※このお話は33巻からの続き未来のお話だと思って下さい。本誌とはズレが出て来ます。
昼食を終えた2人は暫く公園でゆっくりと過ごし、その後 街中へと戻って来た。
そしてまた仲良く手を繋いでフラフラとお店を見て回る。
あ…! あのぬいぐるみ…セツが好きそうね…。
キョーコはゲームセンターの入り口にあった UFOキャッチャーを見てそう思った。中には可愛い雰囲気のドクロや、死神、悪魔、天使などのぬいぐるみが入っている。
「どうしたセツ…?あのUFOキャッチャーが気になるのか…?」
セツカの様子に気付いたカインが話し掛ける。
『え…あ、うん…少しね…』
「そうか…じゃあ待ってろ…取ってやる…」
彼はUFOキャッチャーを色々な角度からゆっくりと覗いて見た後、コインを入れた。1コインで2回挑戦出来るタイプである。
「あのドクロなら取れそうだぞ…」
『本当?兄さん!』
「…あぁ」
彼は少し笑みを浮かべた後、UFOキャッチャーのボタンを押した。
景品を掴むアームがドクロのぬいぐるみを一瞬だけ掴み、 ぬいぐるみは穴の近くの方へと転がった。
『あー!兄さん惜しい!!』
「そうだな…後1回で取れそうだ…」
そして今度は器用にアームをぬいぐるみに引っ掛けた。
するとぬいぐるみは持ちが上がり、そのまま穴へとストンと落ちた。
『にっ兄さん凄い!本当に取っちゃった!!ありがとーー!嬉しいわ!!』
キョーコはドクロのぬいぐるみを抱っこすると、満面の笑みで蓮にそう言った。
ドクロのぬいぐるみ自体はキョーコの好みとは違う物だが、蓮との思い出の品がもう1つ出来た事がとても嬉しかったのだ。
『兄さん…アタシこれとても大切にするね…?』
ぬいぐるみを抱っこしたまま 上目遣いで少し照れながらそう言う彼女はあまりにも可愛く、蓮は一瞬固まった。
どうしてくれようか…と思いながらも、今はカインなのでそのままキョーコを抱き締めて「あぁ…」と返事をし、髪に軽くキスをした。
そして蓮は昔アメリカに居た頃、リックとゲームセンターで遊んでいたのを思い出しながら、あの時身につけた技が役に立ったな…と心の中で思ったのだった。
その後2人はバイオハザードをやり出した。
『…兄さん、凄い!!』
煙草をくわえながら次々とゾンビを撃っていく謎の黒尽くめの男に 周りの客達は少し怯えながらも、スコアが気になり遠くから見ている人は多かった。
『ふふ…っ』
キョーコは可笑しくなってしまった。これだけ注目を浴びていても、黒尽くめの怪しい男が”敦賀蓮”である事に誰も気付く気配が感じられなかったからだ。
本当に”カイン兄さん”はアタシだけのモノね…と優越感に浸っていた。
バイオハザードをやり終えた2人は自動販売機でジュースを買い、近くのベンチで少し休憩する事にした。
『ふふ…兄さんが凄い勢いでゾンビをやっつけていくから、皆見ていたわよ…』
「…そうだったのか…?全く気付かなかったぞ…」
『あれだけ沢山の人が見ていたのに…?!近くで遊んでいた人達ほとんど見ていたわよ…?』
「あぁ…俺の瞳にはセツしか映らないからな…お前が生まれた時から」
そう言いながらカインはセツカの頬を優しくそっと撫でて、愛おしそうに彼女を見つめた。
キョーコの心臓の鼓動が速まっていく。
そして、カインの瞳の中にセツカの姿をしている自分が映っているのが見えた。
『…もっ…もう兄さんったら…//////』
キョーコは嬉しく感じつつも恥ずかしい気持ちの方が勝り、蓮から顔を背けた。
そして遠くの方に目を向けてみるとビリヤードコーナーがあるのが見えた。耳を澄ませてみるとコーン…コーンと玉を打つ音が聞こえて来る。
キョーコは今までビリヤードをした事が無く、ほとんど見た事も無かったので じっと不思議そうに見ていた。
「…どうしたセツ…ビリヤードが気になるのか…?」
『あ…うん…アタシやった事 無いし』
「…じゃあ今からやってみるか…?」
『え…?いいの?』
「あぁ…初心者でも少し慣れればすぐにゲームを楽しめるぞ…俺が教えてやる」
カインはそう言うとセツカの手を取って、ビリヤードコーナーの方へと連れて行った。
そして蓮はキュー(棒の名前)の持ち方やボールの打ち方など、1からキョーコに教えていった。
元々 運動神経が良く、飲み込みが早いキョーコはすぐにコツを掴み、いよいよ2人でゲームをしてみる事になった。
「じゃあ9ボールやってみるか…セツ」
簡単に説明すると1から9までのカラーボールを番号順にポケット(穴)に落としていき、最後に9のボールを落とした人が勝ちのゲームである。
蓮がボールをセットし、最初の一打目を打ってゲームが始まった。
しかし、その後2人はお互いに全然ゲームには集中出来ないのであった。
《Sideキョーコ》
はぁ~~…!もう…一体何なのよ…/////…構えて集中して…ボールを打つ敦賀さん…格好良過ぎでしょ……!
しかも…凄くプロみたいに上手だし…!1回打っただけで2つ同時にボール落としたり…/////
打つ時の真剣な顔の表情とか…凄くセクシーで…!…大人の男性の色気ってモノなんですか…?
…でもそれより……何よりも……!!
「セツ…この場合はもっと手をこうしてボールの方を――」
って…私の番になると 敦賀さんが後ろから抱き締めるような感じに私の両手を持って、せっ説明するから…息が耳にかかる位近いし、てっ手の動きがまた格好良くて…綺麗で…ドキドキは止まらないし…!////
「…セツ…?聞いてるか…?」
『え…?う、うん 兄さん』
しゅっ…集中出来ませんよーーーー!//////
《Side蓮》
俺は今とても後悔している…!
…はぁ~~っ…ビリヤードに最上さんを誘うんじゃなかった…。
とてもじゃないけど彼女の正面には居られないじゃないか…!
「……………………。」
ボールを打つ時に前屈みの姿勢になるから…胸の谷間が…//////
相変わらず君は無防備だから、全く気付いていないみたいだけど…。落ち着け俺…!
「…………ふぅ」
蓮は取り敢えず近くに居た馬の骨達を、カインの殺気こもった目線で遠くに追い払った。
あぁ…やばいよ…最上さん…。俺だって1人の”男”なんだよ…?
ここは…なるべく見たい…違う…見えないように教えるフリをして彼女の後ろに居よう…/////
でも…見ないようにするから…後ろからセツカに少し触れさせてね…?
もうすぐ夕方だ―――…。
夢のような時間はあっという間に過ぎていく
このまま時が止まってしまえばいい
そうしたら…彼女は
永遠に”俺だけのモノ”なのに―――…。
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