に奪われながら子を育てあげた母の想いを考えはじめます。


そんな思いは知らずに過ごす妻子との生活の中、ふと現れる幼い頃の記憶。瞬間、わずかな違和感を残しながらも、淡々と過ごしていく日常。リアルでありながら、幻想的な空気が漂う連作小説です。

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「ねじめのバカ」ねじめ正一

2010年02月05日 Theme: 古本

古本日日ひまわり-ねじめのバカ
 「ねじめのバカ」ねじめ正一
 パロル舎、1989年2刷
 定価1450円




詩人・ねじめ正一さん、エッセイ集第2作。

中央線沿いの喫茶店トイレ事情やテレクラ体験談、大好きな巨人軍の話、旅の話まで、ホント気ままに語った内容。さすが詩人で言葉のリズムがよくテンポよく読ませてしまいます。そして、ところどころに見え隠れする慧眼。本書では特に青春について多くを語っています。


「同じ短小でも、短小だって悩んでるヤツよか短小を棚に上げて政治とか文学なんて言ってるヤツの方がモテる。小さいことと大きいことがあると、大きいことへ託していったほうがモテるという、これが青春のいちばんダメな部分です」(「とんねるずのイタブリ」より)


「今の十代がこれまでの十代とちがうのはここのところ、つまり自分たちがつまらないということをちゃんとわかっていることだ。つまらないことに悩んでしまういじましさと、その悩みがつまらないことだとわかるおおらかさの両方のバランスがとれていることだ。彼らのバランス感覚はけっして老成ではなく、むしろ、青春という危なっかしい時代をナルシズムなしで渡ろうとするかしこさなのである」(「詩の中から青春を探せ!」より)


北島敬三による表紙写真も格好いいです。

「冷えた炎の如く」戸川昌子

2010年02月04日 Theme: 古本

古本日日ひまわり-冷えた炎のごとく
 「冷えた炎の如く」戸川昌子
 ペップ出版、1975年初版
 定価750円




副題「日本妖婦伝」。妖婦たちの異聞を収録しています。


例えば吉原の遊女・高尾大夫。伊達公のもとにひかされ、その屋敷に向かう屋台船で斬られる「隅田川の吊るし斬り」で知られています。

でも本書に収録されているのは、伊達藩の秘役(公には秘密の役職)である「探湯役」の二人が関わり、実は高尾は斬られていなかったというアナザーストーリー。


他には、蟹のお角、高橋お伝、阿部定といずれも悪女として知られる女達の異聞も紹介。


「賢婦と妖婦は紙一重かも知れない」という著者の思いをもとに、妖婦たちの心の揺らぎが丹念に描かれています。


共通するのは、性の深みへ堕ちてしまった哀しさ。

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