2011年02月16日(水) 00時05分55秒

ワトソン VS クイズ王 ~最強クイズソフトは人間を超えるか~

テーマ:クイズ

このブログは基本的には公務員のお仕事ブログで、趣味ブログではないのですが、あまりにおもしろい記事を見つけたので、もう一度だけクイズの話を。


タイトルはこれのパクリ。

「ボナンザ VS 将棋脳 ~最強将棋ソフトは人間を超えるか」
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=200704000327


朝日新聞でこういう記事を見つけました。
http://www.asahi.com/international/update/0215/TKY201102150160.html



人工知能とクイズ王 1回目は同率で並ぶ 米人気番組

本100万冊分の知識を持ち、人間の言葉を聞いて受け答えできる人工知能「ワトソン」と米国の人気クイズ番組「ジョパディ!」の王者2人の対決の放送が14日夜、始まった。


この日は最初の対決の模様が放送された。例えば「ミロラド・カビッチを100分の1秒差で破り、2008年の五輪で全勝した人物は」という問題に「マイケル・フェルプス」と正しく答えるなどワトソンが前半、王者2人を寄せ付けなかった。

しかし終盤、「優美なさま、あるいは同じ年の卒業生」という問題に「シック」と答えて間違えるなど調子を落とし、「クラス」と正しく答えた賞金獲得王のブラッド・ラターさんが猛追した。

この日の番組の終了時点でワトソンは、ラターさんと同じ賞金5千ドルの同率2位。連勝王のケン・ジェニングズさんは賞金2千ドルだった。

対決は2試合行われ、合計の賞金額を競う。16日の3回目の放送で最終的な結果がわかることになっている。



チェスのソフト「ディープブルー」にチャンピオンのカスパロフ氏が遂に敗れ去る過程や、将棋ソフトの発展の歴史を興味深く眺めてきましたが、私の趣味のクイズの分野にもコンピューターソフトが入り込む日が来るとは。
何とも感慨深いです。


記事の中で例示に挙げられている問題もおもしろいですね。
私の得意中の得意、スポーツの中の、オリンピックの中の、競泳の問題。


「ミロラド・カビッチを100分の1秒差で破り、2008年の五輪で全勝した人物は」
私がこの問題を聞いたら、こういう思考過程をたどるでしょう。
※「カビッチ(Cavic)」という選手は、日本のテレビ中継では「チャービッチ」と発音されていたので、それを前提に。


「ミロラド・チャービッチ」→聞いたことあるな。スポーツ選手か?アナウンサーが興奮して早口で「チャービッチ」と発音している実況中継の記憶が呼びさまされる。

耳に残るこの興奮状態は短い時間で決着するタイムレース系スポーツ、すなわち陸上か競泳。

「チャービッチ」は東欧系なので、おそらくは陸上ではなく競泳。この実況中継を聞いたのはそれほど昔のことではない。


「を」→「を」の後に続くのは「破り」。すなわち、答になるのはチャービッチを破って優勝した金メダリスト。チャービッチが優勝なら、「に敗れ」と「を」ではなく「に」が来るはず。

また、チャービッチは非常にマイナーな名前。したがって、答になるのはメジャーな水泳選手。北島康介かフェルプスが第一候補だが、北島を問うなら破った選手はブレンダン・ハンセンかアレクサンダー・ダーレ・オーエンになるはず。

したがって、フェルプスが最有力候補。


「100分の1秒差」→接戦が話題になるのは圧倒的に強い選手。やはりフェルプスか?フェルプスは出場する個人種目5種目のうち4種目はだいたい圧勝するので、接戦になるとすれば100mバタフライ。

100バタはフェルプスにとって、同じアメリカの世界記録保持者イアン・クロッカーに負ければメドレーリレーの出場権も失い、8冠から一気に6冠に後退してしまう最重要レース。歴代最多はマーク・スピッツのミュンヘン五輪での7冠だからなおさらだ。

北京五輪全体で見ても、陸上男子100mと並ぶ最注目種目だったはず。アナウンサーの興奮状態はそのためか?そこで2着になったのがチャービッチか?


