先月の下旬、私がまる1週間、ブログを更新しなかったことを覚えているだろうか?
そのときの言い訳として、「ライターとしての本業にいそしんでいた」と書いた。
また、「約1万2000文字の原稿量は久々にキツかった」とか、
「10月下旬発売の某誌に某選手のことを書いているのでお楽しみに!」など、
某、某だらけで誤魔化している。
ようやく、その媒体と選手の名前を公表できる。
媒体は、本日(20日)発売の旧『Kamipro』スタッフ制作による
プロレス&格闘技専門誌『Dropkick』Vol.2。
選手は、藤田和之である。
カラ―グラビアで8ページという大きな扱いだが、インタビューものではない。
藤田を何度か取材したうえでの書き原稿。
だから、1週間弱ほどの時間を要したわけだ。
遡ると、『Dropkick』編集者であるH氏からの原稿依頼は、
かなり前からあった。
当ブログに、藤田家の長男である藤田親伯(みはく)クンの写真を掲載した直後だから、
7月下旬のこと。
ただし、藤田親子の登場はあくまでプライベートでの話。
私のブログは、「仕事ではなく遊びである」という定義のもとにスタートしている。
それにプラスして、ブログの開設祝いという意味合いもあって、
遊び心から藤田が写真を提供してくれたのだ。
もちろん、その時点で、藤田が8・27IGF両国大会に出場することになるとは、
私どころか、本人さえも予想だにしていなかったろう。
正直、自分勝手な解釈での読み物なら、書けないことはない。
しかし、そこに藤田自身の発言やコメントを挿入するとなると抵抗がある。
なぜなら、藤田とはちょくちょく電話で話し込んでいたものの、
それはあくまでプライベートであり、友人としての会話。
その言葉を勝手に原稿に入れたりしたら、裏切り行為となってしまう。
かといって、過去に『週刊ゴング』誌上などで発している
藤田のコメントだけを引用した原稿となると、新鮮味がないし、
私の講釈中心、独りよがりの文章となってしまう。
それもあって、「藤田本人のOKがない限り、難しいと思いますね」と
依頼があるたびに、H氏には回答してきた。
それでも、狙った獲物(?)は逃さない、決して諦めないところが、
旧『kamipro』スタッフの真骨頂という気がする。
彼らにはその気概があるからこそ、
次々とプロレス&格闘技雑誌(ムック)が店じまいをしていく中で
今も生き残り、本を出し続けることができるのかもしれない。
周知の通り、事態が急変したのは、1年8ヵ月ぶりに
藤田がリングに電撃復帰したから。
そこで、何度目かの原稿依頼がきた。
藤田にすれば取材を断る理由がなくなるし、
私にしても気乗りしない気持ちを、なんとか前向きに変える必要が出てくる。
ただし、藤田の取材嫌いは衆目の一致するところでもある。
とにかく、これが最後ぐらいの気持ちで、藤田に話を振ってみた。
それが確か、9月初旬だったと思う。
「また原稿依頼をもらったんだけど、断ったほうがいいんでしょ?
でもリングに上がっちゃった以上、断るなら理由をちゃんとしてね」
「なに言ってるんですか、金沢さん!
今度は遊びじゃくて、ちゃんと仕事しましょうよ。
ボクだって久しぶりにリングに上がって仕事をしたんだから(笑)。
なんでも話しますから、協力しますよ!」
意外な回答に驚いた。
それなら、やるしかないだろう。
1年8ヵ月ぶりのリングを味わった藤田はこうも言った。
「リングに帰ってきてスポットライトを浴びた瞬間に、
『ああ、帰ってきたんだなあ』って感慨深いものがあったとか、
そういう答えのほうがカッコいいんだろうけど、
そういうのはまったくなくてね……。
むしろ、試合までが心地よかったんです。
目標があるから、普段の生活にも張りが出る。
食事のときでも、『これは体にいいな』とか。
試合が決まってそういう気持ちになるのは、格闘技でもプロレスでも同じなんですよ」
Ⓒ 大川昇
計3度の電話取材。
時間にすれば、2時間ほどか?
今回、1年8ヵ月ぶりのリング復帰を果たす経緯から物語は始まる。
しかし、メインは10年間の藤田ストーリー。
2000年1月、新日本を退団して『PRIDE』グランプリ参戦を表明。
以来、2009年の大晦日、『Dynamite!!~勇気の力2009~』のリングで最強の刺客、
アリスター・オ―フレイムに75秒で惨敗を喫するまでの、まる10年だ。
格闘技バブルの時代を駆け抜けた10年。
PRIDE、K-1、イノキ・ボンバイエ、LEGEND、ROMANEX、アルティメット・クラッシュ、戦極、
そして、新日本プロレス……。
プロレスラー藤田として、プロレス界、総合格闘技界を股に掛け、
嵐を巻き起こした10年間の軌跡。
その格闘人生を振り返ったときに、
真っ先に藤田の脳裏に浮かんでくるのは、負けた試合ばかりだという。
対戦相手は、ミルコ・クロコップとエメリヤ―エンコ・ヒョ―ドルの2人に尽きるのだ。
プロレス界、格闘技界の未来と運命を一夜にして変えてしまったミルコ戦。
絶対的な自信を持って臨みながら、大流血により39秒でTKO負け。
あの試合はなんだったのか?
