2007.1.7/OA「映画への情熱 映画プロデューサー 佐倉寛二郎」


インタビュー1)どうして映画プロデューサーに?目

澤田:今日は映画プロデューサーの佐倉寛二郎さんをご紹介したいと思います。佐倉さんは映画プロデューサーということで、あの有名な「WASABI」や「亡国のイージス」、「有頂天ホテル」など数々のヒット映画をプロデュースされてきているわけですが、映画プロデューサーとしてお仕事されるきっかけを教えて頂いてもよろしいですか?

佐倉:元々はですね、実は恥ずかしいんですけど俳優になりたくて・・・それで、田舎の山口県から日大芸術学部・映画学科というところの演技コースに入りまして、俳優をやろうと思って勉強してたんですよ。夜も専門学校行って勉強してました。まぁ~やっているうちに作るほうが楽しいなというのと役者としては才能が全くないなと思って(笑)、それで作るほうに大学時代から変わっていってそのまま卒業して、小さな映画の制作プロダクションに就職して最初からもうプロデューサーみたいなことをやっていたとうことです。

澤田:映画の最後に関係者の名前がテロップで出てきますよね。ひときわ目立つように映画プロデューサーや映画監督の名前がでてきてカッコいいな~と思ってしまうんですけど、映画プロデューサーというのは実際にどのようなお仕事なんですか?

佐倉:ホントに映画によって関わり方が違ったりするんですよ。まず自分の企画がどうかっていうので自分が企画する場合もあるし、全然違う企業が企画する場合もあるし、それぞれ企画を持ってきて、じゃあコレが映画化できるかどうかっていうところから始まるんですよね。是非やりたいと思うと、脚本作りをしながら、まず監督を決めるというのがあるんですけど、それで脚本を作って配給を決めてお金を集めて、で制作するという流れなんです。制作する上では、スタッフを決めてあとキャスティングをしてということですね。

澤田:なるほど。そういうところを全部決めていくのが映画プロデューサーなんですね。

佐倉:そうですね。実務としてはお金も扱いますし、俳優さんとの交渉やスタッフとの交渉なんかも昔は全部自分でやっていましたけどね。

澤田:けっこう大変なポジションですよね。

佐倉:はい、なかなか大変な仕事です。今は昔と違って予算もドンブリ勘定ではいかなくて、それこそ1万円くらいの金額まである程度自分で把握しておかないといけないんです。あとキャスティングもとても重要です。やっぱり1番大事なのは、脚本とキャストなのでそれを決めるっていうのが1番大きな仕事ですね。

澤田:そんな地道な作業があって今までの作品が出来上がってきたわけですね。今まで数々の作品をプロデュースしてきていますが、印象に残っている映画っていうのは何かありますか?
佐倉さん



佐倉:実はあんまりないです(笑)、結構忘れてしまうんですよね。ただ初めてプロデューサーとして仕事したことは覚えていますよ。はじめは映画ではなくてテレビだったんですよ。それもアメリカのテレビドラマだったんです。日本でやれば安く上がるし作業も早いということもあってこちらで撮影することになったんです。その仕事を請け負った日本側チームで僕はアシスタントだったんです。でも出来上がった作品があまりにも良くなくて、アメリカ側から「NO」を言われたんですよ。それでアメリカ側からの要請で、急遽僕がプロデューサーに格上げされて担当したんです。それから今まで記録は破られていないんですけど、10日間徹夜という大変な作業をしながらアメリカ人と一緒に作り直したんですよ。編集し直したり、かたや新しく撮影もしたりして、、、、、、、、、作り直したものをアメリカに送ったらこれならなんとかいけるかなって言われて、それは20代だったと思います。当時でボーナス1千万とか言われたんですよ!

澤田:えっ!それはすごいですね!(驚)やっぱり金額もダイナミックなんですね。

佐倉:ただこちらも若かったので丁寧にお断りしましたが(笑)

               

<ミュージックブレイク:ERIC CLAPTON HARD TO THRILLドンッ



インタビュー2)アメリカと日本の違いは?ロケット


澤田:よくアメリカと日本の映画は比較されると思うんですけど、どういうところが特徴として違ったりするものなんですか?

佐倉:そうですね、基本的に日本のスタッフってとても優秀なんですよ。ですから同じ条件ならば、アメリカの方に決して負けないような気がするんですが、システムとして向こうのほうがいい映画が出来る状況になっているパートがいくつもあるんですよ。もちろんお金のことは別にしてですが、例えばアメリカの場合、編集権はエディターが持っているので監督の意向ではないところで映画が1本できてしまう。それに対して監督の意見、プロデューサーの意見が入ったりしてというような作り方をしているので、エディター自身の発想力だとか自分で何かを作るという力がどうしても育ちますよね。日本の場合は全てではないんですけど、やっぱり監督の意見が強いので監督がこうしたいというのを、エディターが叶えてあげるという仕事の仕方なので、だから編集で変わってしまうということが日本にはあまりないんです。

澤田:なるほどですね~!