「ミロラド・チャービッチを100分の1秒差で」まで聞いた時点で、このような思考回路をたどっているでしょう。
ここまで来れば、若干自信がなくても押して「フェルプス」と答える場合もありますし、「2008年」「北京」まで待つ場合もあります。


「ミロラド・チャービッチを100分の1秒差で」で押せれば、クイズ界のほぼすべての人に勝てるでしょう。
チャービッチは非常にマイナーなので、覚えている人は普通はいません。
これを覚えているのは、私と同じように、アナウンサーが興奮して「チャービッチ」と発音している情景を瞬時に思い起こせる人だけでしょう。


私のようなスポーツマニアではない普通のクイズプレーヤーは、「ミロラド・チャービッチを100分の1秒差で破り」まで聞いてはじめて、数多くの選択肢の1つとしてフェルプスが思い浮かぶだけでしょう。
これでは、「ミロラド・チャービッチを」まででフェルプスを最有力選択肢に絞り込める人とは勝負になりません。


早押しクイズは、このように、前から一文字づつ聞いては答になりそうな候補を思い浮かべ、答になり得ない候補を削っていき、1つに絞られた時点でボタンを押すというゲーム。
こういう思考回路をどうやってコンピューターにプログラミングしているのか、非常に興味深いです。


ただ、この問題は、非常にコンピューター有利な問題でしょうね。
チャービッチと聞いて即座に北京五輪男子100mバタフライ銀メダリストと言える人はいませんが、コンピューターには簡単なこと。
こういう、データベース上にはあるけど人間は覚えていないマイナーな単語から始まる問題は、コンピューター有利な問題でしょう。



さらには、「ミロラド・カビッチを100分の1秒差で破り、2008年の五輪で全勝した人物は」という問題が英語ではどう表現されているかも興味深いです。


「Who is the swimmer」で始まるのでは、全く面白くない。
ミロラド・チャービッチみたいなマイナーな名前を知らなくても、フェルプスを答の候補にできてしまう。

日本語であろうが英語であろうが、早押しクイズにおけるこの問題の最初の単語は「Milorad Cavic」であるべきだと思うので、英語ではどうなっているのか、知りたいですね。



ここで書いたような、早押しクイズの戦い方の理論を初めて紹介した本がこれ。

「クイズは創造力 ~理論編~」
http://www.4jc.co.jp/books/detail.asp?id=293


1989年の第13回アメリカ横断ウルトラクイズで優勝した長戸勇人さんの著書で、私の大学時代には、この本が早押しクイズの理論面でのバイブル的な存在でした。

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コメント

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2 ■Re:ワトソン圧勝でした。。。

>根無し草さん
おお、アメリカ在住なのですね。
貴重なレポートありがとうございます。
コンピュータなら覚えたことを忘れないですし、思い出すのも一瞬ですから、チェスや将棋に比べれば、勝つのは簡単なのかもしれませんね。

日本語でこういうソフトを作る日が来たら(来ないでしょうが)、「なぜ」と聞いたら押して「マロリー」と答えるという仕様を仕込んでおいてほしいです。

1 ■ワトソン圧勝でした。。。

たまたま観る機会があったので。
ご報告。

16日夜に最終戦が行われましたが、高得点の問題を次々と早押しで制していきほとんど逆転されることなく圧勝しました。

観ていた感じでは、
・早押しスイッチにどうつないでいるかは不明だったので、この部分で既に人間は不利。
・「~といえば?」といった連想ものの問題に対するレスポンスはかなり弱い。
・知識を問うクイズは早押しでなければ100%あてる。
・早押しで一回だけお手付きをやったので、何かしらの問題文で回答候補を取捨選択するアルゴリズムがありそう。

クイズの出題形式を捻らないと人間に勝ち目はなさそうな感じです。

長戸さんが優勝した回のウルトラクイズは私も観てました・・・
大人になったら自分も参加しようと思ってましたが、惜しい番組でした。。。

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