『フリークス』 綾辻行人:著 | 無能地帯

『フリークス』 綾辻行人:著

『フリークス』


 はい! 私の好きな作家の1人である綾辻行人さんの作品です!
 00年作品ですから、7年前の作品ですね。
 これは3篇の中篇集となっております。
 その中篇三つ全てに共通の事柄があります。それは……、


 勿体付けても意味が無いので書きますがw、三つとも、同じ精神病院に入院する患者に係わるお話なのです。
 精神病患者を題材にするのは色々と難しいのですが、綾辻さんは難無く実現されておられます。その点は、「流石!」って感じですw


 もう1つ共通の事柄があります。それは話の構成。
 1つの話の中に、“患者の日記”として作中作があるのですね。
 現在の主人公の視点を作中作の前後に入れて、“冒頭~作中作~結末”という構成となっております。
 この構成法は、前回書きました、『眼球綺譚』「眼球綺譚」と同じです。綾辻さんは、この構成が得意なのかもしれません。
 
 それでは各お話のあらすじと感想を。


※以下、ネタバレ注意! まだ読んでいない方は、読んでからにして下さい。






・「夢魔の手 -三一三号室の患者-」


 精神病院に入院している母を見舞う主人公の浪人生。
 家のピアノの中にに隠されていた、鍵を掛けられた箱。
 それを見せた瞬間、廃人だった母に反応が!
 鍵を手に入れ、その中を覗くと、1冊の古ぼけた日記が。
 その日記に書かれていた内容とは!?


 <感想>


 予想は出来るけど、二転三転する展開に、少々意味が解らなくなる方も居たのではないだろうか?
『眼球綺譚』の「バースデー・プレゼント」よりかはマシですが、読者が事態を把握して呼んでいないと、意味不明の話となってしまいますね。
 私は把握出来ましたけど、正直、あまり面白くは無かったかな?(爆)



・「四○九号室の患者」


 愛する人と一緒に事故に遭い、全ての記憶を失ってしまった主人公の話。
 自分は、愛する人の妻だったのか!? それとも、愛人の方だったのか!?
 自分がどちらなのか解らず苦悩する主人公。
 そして!?


 <感想>


 これは、最初からオチが解っていました。
「綾辻さんの事だから、こうだろうな?」って思っていたら。的中でしたw
 綾辻さんの作品でしたら、『迷路館の殺人』『殺人鬼』を読んでいたら、直ぐに解ると思いますw ←ややネタバレ
 でも、実際にこういう事あるのかなぁ?
 あ、島田大先生の『ハリウッド・サーティフィケイト』にも近いな。 ←かなりネタバレ



・「フリークス -五六四号室の患者-」


 主人公であるミステリ作家と、探偵の親友が、精神病患者の書いた小説の犯人について語り合うお話。

 目が1つしかない、<一つ目(サイクロプス)>
 背が曲がり、大きな瘤のある、<傴僂(ハンプバック)>
 体中が鱗状に変化した皮膚に覆われている<鱗男(スケイル・フェイス)>
 身体の中央にもう一本腕のある、<三本腕(スリー・アームド)>
 両手両足の無い、<芋虫(キャタピラー)>

 狂人に因って生み出された5人の怪人達。
 自分達を生み出した憎い男を殺したのは誰か?
 この中に犯人が居る!


 <感想>


 これは作中作が、1篇のミステリ短編として読む事が出来ます。
 ちゃんと探偵役の親友が謎を解いてくれます。
 これは普通のミステリだったので、楽しく読む事が出来ましたw
 
 関係無いけど、この主人公と親友の雰囲気が、石岡君と御手洗さんにそっくり!
 綾辻さんが意図してか、しないでか、はたまた私のただの勘違いなのかは解りませんが、この2人のやり取りは、私の中で、例の2人に変換されておりましたw



 = = = = = = = = =


 総論としては、読み物としては十分楽しめましたw
 悪くないです。
 綾辻さんのファンでしたら、もっと楽しめると思います!w