ちょっと前に、イヤホンが断線した。
ipod付属のイヤホンはサイズが合わない。

サークルを引退する時に後輩がプレゼントしてくれた、キャラクターもののイヤホン。
ずっと飾っていたのを、使ってみた。

びっくりした。
ああ、こんなにも、響いてこないのかと。

低音も高音も拾わない。
ハイハットの裏打ちが耳障り。
イライラ、する。

だけどしばらく使い続けた。
気づいた。

世の中の人みんなが、いい環境で音楽を聴いてるわけじゃない。
プレーヤー付属の試供品イヤホンを、なんの不満もなく使う人は大勢いる。
100円ショップのイヤホンを愛用する人だって。

みんながみんな、本来の、制作者が意図した音で、聞くわけじゃない。

JPOPとよばれる、あの的確なマーケティングとプロデュースに基づいた、わたしのきらいな音楽が
「売れる」理由がようやくわかった。

あれは、そんな現状にさえ配慮した音楽なんだ。
低音も高音もないイヤホンでも
ストレスなく「聞ける」音楽なんだ。

キャラクターイヤホンで時雨を聞いた。
みよこのベースが拾えない。
繊細なハイハットが耳に痛い。
TKの声が心地よく響かない。
あの、なによりうつくしいテレキャスターの、鋭くて透明な音が、ただ、うるさいだけ。

これが現状なんだと、今更のように思い知った。

いいものが評価されない現実に、私は憤るけれど
評価するための環境が、いまの音楽シーンには十分に整備されていない。
こだわりは、安物のイヤホン越しでは伝わらない。
だから、売れない。

自分の傲慢さに、くやしさしか感じられない。
なんて視野の狭い人間なのか。

だからもう、結局ライブしかないんだ。
見て、感じて、それだけしかあり得ないんだ。
イヤホンなんかじゃ何も分からない。
CDは、レコード会社があんなんじゃ、売れない。
もう、ライブしか、ない。

伝える手段は、やっぱり、face to faceじゃないと

だめ


そんな夜です。