#07 パパの望んだ嘘。

お店の外でもKさんと会うようになって数ヶ月も経つと、
私達は曲がりなりにも「お付き合い」と呼べるくらいの関係になり、
私は彼のことを「パパちゃん」と呼ぶようになっていました。

私の仕事が終る深夜3時頃にKさんに電話をすると、
彼はそれから車で私の住んでいる寮代わりのマンションの近くまで来て、
しばらくそのまま二人で車の中で過ごす、ということをくり返していました。

もちろん、休日には映画に行ったり、ボーリングをしたり、水族館に行ったり。
まるで普通の男女のように、
Kさんはいろんな所に私を連れて行ってくれました。

お昼休みにも電話してきて欲しい」と言うくらい、
どういうわけか、Kさんは私のこのめちゃ低い声を聞きたいようでした。

私本人は嫌で嫌でしょうがない声でしたが、そのことで、
私は心のどこかで「自分が必要とされている」と感じていたのかも知れません。

そんな気持ちも恋愛のうまくいったことのない私には、
生まれて初めてのことでした。


いつか受けるんだったら、性転換手術の費用も俺が出してやるから

Kさんのそんな言葉も、彼の地位からするとそれなりの説得力がありました。
私には夢がほんの少し現実に近付いたと思えたものです。

また、Kさんは私のもらっていたあまりに少ない給料を知って、
こんなことも言ってくれました。

昼間、うちの会社でOLさんでもするか?

もちろん今思えば、それはめちゃめちゃうれしい提案でしたが、
やはりその頃の私にはその勇気がありませんでした。


そんなKさんはある日、こんなことも言いました。

もし金がいるんだったら、俺の財布から抜けば良いさ

でも、根っから真面目だった私にはそんなこともできるわけもなく、かと言って、
TVドラマとかで見るような、「あれが欲しいの」などとおねだりすることなど、
私にはまったく考えられないことでした。

そう、遊びなれていて、既に愛人さんに子供もいるようなKさんにとっては、
私は面白い「」ではなかったことでしょう。

それでも私は、何着も買ってもらった安めの洋服やTV、
月々の携帯電話の通話料を払ってもらうだけで、
十分過ぎるほどKさんに甘えている気でいたのですが。

すると、Kさんはため息混じりにこんなことを言うようになりました。

なあ、たまには『子供ができた』とかって、俺から金を持ってけよ

Kさんからすると、私が病院代を要求するようなやりとりがしたいとのことでした。
それがありえない嘘だとわかりきってるのに、
つまりは私にお金を渡す理由を何か探して来いと。

でも、恋愛もろくにしたことのない私には、
そんな芝居がかったやりとりなんて、やはり想像もできないことだったのです。

ほんとにそんなやりとりが楽しいものなのかな?
男性の気持ちってわからないなあ。


私はそんなことを思ってしまいました(笑)。

。。。。。

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