電気の話③ 

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 小田玄紀です


 最近は仮想通貨に関する取り組みもやってはいますが、何といっても時間と意識の大半は電力事業の方に費やしています。今年2月からリミックスでは小売電気事業者として電力販売を行っています。正式に事業を開始して約半年ですが、反応はとても良く事業として十分に戦えるだけの素地は整ってきたと感じています。


 他方で小売電気事業を実際にやってみて、どこか悶々としていたことがあります。それはこの事業で実際に「どれだけの価値を提供できているのか」ということです。もちろん、既存の電力会社に比べて安い電力料金で電力供給を需要家にはしているので、顧客に対してメリットは提供できています。


 ただ、そのメリットとはあくまで価格面での競争優位性であり、日本の社会全体にとってはエネルギー量を変化させている訳でもなく、あくまで顧客が電気料金を支払う先を変更しているだけであり「価値」と呼べるのかという疑問です。


 この疑問に対する答えが今日自分なりに見えてきました。そのきっかけを与えてくれたのは、長年の友人であり、今では電力自由化の第一人者的な存在でもある江田健二さんの講演でした。


 江田さんの講演の主な内容は次のようなものでした。


 ・1985年に通信も自由化がされた。当初は通信会社に対する価格面での競争をもたらすものだけだっ たが、通信会社はこぞって新しい通信手段を開発していった。その1つがポケベルであったり、テレフォンカードであったり、携帯電話だった


・様々な通信手段が開発され、結果的には現在は通信業界は「音声だけ」から「総合コミュニケーション産業」へ発展した


・ツイッター、Facebook、LINEなど新しいサービスが生まれ、通信業界は「コンテンツ」「ハード・ソフトウェア」「インフラ・ネットワーク」それぞれにおいて階層的に様々なサービスが育って今日に至っている


・1990年には「海外の友達とリアルタイムに議論すること」「誕生日当日に世界中の100人以上の友達からメッセージが届く」などといったことは“ありえないこと”だった。それが今では当然に行われている


・同じことが電力市場にも当てはまる可能性がある。IoTや電気自動車、スマートメーターやワイヤレス給電の普及などにより電力市場においても階層的にサービスが進化していくことで新しい価値が生まれる余地がある。


・今から20年後には「海外で発電した電気を日本で使う」「余った電気を友達とシェアする」などといったことが実現しているかもしれず、電力会社もただ電気を供給するだけでなく顧客の電気使用状況を分析して、最適な省エネ提案やビジネス提案が出来るかもしれない


 つまり電力事業もただ「電気を販売する」だけの事業から「エネルギーを通じて新しい価値を創造する事業」に進化させることが出来るかもしれない訳です。


 電気は全ての活動や事業にとって不可欠なものです。例えば、他の事業者に比べてより効率的なエネルギー使用をしている企業のノウハウが他社にも参考になりノウハウ提供だけで新規事業になったり、あるいは電気使用量が1つの与信になり、これを基にしたファイナンスが実現したり・・・可能性は無限です。


 共通インフラだからこそ、その提供に甘んじるのではなく、そこを踏まえたサービスを具現化することで「価値」を提供することが出来るのではないか。そういうことを再認識できた1日でした。


 2016年7月28日

      小田玄紀


 

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