「空を見る人」

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「空を見る人」

彼は日が昇る前に目を覚まし
それから一日中空を見上げていた
時々指を舌で濡らしては
風の来る向き去る向きを探していた
雲の形やその流れを図に残し
大事そうにしまい込んでいた

日が沈んでからも遠く
彼は小さな東屋から
空を見上げていた
日中と同じように
風の来る向き去る向きを探し
月の形やその動きを図に残し
満足そうに微笑んでいた

村の外れの小高い丘で
手を広げて微笑む彼は立っていた
誰に話し掛けられることもないのに
誰彼かまわず彼は話し掛けてきた

収穫の出来不出来を尋ね
自然の恵みに感謝の言葉を述べて
季節の変わり目に痛む古傷を抱える
婆たちを優しく思いやる

村人は笑っていた
日がな一日空を見上げる彼のことを
でも人手が足りない時には
平然と彼の手を必要とした
彼は喜んで誰しもの畑を手伝った

それでも村人は
自分の畑を持たぬ彼を笑いあった
彼は微笑みで答えを与えるばかり

風の訪れを
雨の訪れを
雪の訪れを
太陽の動きを
月の満ち欠けを
季節の移り変わりを

彼は何でも知っていた
その知識を優しく分け与えた

やがて村人は彼の知識に感銘した
彼は村人に
共に空を見上げ
共に学ぶことを教えた

自然はそこにあり
村人はそこに生き
永遠(とわ)なることを


。。。。。

遠い昔、天気とか季節の移り変わりって言うのは、

人間ではない大きな存在の司るものであって、
それを予測することなんてご法度に近いことだったのでは
ないかと思ってみたりして。

ましてや、自分の畑や職を持たず、
空を見上げてその様子を観察する人間は周りから見れば、
到底理解もできないことだったのではないでしょうか?

もちろん、その本人にしてみればその知識を集めて整理するために、
とても他のことに構ってられないでしょうし、一度始めてしまったら、
周りの人間に理解されるためにも最後までやりとげなくてはいけない状況になったりします。

しかしやがて、いえ、いつかは「空を見る人」の気持ちは通じるはず。
通じたから現在の世界があるわけで(^-^)。

(コメントはメルマガ22号発表時)

。。。。。

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