2009-07-02 21:51:22

『ジハードXI』 定金伸治:著

テーマ:小説話

『ジハードXI』 定金伸治:著



 うい。シリーズ一気読みもいよいよ最終巻。
 短かったような、長かったような……。


 これも’02年作品です。どうやら、『Ⅹ』と同時発刊だったようです。
 最後に定金さん、頑張ったのですねぇ。



<< あらすじ >>


『ヴァレリー』を救う為に、『テムジン』の妻となる事を決めた『セシリア』。何も出来ないヴァレリーの前から、2人は「モンゴル」へと還って行った。
 一方、「アスカロン」を奪還したいイスラム側は、「ヤーファ」を包囲するという強攻策を実行に移した。
 その頃、『エルシード』の身にも異変が起きていた。『アル・アフダル』との一夜によって妊娠していたのだ。怒りに狂う『シャラザード』は、アル・アフダルを殺そうとするが、無謀な突進を『アル・カーミル』が止める。
「十字軍」での地位を確固たるものにしたいイェルサレム王『ギイ』は、『リチャード』を排除すべく、策を巡らす。
 手始めとして、ヴァレリーと『アリエノール』が暗殺者達に襲われる。ヤーファを脱出して、「イェルサレム」にて共同統治の体制を作るべきだというアリエノールの提案を容れ、ヤーファを出る事にした2人だが、その途中、『ロビン』達の奮戦も空しく、アリエノールが凶刃に倒れ、死んでしまう。そのアリエノールの遺体を抱え、ヴァレリーはヤーファへ戻るのであった。
 そして、ギイのもう1つの策が実行された。ヤーファを包囲していた「イスラム軍」に攻撃を仕掛けたのだ。これにより和平は破棄され、両軍は再び戦う事となってしまった。
『サラディン』の命令により、身重の身体で出陣しようとするエルシードをシャラザードが必死に止めるが、エルシードは頑として聞き入れようとはしなかった。仕方なく、シャラザードも護衛としてエルシードについて行く事となる。
 ヤーファを包囲していたイスラム軍の前に1人の男が姿を現す。それはヴァレリーだった。彼は十字軍の将としてイスラム軍と戦う事にしたのだ。愕然とするエルシード。それはすぐに激しい怒りと変わった。ヴァレリーとしては、「止められない戦いなら、最も被害の少ない方法で戦いを終わらせよう」との考えでの対峙であったのだが、イスラム軍では誰もそうは思わなかった。
 火薬を使った計略により、イスラム軍の先陣は大打撃を受けるが、ヴァレリーの優しさを知っているサラディンは、その炎の中に全軍を差し向けるのであった。
 ヤーファに突入したエルシードはヴァレリーを発見し、彼の隙を突いて背後から斬った。更に瀕死となっているヴァレリーをシャラザードは何度も踏み付けた。2人は死に行くヴァレリーを置き去りにして、ヤーファを去って行くのであった。
 ヤーファ市内に侵入したイスラム軍は、其処で進軍を止めた。無闇な戦いは不要であったからだ。其処にリチャードが現れ、彼はサラディンと語り合う。そして、アスカロンをイスラム側に返還する事となる。こうして、期限付きの和平となった。
 そして──。



<< 感想&つっこみ >>


 うい。遂に読み終わりました。流石に最後のオチまで詳しく書く訳にはいきませんので、気になった方は読んで下さいなw
 さて、色々つっこみどころが多いのですが、何から語って良いものか…… (^^;)。


 まずは全体的な感想。
 私的評価としては……、


 序盤 ⇒ 普通に面白い
 中盤 ⇒ ヴァレリーのキリスト化、エルシードの神格化で微妙に
 終盤 ⇒ 女性キャラの狂いっぷりにどん引き


 でした。
 やっぱり序盤辺りが1番面白かったですね。細かく言うと、5巻。『ラスカリス』が死ぬまでですかね。それ以降は、イマイチ物足りなくなりました。残念。


 終盤は、やはり女性キャラのキチ●イぶりが酷かったですね。
 どれだけ酷いのか? ちょっと書いてみましょう。


< 壊れてしまった女達 >


◆ ルイセ……『ギュネメー』の妹。ギュネメーと共にヴァレリーの仲間になる。“神足のルイセ”と呼ばれ、情報収集・情報伝達に頑張っていた。ヴァレリーに好意を持っている様な描写があったが、ラスカリス死後、突然、ラスカリスを愛していたという事になり、“ラスカリスが死んだのはヴァレリーの所為だ”と思い込み、ヴァレリーを殺そうとして重症を負わせる。最期は、ヴァレリー殺害に失敗して自殺。


