「合宿の夜」(後編)
テーマ:学生時代前編はこちら。
私たちは訳がわからないまま、仕方なく命令通り、お風呂場の壁に裸で並びました。
その頃には入学後すぐに入った子が何人か退部していたので、
一年男子はもう10人もいなかったと思います。
それぞれが手で前を隠したり後ろを向いたりして、恥ずかしさに耐えていました。
私も前を隠し、少しドアから後ろを向いていました。
それから数人の先輩が入れ替わりに顔を覗かせて、
「前を隠すな!」と怒鳴り手を外させて、私たちの裸をじっくり眺めて、
ひそひそ話したり、にやにやして行きました。
もちろん、男子の先輩だけではなく、中には女子の先輩も数人いました。
私はもうその場から逃げ出したくてたまりませんでした。
もちろん、合宿に来たことも、既に辞めたくなっていたブラスバンドを、
なぜもっと早くに辞めなかったのか、後悔していました。
私はもう何も考えないようにして、先輩たちの命令通り、
前も後ろも何もかも見せてやりました。
そうでないと、泣いてしまいそうだったのです。
何となく私はぼ~っとしながら、
TVで見た刑務所の囚人ってこんな気持ちなのかなあ、
などと想像してしまいました。
最後にまた部長がやってきて、「もう出ろ」と言うので、
その恥ずかしい「品評会」は終りました。
私は次の日も何となく過ごし、なるべく記憶にも残らないようにしました。
それ以降、私は更に部活に参加するのが億劫になり、
最後には原稿用紙30枚位の退部届を書いて辞めました。
そもそも気が付けば入部させられていた部活だったので、むしろすっきりした気分でした。
実はこの時の部長は、父の古い友人(夫)と中学の時の担任(妻)の息子だったので、
本人はもちろん、卑怯にも親を通じても引き止めてきましたが、
私の意志は固いものだったのです。
ちなみにこの話は、この時も今も未だに、家族の誰にも話していません。
と言うわけで、私は主に運動部にありがちの先輩・後輩なんて大嫌いです。
(終わり)
。。。。。
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