自問自答する藤田は、私との会話の中で答えを提示してくれる。
また、原点のミルコ戦を振り返ったときに、
同時に名前が出てきたのはアリスター・オ―フレイム。
あのアリスターとの試合で、自分に欠けていたものは何か?
藤田の思いは、そこにまで及んだ。
さらに、第2代PRIDEヘビー級王者として全盛期にあったヒョードルとの一戦。
藤田の右の拳がヒョ―ドルのテンプルをえぐった瞬間、
世界最強の男は大きくぐらついた。
初めて明かす、あの右フックの真実。
周囲はフロックであるとか、当のヒョ―ドルも「あのとき藤田は目をつぶっていた」など、
ラッキーパンチを示唆したりもした。
だが、あの『PRIDE』史上に残る名勝負(2003年6月8日)から8年、
ついに藤田が重い口を開いた。
「ヒョ―ドルのクセは完全に掴んでいた。来たら打ち合う、1発で倒してやる!」
藤田は、その1発に賭けていた。
ヒョ―ドルの打撃シーンだけをつないで編集したビデオを
それほど擦り切れるほど見て、練習を重ねた。
あの右フックは、必然の一撃であったのだ。
アントニオ猪木に見いだされ、故郷であるアントニオ猪木のもとへ帰ったきた藤田。
10年間の苛烈な旅は、藤田に一つの悟りを開かせたようでもある。
「未熟者に引退は…いや、闘魂に引退はないんです!」
合計文字数=約1万2000文字。
私からすれば、久しぶりの長編にして力作だ。
まるで、昨年書き下ろした『元・新日本プロレス』(宝島社)の続編のような感覚。
また、仮にあの書籍の中に組み込んだとしても、1章分ぐらいの分量と内容が詰まっていると思う。
この原稿には自信がある。
そこに藤田和之の真実がある。
プロレスファン、格闘技ファンを問わず、ぜひ読んでいただきたい。
◎目次、内容紹介
旧『kamipro』スタッフが世に送る
プロレス&格闘技専門誌『Dropkick』再び登場!
前回を上回る超ボリュームのDVD付き定価1280円(税込)で
10月20日(木)発売!!(※地域により発売日が多少異なります)
表紙は……赤いマワシの頑固者! 田村潔司!!
■特集・幻想と真剣勝負
☆沈黙の野獣がついにすべてを語った
藤田和之
「ミルコとの39秒とヒョードルとの出会い。
そのために俺は闘ってきたんだなって」
☆超絶対談!
G1覇者と伝説の雀鬼は師弟関係だった!!
中邑真輔×桜井章一
☆金原弘光デビュー20周年記念対談
ボヤキングとキャンドルアーティストの意外すぎる関係
金原弘光×キャンドル・ジュン
☆鈴川、K-1、新日本から、拉致問題、大晦日まで
ブッタ斬りまくる!
アントニオ猪木 インタビュー
「俺は怒ってる!!」
■UFC日本上陸正式決定!! MMAの黒船上陸で何が変わるか?
☆“ジャイアン”が日本進出の真相を激白!!
ダナ・ホワイト 独占インタビュー
「FUCKなヤツらよ、よく聞け! UFCは日本へ行くんだよ!!
☆“元・ミスターPRIDE”が日本大会出場を熱望!
ヴァンダレイ・シウバ
「俺が復活する姿を日本のファンに観てほしい」
☆ブラックハウスと契約! タレント活動封印!!
金メダリストが退路を断って、完全なMMAファイターに!
石井慧 独占インタビュー
「オクタゴンで暴れるまで日本には帰らない」
☆“世界のTK”高阪剛が加賀屋にやってきた!
浅草キッドの玉ちゃんと語る
UFC創成記変態座談会
☆DREAM初陣で勝利! ファイターの人生を語る
北岡 悟 インタビュー
「UFCに行くためには、一つも負けられない」
☆どうなる大晦日!? “ガチ相撲問題”も激語り!!
笹原圭一 DREAMイベントプロデューサー
「大晦日は総合格闘技だけでやるのは難しい」
■幻想格闘技バラエティを徹底大特集!
☆たかがガチ相撲、されどガチ相撲!
藤井健太郎『クイズ☆タレント名鑑』演出・プロデューサー
「地上波で少しでも格闘家やプロレスラーを扱いたい」
☆あの柳龍拳を“発掘”した男が歴史的一戦を総括!
大槻ケンヂ
「柳先生は日本人で初めてヴァンダレイ・シウバを倒したんです!」
☆桜庭戦以来の“実戦”はガチ相撲!
田村潔司
「真剣勝負と生き残り術」
☆柳龍拳を破った、幻想ぶち壊し屋
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スマートフォン&パソコンで観られる全253ページ!!
その名も『紙のDVD』
外国人スーパースター列伝
☆何度も言うけど、前号を上回る
『kamipro』253ページ分の超ボリューム!
「プロレスラー」「MMA」「リングス」「PRIDE」の
4つのカテゴリーに分けて収録!!
言うちゃ悪いけどアンタ、永久保存版ですよ!(ドンッ)