◆ アリエノール……リチャードの妹で、政略・戦略の天才。周囲の気を感じ取れる能力を持っていた。ヴァレリーを愛する様になってから、突然、弱体化。嫉妬に狂って、エルシードを刺す。ヴァレリーと結婚してからは、穏やかな普通の女性になる。最期は、暗殺者の攻撃を受けて、ヴァレリーの腕の中で死亡。


◆ エルシード……サラディンの義妹で、イスラム軍の将。意味不明の怪力を持ち、数学の天才でもある。中盤以降、神扱いされる。序盤は、貧乳の美人だったはずが、中盤以降、少年の容姿になってしまった。1巻で、「何度か堕胎した」と言っていたにも係わらず、終盤では、初潮もまだの処女になってしまった。自分を助けに来て、矢を受けたロビンを、「邪魔だ」と蹴り飛ばす様な非道の女。途中、記憶を失い、自分の事を男と思い込んでいる5歳児の精神になってしまったりした。ヤーファを守るヴァレリーの姿を見て、裏切ったと勝手に思い込み、剣で背中を切り裂き、倒れてシャラザードに踏まれているのを黙って見ていて、死にそうなヴァレリーを見殺しにして去って行った。最後は、脳障害による眠気だと思っていたのは、ただの現実逃避。妊娠していたと思っていたのは、想像妊娠。ヴァレリーが裏切ったと思っていたのは、全部自分の勘違いだった事を知り、「ヴァレリーに会いたい」と、ヴァレリーを異国まで追い掛けて行った。


◆ シャラザード……ヴァレリーの養女で、サラディンの娘。当初、16歳と言っていたが、実は12歳だったらしい。序盤はヴァレリーとエルシードの母親代わり、中盤は十字軍傷病兵の聖母、終盤はエルシード命の狂人と化した。アル・カーミルに、「愛してる」と言ったり、ヴァレリーに、「手足を切り取って、一生面倒をみたい」と言ったり、「エルシードを独り占めして、誰にも渡したくない」と言ったりと、一貫性が全く無い。特に、エルシード絡みでは、「1番残酷な殺し方は?」と訊いたり、アル・アフダルを殺そうとしたりアル・アフダルの次はヴァレリーを殺すと言ったりエルシードに斬られて、死にそうになっているヴァレリーを踏み付けて見殺しにする等、序盤のおっとりで清らかなイメージは微塵も無い。最後は、ヴァレリーにした事を悔やみながら、旅立つエルシードを見送る。


◆ マリアン……“シャーウッドの森”の者で、ロビンの許婚。『コンラード』暗殺の任で、イェルサレムにやって来るも、「もう直ぐ死ぬから、暗殺の必要は無い」との言葉に素直に従う。主であったアリエノールに心酔し、“アリエノールが変わってしまったのはヴァレリーの所為”と勝手に思い込み、ヴァレリーを殺そうとする。当初の任務であったコンラード暗殺そっちのけで、憎いヴァレリーの想い人であるエルシードに嫌がらせをして喜んでいたりする。最後は、ヴァレリー暗殺に失敗した直後、ロビンに結婚しようと言って、勝手に自己完結してしまった。


◆ セシリア……モンゴル出身のキリスト教徒。幼い頃、危ない所をヴァレリーに助けられて以来、ヴァレリーの事を自分と結ばれる男と勝手に思い込み、“狼”に対抗する為に、祖国に連れて行こうと考えている。意思が固く(狂気的)、絶対にヴァレリーを祖国に連れて行こうとしている。遂には、手首を切り、慌てたヴァレリーに自分の血を飲ませる。ヴァレリーを愛している事に気付き、テムジンからヴァレリーを守る為に、テムジンの妻となる事を承諾するが……。最後は、ヴァレリーと共に、モンゴルに向かっている途中、ヴァレリーを追い掛けて来たエルシードの姿を見て、「負けました」と勝手に納得して去って行く。


 ~ ~ ~


 こんなところです。
 どうですか? 頭がおかしいとしか言い様が無いと思いませんか?
 正直なところ、中盤以降の女性キャラには全く魅力を感じません。だって、頭がおかしいんだもの (´;ω;`)。


