北海道で働く女社長の夫の蝦夷日記

国際政治から映画・音楽・地元の温泉やラーメン紹介まで。難しい話は分かりやすく、がモットーです。

山口敬之氏の前作「総理」が大変面白かったので、今年の1月に上梓された第二弾「暗闘」を読んでみました。山口氏がどういう人物かは、下の【関連記事】の「総理」の書評を参照して下さい。

 

前作は当時TBS記者だった筆者によって、第一次安倍政権の崩壊から再登板までの道のりや、消費税を巡る攻防などの内政及び政局が、安倍晋三個人にかなり肉薄したタッチで描かれていました。

今作は、昨年11月のトランプ候補(当時)当選直後の会談経緯やトランプ政権の分析、昨年末の日露首脳会談や真珠湾訪問などの舞台裏といった外交テーマが中心となっています。

そしてズバリ、題名の「暗闘」とは(本の題名は往々にして出版社が決める事が多い為、誰が決めたのかは不明)各国要人との駆け引きはもちろん、官邸と外務省の主導権争いをも意味しているようです。

 

 

全体的な感想としては、「読み物としては前作の方が正直、面白かったかな」です。

前作は著者と安倍晋三及び麻生太郎などとの生々しいやり取りなどがあって、大変臨場感あふれていたのですが、今作はさほどでもありません。本に描かれた期間の長さに大きな差がある事や、TBS政治記者からフリーになった著者の立場上の変化、そして何よりも機密を重要視する外交分野がテーマである、という事情が影響しているのかもしれません。

まあ、本書「暗闘」はトランプ政権発足を受けて緊急出版された、という意味合いが強いです。

 

トランプ政権の部分については、今読むとそんなに目新しい内容はありませんでした。何よりトランプ大統領誕生自体が近年まれにみる政治事件だったので、多くの識者が色々な角度でたくさん分析していましたから。

印象に残ったのは、トランプ大統領は本気で覇権国家・中国を封じ込めにかかっているので、

「米国+日本>中国」

という安全保障上の図式を維持する為に、日本にそれ相応の防衛力強化を求めて来る、という事。これは日本が好むと好まざるとに関わらず、真剣に向き合わなければならない宿命みたいなものです。何しろ、この不等式が逆転すると日本自身に大きな災厄が降りかかりかねないですからね。

 

日露首脳会談や真珠湾訪問の舞台裏は、面白いというよりも興味深いものでした。

梅之助も双方のテーマで記事を書いていましたが、「なるほど、そうだったのかぁ~」と思わされる事が多々ありましたね。

まず日露交渉において。

大したことは書いていませんが参照として、

日露首脳会談に失望したあなたへ①(2016/12/19)

日露首脳会談に失望したあなたへ②(2016/12/27)

を、よかったら。

昨年末の首脳会談では、一見、領土交渉で具体的な進展が見られず、経済協力ばかりで落胆した国民も多かったと思いますが、安倍総理にとっては想定内であり、日本側の思惑は達成されたのだそうです。

従来の交渉がいくら経済協力を持ち出しても「ロシア側の主権」の壁に最後は跳ね返されて、いたずらにロシア100%主権の実効支配年数だけが積み重ねられてしまった反省を踏まえ、あの会談での最大目標は、「特別な制度による経済協力」を通して一部とはいえ「ロシアの主権が及ばない領域」を誕生させ、これまでのロシアによる一方的な主権行使の現状に風穴を開ける、という事でした。

その日本側の成果はここでは書かないものの、会談後の共同プレス向け声明の文言にもしっかりと反映されています。興味のある人は是非、本書を読んで確認して頂ければ。

 

次に安倍総理の真珠湾訪問。

参照→「安倍総理、真珠湾訪問」に対する私見(2016/12/08)

梅之助も上の記事で、「広島」と「真珠湾」は規模も性質も異なるので「対」として捉えてもらっちゃぁ困る、というような内容を書いていますが、実はそれを一番感じていたのは安倍総理自身でした。

総理は第二次政権発足当初から真珠湾訪問を考えており、まず第一段階として2015年4月の米国議会演説を実現させたの後に、そのタイミングを計っていたそうです。ところがそこにオバマ大統領の広島訪問の可能性が見えてきた為、その実現に尽力。しかしこの2016年5月のオバマ広島訪問は、総理が長年考えて来た「真珠湾訪問」実現の上では、ある意味で誤算となってしまいました。オバマ広島訪問の直後に真珠湾に行けば、それこそ「対」として捉えられかねないからです。その為に大幅にスケジュールが見直された、という経緯も本書には詳しく書かれています。

 

また安倍総理と外務省主流派との暗闘も本書に描かれています。

常々、「相手国の作った土俵の上で、相手国に気に入られる相撲を取って見せる」という、かえって国益を損ないかねない外務省の外交方針に以前より総理は強い不満を持っていて、そこから官邸主導によるもう一つの外交ラインが構築されていきました。そしてその主導権争いは、事あるごとに現在も続いています。

 

本書を読み終えた直後の率直な想いは、

「少なくとも外交の上では、この総理以上に外交を出来る者は現在の政界には居そうにない」

というものでした。

はぁ~、これが、いい事なのか悪い事なのか・・・

安倍総理だっていつまでも総理を続けていられる訳ではありません。将来の後任の政治家が、それこそ外務省が主導する「相手国の作った土俵の上で、相手国に気に入られる相撲を取って見せる」方針に引きずられてしまわないか、とても心配です。

 

 

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