佐倉:日本とアメリカではそれが1番大きいですね。

澤田:今の日本の映画産業はどうなんですか?

佐倉:今はバブルみたいですよね。もう年間300本を越えていて、ただそれがいいのか悪いのかということがまたあって、ただバブルのように撮っていても仕方ないのとそれと配給を決めずに作ってしまっている。お蔵入りが年間100本以上あるんですよ。

澤田:えっそんなにあるんですか!?それはそのまま世に出ないことになるんですか?

佐倉:ほとんど出ないですよね。出ても回収ができないですよね。1億かけましたって言っても、そういうものだと回収100万円できましたと、その程度だと思いますね。例えば企業がこういうイメージの映画を作ってほしい!商品のイメージアップになるから何億出しますって言われてもほとんどお断りするんですよ。配給が決まらないですよね。ですからお客さんが観たいと思う映画でないと映画館ではかからないですね。映画館の事業主の方っていうのはそれでご飯食べていますから、彼らは当たらない映画が来ると困るわけですよ。

澤田:そりゃそうですよね~。ちなみに今動いているプロジェクトというのはどんなものがありますか?

佐倉:何本もありまして、原作物が5本くらいあってちょうど2007年の1月から撮影するものがありまして、まだ記者発表していないんですけど、「ミッドナイトイーグル」高島哲夫さん原作のもので、北アルプスに米軍のステレス爆撃が落ちるという話なんですけど。

澤田:なんか壮大なストーリーですね!

佐倉:そうなんですよ。その中に積んであるものをめぐって、某国の工作員と日本のそれを偶然見つけたカメラマンと自衛隊員とが戦いながら阻止するという話なんですよ。片や東京ではヒロインの女性がその事件の真相を突き止めていくという話で、最後は命を懸けて守るという話です。

澤田:おもしろそうですね~!それはいつ公開になるんですか?

佐倉:公開は2007年の12月予定です。

澤田:楽しみですね。

佐倉:そうですね。結構大きな作品ですので楽しみです。

澤田:最後になりますが、これから映画作りを目指している若い人たちが沢山いると思うんですけど、そういう人たちに何かアドバイスをいただけないですか。

佐倉:アドバイスですか・・・やっぱり基本的には好きだったら諦めないこと。続けていくこと。それで情熱がある、アイディアがある、現場に行けば臨機応変に仕事ができるっていうのが大事だと思うんですね。やっぱり諦めちゃいけないと思いますよ。僕なんかもこの業界に入ったときに、優秀な方が周りに沢山いましたけど、みんな諦めていなくなってしまったので・・・(笑)

澤田:映画が好きで、それを諦めないで頑張ってほしいというところですね!今日はありがとうございました。

                  

<ミュージックブレイク:U2 Sometime you can’t make it on your ownハロウィン




感想カラオケ


澤田:映画プロデューサーの佐倉さんのお話を聞いて頂きました。まゆみちゃんどうですか、最近映画みてますか?

安田:すみませ~ん、実は最近、劇場にあまり足を運んでいなんです。

澤田:是非、見に行ってくださ~い!佐倉さんが手がけた「有頂天ホテル」とかこれも大ヒットですもんね!

安田:ですよね。すごくおもしろい映画みたいですね。

澤田:2005年には「亡国のイージス」真田広之さんが主演でした。見ましたがスケールが大きくて面白かったですよ。そして遡って2002年の「WASABI」。これもジャンレノさんと広末涼子さんが出演して話題になりましたね。とてもおもしろい映画でした。佐倉さんおっしゃっていましたけど、ここ1,2年は映画のバブル期だそうです。

安田:年間300本ってすごいですよね。

澤田:そんなに作っていたなんて信じられないですね。僕らに入ってくる情報だとせいぜい年間10本~15本とかくらいですかね。

安田:ホントですね。それで100本もお蔵入りだなんて信じられないですね。

澤田:今は日本だけではなくてアジア映画もすごいじゃないですか。韓国映画とか僕もいくつか見ましたよ。

安田:日本映画のリメーク版がハリウッドで製作されていますよね。

澤田:ハリウッドでは日本の映画は注目されているみたいですね。佐倉さんに続く若手の映画プロデューサーがどんどん育って奇抜な発想力でおもしろいものを作ってもらいたいと思いますね。現在、手がけていらっしゃる映画で「ミッドナイトイーグル」という作品があります。主演は大沢たかおさん、竹内結子さん、玉木宏さんや吉田栄作さんも出演なさるということです。08年1月に記者発表されるとおっしゃっていますので、是非楽しみにしてもらいたいと思います。今日は日本を代表する映画プロデューサーの佐倉寛二郎さんを紹介しました。オバケ