あとで大学を訪れる機会があったときに'わたしは期待に胸を膨らませて'エジプト学の研究者たちに透視結果を見せた。

だが'通説に真っ向から反する内容だったので噸笑を浴びてしまった
裏づけとなりそうな証拠はいっさいないようだった。
一九八〇年当時透視内容に価値ある情報が含まれているかもしれないと思ってくれる人はひとりもいなかった。
事実確認ができなければ'空想科学小説となんら変わらない。
「面白いね」のl言で済まされ'憤潜やるかたなかったが'無益な余興として片づけるしかなかった。
可能性透視情報をもとにして'どんなことが可能だったのかを考えてみよう。)
たとえ透視情報そのものが実証できなくてもう内容をつぶさに検討することには価値があるというのがわたしの持論だ。
他の手段で情報を確認してみようという動機づけになるだけでも'十分に意味がある。
今回の場合、考古学者へ人類学者へ地質学者へ建築技師が新たな可能性に目を向けるだけでも'同僚よりl歩先んじることができたはずだ。
洞察力のある地質学者であれば'ピラミッドの下層部分を築くための必要水位を手がかりにして'湖のあった地域をしぼりこむことができただろう。
ついで、いかだに石を積みこむために用いられた船着場と傾斜路を割り出すことも可能だ。
こうした周辺情報を確認することで'湖以外の事柄に関する透視内容も信感性が増したことだろう。
ピラミッドへとくに下層部分における石と石の間の堆積物をコアサンプリングすることで'下層部分は一定期間へ水に浸かっていたという証拠が見つかったかもしれない。
巨大ピラミッドに見合う広さと深さのある湖をつくることは'当時へあるいは今日でさえ、人間の力では不可能かもしれない。
だがtもしかしたら湖は'基底部の二へ三層部分を造るのに必要な深さでよかったかもしれない。ほぼ完全に水平な土台を造る難題はこれだけでも解決できる。
ピラミッド建築の難しさは'わたしの埋解するところでは、最初の二へ三層において完全に平らで均衡のとれた水平面を実現することにきわまる。現代の建築技術でピラミッドの複製を造ろうとしてもへこの土台がうまくいかないために失敗するらしい。
重量の不均衡が積もり積もって、完成前に自己崩壊してしまうのである。
また、陸地で巨大な石材を輸送するためにへそりといかだを併用するのは非常に合点がいくやり方だ。
一万五千年前にナイル川の三角州がどのようになっていたか、推測することだってできたかもしれない。
そもそもこの時期に三角州はなかった可能性だってある。
湖の周辺は肥沃な熱帯ジャングルだったことを考えると'河川から地中海沿岸にかけての地域は現存とはまったく異なる様相を呈していたかもしれないのだ。
今日わたしたちが知るような地中海は存在せず、かわりに巨大な滝がひしめいていたかもしれない。