少女強殺の男に無期懲役=「恐怖言い尽くせない」-監禁、生き埋め事件・千葉地裁
 千葉県芝山町の畑で昨年4月、同県船橋市の少女=当時(18)=の遺体が見つかった事件で、強盗殺人や逮..........≪続きを読む≫
この記事のコメントもそうですが、これだけむごい事件を起こしておいて、なぜ死刑ではないのか、という意見が相当数みうけられました。

個人的には、別に死刑反対派ではないのですが、はたして死刑が妥当なのか考えてみることにしましょう。

このまま無期懲役が確定すると、刑の執行がはじまるのはおそらく21~22歳といったところでしょうか。そして、法律上無期懲役は10年で仮釈放できますが(刑法第28条)、現在の運用で10年で仮釈放などありえません。ここ数年の無期懲役の平均在所年数をみますと、31~32年くらいになっています。もっとも、仮釈放審査のテーブルに乗っかるためにはかなり長い年月を経なければならないことなどから、そもそも仮釈放要件をみたさない無期懲役囚を含めた在所年数であるとも考えられるので、実際のところはもっと長くなる可能性もあります。

また、無期懲役でも特に凶悪な場合などにはマル特無期と呼ばれ、仮釈放を認めない運用がされているという話も聞いたことがあります。そうなると、ほぼ一生刑務所ということにもなります。

まだ21歳で刑務所に収監され、30年で出所できたとしても51歳。それならまだマシですが、下手すると60歳、70歳になっても出られないということもありますし、獄中で死亡する可能性も否定できません。刑務所の中で自由を奪われ、自殺する自由すら与えられず、気が遠くなるような長い期間閉鎖的な空間で囚人として生活するというのは、ある意味死刑よりも厳しい判決かもしれません。

その意味で、無期懲役は甘いというのは筋違いと思いますし、被害者感情でいうならば、死をもって報いるというよりも、むしろ死なずに生きて罪と向き合え、という感情もあってしかりかと思います(遺族、被害者の中にもそのような人はいます)。

死刑は残虐、無期懲役は甘いなどといった通り一辺倒な議論ではなく、刑罰の在り方ふまえてもう少しきちんとした議論が必要ではないかと思います。