『月刊日本』編集部ブログ

日本の自立と再生をめざす言論誌


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 改憲論者たちは、憲法改正はアメリカからの独立、さらには自主外交を展開するために必要だと主張しています。


 彼らは、古くはダレスの恫喝、最近ではイラク戦争への参加や集団的自衛権の行使など、アメリカが日本に対してかけてくる圧力をはね付けるためにも、憲法を改正しなければならないと考えているようです。


 もちろん憲法改正は必要です。しかし、前回も述べたように、憲法を改正すれば、突然日本の国力が増すというわけではありません。それ故、憲法を改正したところで、必ずアメリカから独立できるわけではないし、必ず自主外交を展開できるようになるわけでもありません。


 日本が憲法を改正した後も、アメリカは変わらず圧力をかけてくるでしょう。それを必ずはね返すことができるという保証はどこにもありません。憲法を改正したにも関わらず、自衛隊がアメリカの戦争に参加することになる恐れも十分にあります。憲法を改正したところで、バラ色の世界が訪れるわけではないのです。


 そもそも、日本がこれまで自主外交を展開できなかった責任を、アメリカの圧力に求めるのは筋違いです。アメリカが日本外交を邪魔してくるのは、ある意味で当然のことです。


 アメリカに限らず、全ての国は自らの国益を最大化するために外交を行います。他国のことを考えて外交を行っているわけではありません。日本の独自外交がアメリカの国益を毀損すると考えれば、彼らは当然圧力をかけてきます。


 問題は、アメリカが圧力をかけてきたことではなく、日本がその圧力をはね返せなかったことです。そして繰り返しになりますが、憲法を改正すれば突然日本の国力が強くなり、アメリカの圧力をはね付けることができるようになるとは限りません。


 文藝批評家の山崎行太郎氏は『保守論壇亡国論』で、評論家の渡部昇一氏を批判しつつ次のように述べています。

 

《シナ事変は今では明らかになったようにコミンテルンの手先が始めたものである。その事変が日本陸軍の切なる願いにもかかわらず終息しなかったのは、ソ連、アメリカ、イギリスが中立国の度を越え、シナに対し、参戦同様の支援をしたからであった。

 アメリカ・イギリスとの開戦は、マッカーサー証言の如くその包囲網により、日本の全産業・全陸海軍が麻痺寸前まで追いつめられたから余儀なくされたのである。すべて日本のやったことは受身的反応であった。》(同前)

 「コミンテルンが……」、「アメリカが……」、「イギリスが……」、「中国が……」といった言葉が何度も出てくる。彼らが次々と謀略を仕掛けてきたのであり、日本は何も悪くなく、仕方なく戦争に巻き込まれただけだということらしい。

 しかし、こうした議論からは、日本の主体性というものが完全に欠落している。これではまるで、敵国が謀略を仕掛けてきた時、日本の指導者たちは何もせずに黙って見ていたようである。日本の指導者たちは、敵国の謀略に為す術もなく簡単に騙されてしまうほど無知で無能だったのだろうか。

 世界革命を目指すコミンテルンや、独立を目指す中国、そしてアメリカやイギリスが、新興の帝国主義国家・日本を、様々な謀略を駆使して追い詰めていくことは当然である。

 日本も日露戦争の時は明石元二郎が情報活動を行っていたし、昭和の時代には陸軍中野学校の卒業生たちが暗躍した。

 もちろんアメリカやコミンテルンの謀略に対しても、当時の指導者たちは様々な形で抵抗した。しかし、残念ながら力及ばず戦争に引きずり込まれ、そして負けたのだ。

 渡部の議論は、東條英機を筆頭に、戦前の日本人は無能無策であり、清く、正しく、美しい「弱者」だった、と言っているようなものだ。要するに、戦前の日本国民は馬鹿だった、だから許してください、ということだ。

 渡部の思考法は、ニーチェが言う「力の政治学」、「超人の思想」とは対極にあると言うべきだろう。こういう「弱者の政治学」を恥ずかしげもなく、というより得意になって公言する人が、保守論壇の重鎮とされているのだから、保守論壇が劣化・退廃するのも無理はない。

 このような保守論壇の言説を熟読すれば、当然その人間もまた「弱者の政治学」に落ち込んでしまう。現在の保守政治家たち、特に自民党の政治家たちが劣化してしまった原因はそこにあると言えよう。

 

 戦後の日本が自主外交をできなかったのは、アメリカのせいでもなければ憲法9条のせいでもありません。単に、日本の国力が弱かったためです。責任は日本自身にあります。他のものに責任を転嫁している限り、憲法を改正したところで、日本は自主外交を展開することはできないでしょう。


 また、現在の安倍政権には色々と問題がありますが、対シリアや対ロシア、対イスラエルなどではアメリカの圧力に屈せず、自主外交を展開していると思います。褒め殺しのようになりますが、安倍総理には集団的自衛権に取り組む以前に、もう少し自信を持っていただきたいものです。


 『保守論壇亡国論』ではその他にも現在の情勢を読み解く上で重要な議論が行われています。ご一読いただければ幸いです。(YN)








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