 さて、それでは最終巻のつっこみを。


 まずはやっぱりテムジンの設定。
 今まで戦って来たテムジンは、本名『義経』で、モンゴル出身のテムジンの半身? モンゴルの“蒼き狼”と出会って一体化した?
 ……えっと、なんですか、義経とテムジンは融合したとでも言うのでしょうか?
 それとも1つの魂を共有している2つの肉体って事なのでしょうか?
 さっぱり意味が解りません。
 イスラムの地に現れたテムジンを退場させる為に、“白き牝鹿”であるセシリアを登場させたと思うのですが、ますます話が意味不明になってしまいました。正直、セシリアやモンゴルの地の話は入れなかった方が良かったと思います。
 これも物語を破綻させている原因の1つ。
 テムジンが義経だったら、最後までそれで通せばいいじゃん!
 最後にヴァレリーとエルシードはモンゴルに向かいましたが、彼らがモンゴルに行って何をすると言うの? テムジンと戦うの?
 だとしたら、史実が表している様に、全く歯が立たなかった事になりますね。モンゴルに行くのって意味あるのかなぁ?


 次に、物語の中で、“ヴァレリーはロビンと一緒にイギリスに行く”みたいな事が書いてあったのですが、これは無かった事にされたのでしょうか?
 それとも、モンゴルに行った後にイギリスにも行ったと脳内補完すべきなのでしょうか?
 チンギス・ハーンがアジアを席巻している途中に、戦いを放棄してイギリスに行くの?
 何だか納得出来ませんねぇ……。


 更に言うと、ヴァレリーはアル・アフダルと、サラディンの後継者争いをして、それに勝ち、イスラムの統治者になるはずなのですが、これはどうなるのでしょうか?
 あのアル・アフダルが後継者を望む訳が無い為に、作品中からその部分をカットしたと作者である定金さんは述べておりますが、散々、本文で後継者争いをするって書いておいて、無かった事にする訳にはいかないでしょう?
 これも脳内補完で、エルシードと結ばれて、イスラムに返って来ると考えるべきでしょうか?
 もうイスラム側では、ヴァレリーは裏切り者として認定されていると思うのですが。そんな人物を後継者として認めるでしょうか? 有り得ないと思います。
 これも物語を破綻させている原因の1つです。


 他に細かい事だと……。
 鳴り物入りで登場したウィルフレッド君ですが、終盤はエルシードの近くに居るだけでしたね。もっと活躍の場面を与えてあげれば良かったのに……。
 それ以上に、ロビンの出番が激減しましたね。エルシードを庇って矢を受けた末に、エルシードに蹴られて死にそうになったりと、報われない人でした。好きなキャラなだけに、出番が無かったのは悲しかったです。
『アラン・ア・デイル』も、ルイセが死んだ後、彼女に変わってエルシードに尽くしたと書いてあるにも係わらず、ちっとも出番がありませんでした。何なんだよ……。
 それ以上に酷いのは、アル・カーミル。中盤以降、ほとんど出番がありませんでした。一応彼って、アル・アーディルの後を継いで、イスラムの統治者となるんですけどね。おまけに、シャラザードに剣を教えたりするし……。今までの彼だったら、絶対にこんな事しませんよ。おかしいですよね……。

 マリアン。あれだけ、「アリエノール、アリエノール」って騒いでた割には彼女を救う事が出来ませんでしたね。尚且つ、ロビンに、「結婚しよう」だなんて、何こいつ? 頭おかしいんじゃないの? 何の為に出て来たのか、さっぱり意味が解らないキャラでした。正直、要らないでしょう。
『ルーファス』君も、結局、最後は出番がありませんでした。何の為に登場したの? シャラザードを聖母的存在にさせておきたかったのなら、最後は剣を持ったり、ヴァレリーを踏んだりさせるんじゃない。そうではなく、彼女の心の闇を出したかったのなら、ルーファス君の存在も要らないでしょう。無駄が多いと思います。


 こんなところかなぁ?
 かなり辛辣になってしまいましたが、それだけこの作品が好きだったんですよ。その分、中盤以降の変わり様にがっかりしたのです。


 色々言いましたが、この作品も間違いなく、私にとっての思い出の作品でした。
 定金さん、長年に渡っての執筆お疲れ様でした。


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