人の皮膚や胃の細胞に3種類の遺伝子を導入し、肝臓の幹細胞を作成することに、国立がん研究センターの石川哲也室長(幹細胞生物学)らのチームが初めて成功した。体外で安定して増やすことができ、医薬品の毒性検査などに利用できると期待される。6月に開かれる研究会で発表する。

 成人の肝臓細胞は、体外で培養してもほとんど増やすことができない。また、あらゆる細胞に分化する胚(はい)性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、安定して増える肝臓幹細胞を作ることに成功した例もなかった。

 石川室長によると、市販の皮膚細胞や日本人ドナーの胃の細胞にウイルスを使って遺伝子を導入。3~4週間後、幹細胞や肝臓で作られる特有のたんぱく質をつくる遺伝子が機能していることを確認した。約200日間、安定して培養でき、凍結保存して再び増やすことにも成功したという。

 肝臓は、体内に入った薬物を解毒するなど多様な働きをしている。新薬を開発する際、肝細胞を使って解毒できるかどうかを調べれば、臨床試験の前に副作用の有無を確認でき、開発費用・期間を大幅に削減できる。また、B型・C型肝炎のウイルスを細胞に感染させ、新薬の治療効果を見るなど、抗ウイルス薬や高脂血症薬の開発にも期待される。【須田桃子】

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