阿部 「ところで、依頼者さんは何の女優さんなのかね?」

サザビー 「ああ、俺もそれは疑問だな。調査でもするか?」

阿部 「そうだな、無駄だなぁ~。」

田中 「・・・」

サザビー 「そういや、田中、お前、今回は妙に大人しいよな。」

阿部 「いつもなら、押し倒すんじゃないかと思うくらい鼻息荒いのにな。」

サザビー 「田中、お前、何か知ってるな?」

阿部 「本当か!!教えろ!!」

田中 「無理ですよ。」

サザビー 「無理ですよって、否定じゃないよな。」

阿部 「ああ、知ってると言っているようなものだ。」

田中 「うっ!!それじゃ、知りません。」

サザビー 「それじゃって付けちゃったら、知ってるって事だよな。」

阿部 「知ってるって事だな。おしっ!!これは業務命令だ!!教えろ!」

田中 「無理ですよ!!」

サザビー 「そうか、残念だな。それじゃ。
あべちゃん、ここ1ヶ月程の田中の身辺調査をしようか。」

阿部 「おっ、いいね。いいか、田中、お前はよく知ってるだろうが・・・。」

田中 「知ってますよ!!」

サザビー 「知ってるってよ。で?依頼者さんは何の女優さん?」

田中 「その知ってるじゃない!!あんた等の調査のことですよ!!」

阿部 「・・・まっ、いいか。」

サザビー 「よろしくは食えねぇーしな。金にならん事はやらん主義だし。」

田中 「そうですよ。依頼者さんがどんな過去があってもいいじゃないですか。
僕はどっちかというとお世話になった方ですし・・・。あっ!!」

サザビー 「何のお世話!!」

田中 「余計なお世話!!」


相変わらず、事務所は騒がしい。
私はストーカー男と対峙したとき、依頼者がどのような過去があるのかを知っていた。
しかし、それは、差別視するものではないし、彼女がそれを誇りに思うなら、それは素晴らしい事ではないかと感じた。

人には過去がある。
そして、その過去がどんなものであろうと、他人はそれを笑ってはいけないし、下に見ることなど許されないのだ。



終わり



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尚、調査時期や調査対象者・ご依頼者様の個人情報は本人様の請求以外は開示いたしません。



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こうして、私は田中らスタッフによって確保されたストーカーを説得する事になった。

ストーカー男は40代のごく普通のサラリーマンと言ったところだろう。


男 「・・・すみません(泣)」

阿部 「いや、本人が恐がってるから。」

男 「もう、二度としませんから・・・。」

阿部 「それじゃ、電話番号とか破棄してもらっていい?」

男 「えっ?」

阿部 「二度としないんでしょ?」

男 「はい・・・破棄しますよ。・・・これでいいですか!」

阿部 「・・・まっ、消さなくても番号変えるからイイケドね。」

男 「うっ!」


こうして私の説教+説得が始まった。
そして、説教+説得から5時間が経過しようとする頃。


男 「あ、あのぅ、トイレ・・・。」

阿部 「ああ、行ってくれば。」


男はトイレに行ったきり、帰ってこなかった。
ソファーには、男の持ち物が残されたままだった。

次の日、私は男の勤務先を訪ね、荷物を届けてあげた。


男 「・・・もう二度としませんよ。」

阿部 「ああ、わかったよ。それにしても、えらい遠くまでトイレに行ったんだな。」

男 「・・・いじめないでくださいよ。」

阿部 「一応、言っておくけど、次は話し合いではないからね。」


こうして、ストーカー調査は無事完了したのだが、一つ疑問が残った。


続く



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サザビー 「んじゃ、調べるかね。」

阿部 「いや、これ自体が個人情報だ。漏洩は絶対あり得ない。」

サザビー 「んじゃ、断わるか?」

阿部 「いまから、事務所を通せって言うのか?」

サザビー 「それしかないだろ。筋は筋だ。」

阿部 「確かに。一応、俺からは伝えておく。しかし、対策は今日からだ。」


こうして、前述の会話へと発展していくのだが、結局、何の女優さんかもわからないまま調査対策がスタートとなった。

ストーカー対策については、鍵の交換や超小型の隠しカメラの設置、盗聴発見など様々な調査機材が使われる。
特に鍵の交換作業では、それなりの技術が必要なため、鍵師でもある私が出動しなければならない。

私は車に機材などを載せ、田中と共に依頼者さん宅に向かった。

車内で、背中に「○○電機」と書いたツナギに着替え、機材をダンボールに入れ直し、台車にのせる。

こうした綿密な気配りが、調査と悟らせないための工夫でもある。

そして、調査用のカメラなどを設置し、盗聴器の発見作業などを行った。
盗聴器・盗撮機器の類はなかったが、依頼者さん宅マンションの周辺を何度もうろつく男がいた。
私はとりあえずの一枚を写真におさめ、その日の調査を終了した。

次の日からは、田中が調査を担当し、依頼者さん周辺で起こる異変や異変の前兆をつぶさに記録していくことになる。

調査機材設置から1週間、田中は特定の人物を捕捉し、その身元などを特定していた。

いわゆるつきまとい・待ち伏せを行い、どこで調べたのか電話をかけたり、手紙や贈り物を贈るといった行為を続けているのだそうだ。


田中 「まあ、追っかけの発展型って所ですかね。電話はマズイですよ。」

阿部 「そうだな。ただ、その手は、説得で十分だろ。」

田中 「そうですね。刺激しない形で説得ですよね。」

阿部 「説得は俺がしようか?」

田中 「ええ、それは代表の担当ですから。」

阿部 「んじゃ、どこかで確保しないとな、その男。」

田中 「わかりました。予定を合わせます。」



続く



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