【歌謡日“四”】

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【歌謡日“四”】





決闘。



秋が冬へと衣替えをするころボクは公園で決闘を見た。それはナカムラ君とオオクマ君のギタープレイ対決だ。黒のブーツカットに革製のダブルのライダースを着たワイルドな風貌をしたナカムラ君に対峙するように立つオオクマ君は嫌味のない“さらり”としたオシャレ感を醸し出した服装だった。先に動いたのはオオクマ君だった。腰にぶら下げた小型アンプから歪んだ音で流れ出したのはボクが好きなバンドの曲のオープニングだった。ボクは単純に“凄い!”と思った。ボクの目の前には“見たことのないオオクマ君”が立っていた。そして次から次へとボクの知っている曲を弾いている。ボクにはオオクマ君が“ミュージシャン”に見えた。憧れていた“ミュージシャン”の肩書きをオオクマ君は持っていた。オオクマ君のギタープレイが終了した。ボクはオオクマ君のギタープレイに圧倒された。しかし、それはボクだけではなかった。ナカムラ君だ。様子のおかしいナカムラ君はボクに急かされながらギターを取り出したが、ストラップがないために片足立ちでギターを構えた。片足立ちするナカムラ君を横から見ると足が数字の“4”になっていることに気付いたボクはオオ
クマ君と二人でナカムラ君の“4”を楽しんでいた。ナカムラ君は重心が安定しないようで片足立ちのままフラフラと倒れそうになったり、それをこらえようとして片足でホップ・ステップ・ジャンプしたりと騒がしかった。結局はナカムラ君はギタープレイを披露しなかった。むしろ披露したくなかったのだと思う。なぜならナカムラ君が用意していた曲は“さくら”だったからだ。ギターの決闘はオオクマ君の圧勝で終了した。帰り道、ボクの横には“ミュージシャン”と“ケンシロウのコスプレイヤー”が並んでいた…。



つづく。
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【歌謡日“参”】

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【歌謡日“参”】





再会。



高校2年で同じクラスメイトだったオオクマ君は阪神大震災の頃、銭湯通いの末に自分のチンチンが法外なことに気付いた。そう、マラが巨大だったのだ。女子に解りやすく説明すると、パクッとクチへ含むには躊躇するサイズなのだ。要するにチンチンがでかいということだ。グロテスクでもある。そんなオオクマ君は銭湯荒しを始めた。それはそれは肩まで優越感に浸れる入浴だったそうだ。噂によるとオオクマ君のチンチンは“喋る”らしい。しかも、完璧な勃起をすると『よっしゃぁぁぁ!!』と叫ぶらしい。さらに射精時には精液の代わりに“花火”を発射して『たーまやー』と叫ぶらしい。チンチンのくせに『たーまやー』と叫ぶらしい。うらやましい。オオクマ君のチンチンは法外で非常識なのだ。そんなオオクマ君と高校を卒業してから1年ぶりに再会することとなった。事の発端はナカムラ君だ。ナカムラ君は付き合いたての恋人を連れて地元の小洒落たイタリアンに出向いた。“小洒落たイタリアン”と言っても所詮は田舎にある“小洒落たイタリアン”なので“垢抜けきれてない感”がムンムンと漂っている。きっとナカムラ君は恋人を連れていたのでイキ
りたおした風情で入店したに違いない。料理をオーダーし、店内をぐるりと見回した時、厨房でチンチンがタマキンをふっていた。そんなはずはない。ナカムラ君は冷静になることに努めた。そして、再び厨房を見た。すると巨大なチンチンがフライパンをふっていた。やはり巨大なチンチンがふっていたのは“タマキン”ではなくて“フライパン”だった。ひと安心したナカムラ君は巨大なチンチンに注目した。それは、よく見なくてもオオクマ君だった。恋人を連れていたナカムラ君は調子ぶっこいで仕事中のチンチンに声をかけた。ちょうど昼休憩に入る直前だったチンチンは店長の“嫌がらせ”のような“ご厚意”と“それを断りきれない”ナカムラ君とその恋人と共に自分が働く店のイタリアンを同僚達の前で召し上がることになった。後にチンチンは『あの時はメシの味もわからんぐらい緊張したわ…』と遠い目をしてカウパーをたらしてくれた。



つづく。
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【歌謡日“弍”】

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【歌謡日“弍”】





リーゼント。



宇宙戦艦ヤマトみたいな頭髪をしたメンズやカタカナが書けないメンズが同級生だった高校を卒業したボクは“ミュージシャン”という肩書きに憧れる想いを内に秘めながらバイト先の某百貨店でハム類の管理担当へと出世した。小学校から高校までずっと同じだったナカムラ君も同じ某百貨店の青果コーナーで働いていた。高校入学と同時期にボクとナカムラ君は一緒に某百貨店の面接を受けた。合同面接だった。その時ナカムラ君が差し出した履歴書の写真は逆さまに貼られていた。それを見たボクは“ナカムラ君は忍者やったんや”と気付いたが、面接官の綺麗なお姉さんは吹き出して笑いそうになるのを抑えて腹筋を破壊しながら我慢されていた。美人は偉いし、エロい。当の本人であるナカムラ君はこちらを向いている自分の写真と対面したのが恥ずかしかったようで赤面していた。そんな珍事がよかったのかボクらは採用され、バイト先に“友達”と呼べる“先輩”もでき、毎日を楽しく過ごしていた。ただ、“ミュージシャン”という肩書きへの憧れは日々増すばかりだった…。



つづく。
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